挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

11/854

奴隷の成果

 食事を終えた俺達は店の外に出て、草原に出る。
 道中、ラフタリアは機嫌が良いようで鼻歌を歌っていた。
 が、草原に出るや、怯えた目をして震えだす。

「怯えるな、絶対に魔物からは守ってやるから」

 俺の言葉にやはりラフタリアは首を傾げる。

「ほら、俺は雑魚にかまれている位じゃ痛くも痒くも無いんだ」

 マントの下に隠していたバルーンを数匹見せるとラフタリアはビクっと驚く。

「痛くない、の?」
「全然」
「そう……」
「行くぞ」
「うん……コホ……」

 咳が気になるが、まあ大丈夫だろう。
 草原で薬草を摘みながら、森の方へ向う。
 お、出てきた出てきた。
 レッドバルーンが3匹、森の茂みから飛んでくる。
 俺はラフタリアが噛まれない様注意しながらレッドバルーンを食いつかせる。

「ほら、さっきやったようにナイフで刺すんだ」
「……うん!」

 幾分かやる気を出したラフタリアは勢い良く、レッドバルーンを後ろから突き刺した。
 バアン! バアン! バアン!
 この時の戦闘でラフタリアのLvが2に上昇した。

 レッドスモールシールドの条件が解放されました。

 レッドスモールシールド
 能力未解放……装備ボーナス、防御力4

 即座に盾を変化させる。
 するとラフタリアは目を丸くさせて盾を見ていた。

「ご主人様は……何なのですか?」

 俺が盾の勇者だと知らないのか。まあ、亜人で奴隷だしな。

「勇者だよ。盾のな」
「勇者ってあの伝説の?」
「知っているのか?」

 ラフタリアはコクリと頷く。

「そうだ、俺は召喚された勇者。他に三人居る中で……一番弱いけどな!」

 俺は自分の手を爪が食い込む程握り、半ば八つ当たりの様な態度を取った。
 あいつ等の顔が頭に浮かんできて殺意しか湧かない。
 ラフタリアが怯えた目を見せるので、これ以上は話さなかった。

「とりあえず、今日はこの森で魔物を退治するのが仕事だ。俺が押さえるからお前は刺せ」
「うん……」

 多少馴れてきたのか、ラフタリアは素直に頷いた。
 そうして、森の中を探索しながら出会う敵出会う敵を俺が矢面に立ち、ラフタリアに倒させる戦闘スタイルで進んでいった。
 途中、バルーン以外の敵と初めて遭遇。

 ルーマッシュ。
 白い、動くキノコだった。何か目つきが鋭くて、大きさは人の頭くらい。
 試しに殴ってみたけど、レッドバルーンと同じ手ごたえ。
 これもラフタリアに倒させた。
 他に色違いのブルーマッシュなる敵とグリーンマッシュが居た。
 マッシュシールドの条件が解放されました。
 ブルーマッシュシールドの条件が解放されました。
 グリーンマッシュシールドの条件が解放されました。

 マッシュシールド
 能力未解放……装備ボーナス、植物鑑定1

 ブルーマッシュシールド
 能力未解放……装備ボーナス、簡易調合レシピ1

 グリーンマッシュシールド
 能力未解放……装備ボーナス、見習い調合

 ステータスボーナスでは無く、どれも技能系のボーナスのようだ。
 調合か……薬を卸す時に役立ちそうなスキルだな。
 この日の内にラフタリアのLvが3、俺は5に上がる。
 夕方、草原を歩きつつ、野宿する川辺に歩いていった。

「コホ……」

 ラフタリアは文句を言わずに俺に着いて来る。
 まあ、しばらくはまた金稼ぎに精を出さないとダメだろう。
 川辺に到着した俺は、袋からタオルを取り出してラフタリアに渡し、薪を組み火を付ける。

「とりあえず行水してこい。凍えたら火で体を温めろよ」
「……うん」

 ラフタリアは服を脱ぎ、川に入って行水を始めた。
 俺はその間に釣りを始めて、晩飯の準備を始める。
 その間にもラフタリアにはちゃんと目を向けておく。
 何だかんだでこの辺りはバルーンが沸く、注意しておくに越したことは無い。
 俺は今日の収穫物に目を向ける。

 草原産の薬草、結構な量。
 草原では生えていなかった薬草、結構な量。
 バルーン風船、それなり。
 各種マッシュ、それなり。
 解放した盾、4種。

 うん。明らかに効率が違う。
 奴隷を購入して正解だったな。
 そうだ。調合とやらに挑戦してみるか。

 簡易レシピを呼び出す。
 其処には俺の持っている薬草で作れる範囲の組み合わせが載っていた。
 機材は……川辺にある板みたいな岩と小石で擦り合わせばどうにかなるだろう。乳鉢で作れるレシピに挑戦しよう。
 コツがあるのだろうけど、簡易レシピには載ってない。
 ゴリゴリゴリ……。
 薬草を売っている店で店主が調合していた組み合わせを見よう見真似でやってみる。

 ヒール丸薬が出来ました!
 ヒール丸薬 品質 悪い→やや悪い 傷の治療を早める丸薬、傷口に塗ることで効果を発揮する。

 俺の目の前にそんなアイコンが浮かぶ。
 よし、成功だ。
 盾が反応しているけど、今はまだ吸わせない。
 一応、知らない組み合わせにも挑戦する。
 時々失敗して真っ黒なゴミになるが、意外と面白いな。
 パチパチパチ……。
 火が弾ける音が聞こえる。
 見ると行水を終えたラフタリアが焚き火で温まっていた。

「温まったか?」
「うん。コホ……」

 どうも風邪っぽいな。奴隷商も病持ちとか言っていた。
 そういえば……作った薬の中に風邪薬があったな。

 常備薬 品質 やや良い。 軽度の風邪になら効果がある薬。

「ほら、これを飲め」

 軽度って所が気になるが、無いよりマシだ。

「……苦いから、嫌……ぐ……」

 愚かにもワガママを言おうとしてラフタリアは胸に手を当てて苦しむ。

「ほら」
「は、はい」

 震えながらラフタリアは俺が渡した薬を思いっきり飲み込んだ。

「はぁ……はぁ……」
「よしよし、良く飲んだな」

 頭を撫でてやるとやはりラフタリアは不思議な表情で俺をぼんやりと見つめる。
 あ、タヌキの耳はふかふかだ。
 尻尾の方に目を移すと何をするのか察したのか、頬を染め、触らせないとばかりに尻尾を抱き締めて拒絶された。

「ほら、晩御飯だ」

 俺は焼きあがった魚をラフタリアに渡し、調合作業に戻る。
 こういう、微妙な作業は昔から好きなんだ。
 日が完全に落ち、焚き火の明かりで調合を続ける。
 ふむ……色々と作れるようで面白いな。
 魚を食べ終えたラフタリアはウツラウツラと眠そうに火を凝視している。

「寝てもいいぞ」

 俺の指示にラフタリアは首を何度も振る。
 あれか? 寝たくないと駄々を捏ねる子供みたいな……て、子供か。
 放っておいても勝手に寝るだろう。
 そういえば、常備薬が少しは効果があったのか? 先ほどから咳が出ていない。
 一頻り調合に挑戦し、あらかた出来る薬を調べた。
 内、粗悪品になってしまった物は盾に吸わせて変化させる。

 プチメディシンシールドの条件が解放されました。
 プチポイズンシールドの条件が解放されました。

 プチメディシンシールド
 未解放……装備ボーナス、薬効果上昇

 プチポイズンシールド
 未解放……装備ボーナス、毒耐性(小)

 どっちもリーフシールドとマッシュシールドから繋がる盾だ。薬効果上昇は良く分からない効果だな。
 俺自身が薬を使って効果があるのか、俺が作った薬の効果が上昇するのか。
 まあ、良い。
 今日は収穫が多くて助かったのは間違いないのだから。

「いや……助けて……」

 ラフタニアが変な声を上げた。
 見ると眠っているラフタリアがうなされている。

「いやぁあああああああああああああああああああああ!」

 キーンと耳が遠くなるのを感じた。
 やばい、声に釣られてバルーンが来るかもしれない。
 急いでラフタリアの元へ行き、口を塞ぐ。

「んーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

 それでも漏れる声が大きくて、奴隷商が問題ありと言っていた意味を悟る。
 確かにこれは大変だ。

「落ち着け、落ち着くんだ」

 俺は夜泣きするラフタリアを抱え上げて、あやす。

「いやぁ…………さん。……さん」

 親を呼んでいるのだろうか、ラフタリアはずっと涙を流して手を前に出して助けを求める。

「大丈夫……大丈夫だから」

 頭を撫で、どうにかあやし続ける。

「泣くな。強くなるんだ」
「うう……」

 泣き続けるラフタリアを抱き締める。

「ガア!」

 そこに声を聞き届けたバルーンが現れた。

「ふ……」

 まったく、こんな時に。
 俺はラフタリアを抱き抱えながら、バルーンに向って走るのだった。

「うおおおおおおおおおおおおおおお!」


 チュン……チュン!

「朝か」

 大変な夜だった。
 群で来たバルーンを割り終わった頃、ラフタリアの夜泣きは小さくなったのだけど。少しでも離れると、大声で泣くのだ。
 するとまたバルーンが沸く。
 それでろくすっぽ眠ることも出来なかった。

「ん……」
「おきたか?」
「ひぃ!?」

 俺に抱き抱えられていたのに驚いてラフタリアは大きく目を見開く。

「はぁ……疲れた」

 城門が開くまでまだ少し時間がある。今なら仮眠くらい取れるだろう。
 今日、するのは昨日作った薬の買取額と、摘んだ薬草の代金の差だ。
 薬にして売るよりも薬草の代金の方が高いなら作る必要が無い。

「少し寝るから、朝飯は……魚の残りで良いか?」

 コクリとラフタリアは頷く。

「じゃ、おやすみ。魔物が来たら起こせ」

 目を開けているのも苦痛の俺は直ぐに眠りの世界に誘われるのだった。
 ラフタリアが何に怯えているのかは分からない。聞くつもりも無い。
 大方、親に身売りにされたショックか、連れ去られたのだろうな。
 後者でも返す義理は無い。こっちだって高い金を払って奴隷を購入したのだから。
 恨まれたっていい。俺も生きなくてはならない。
 元の世界に帰るための手段を探さなきゃいけないんだ。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ