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盾の勇者の成り上がり 作者:アネコユサギ

盾の勇者の成り上がり

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勇者会議【下】

 いきなりの爆弾発言に俺は大声で返す。
 ウェポンコピー?
 ヘルプにそんなもの無いぞ? 4ヶ月近く異世界に要るのだからヘルプは全部目を通した。
 コイツ等の説明から察するに持った武器が解放されるといった所か。

「尚文さん。そんな事も知らなかったんですか? よく生きてられましたね」

 うわ。むかつく。その目凄くむかつく!
 道理で変な盾ばかりだと思ったんだ。
 アイアンシールドとか、ラウンドシールドとかバックラーとか普通の盾が無いなぁとは思っていたんだよな。

「お前等、自分で見つけたのか?」
「というよりも、店売りの武器を使おうとするのは当たり前だろ? 最初は弱い武器だったし」

 そういえば、俺も盾はこの際諦めて剣を使ってみようと思ってたんだ。
 その時、『伝説武器の規則事項、専用武器以外の所持に触れました』
 って出て戦闘に使えないのを理解したんだった。

「規則事項で弾かれはしたけど、ウェポンコピーが出来て装備できたんだよな」
「ああ」
「ですね」

 頭が痛くなって来た。
 そりゃあ俺は盾さ、そんな最初の方で強い盾を付けたいとか羨ましそうに持たない。
 盾という防具を持っているんだから、片手剣とか、武器を持つだろうよ。
 だから気付かなかったってか?

「……話を続けてくれ。そうだ。錬、なんで既に解放された魔物を大量に吸わせるんだ?」
「何でって……まずはドロップを確認する為に決まってるじゃないか」

 ドロップ!?
 あー……そういえば普通のネットゲームとかだと魔物がアイテムを落とすよな。
 魔物自体の素材とは関係ないアイテムとか。
 俺の馬鹿! それくらい推理して答えを導け!

「なんか店じゃ凄く高いアイテムがあるよな。在庫もあるようだし、この辺りは異世界って感じだよな」
「そうだな」
「ですね。魔物のドロップ頼りの物もありますよね」

 なんか凄い情報がさっきから出るわ出るわ。
 しかも共通認識っぽい。
 最初の頃も感じたが、不快な気分だ。

「後は道具の作成だよな」
「技能系ですね。これは元からありますよね」
「……一応、詳しく」

 コイツ等の当たり前が俺にとって驚愕である可能性がある。心を強く持って聞こう。

「技能のスキルとレシピを習得したら武器に材料を吸わせて、システムで作るんですよ。しばらくすると武器から出てきます」

 システムで作れるのかよ! なんてこった!
 一応直接作っても効果は発揮されるのだろうが、レシピがあれば武器が作ってくれるのかよ。
 という事は、元康が不自然に魔力水を持っている理由は作っていたからか。
 材料は魔物のドロップで簡単に手に入るとかか?

「難点はドロップとか作ったアイテム以外取り出せない所だよな」
「そうだな。荷物が嵩張る」

 一応、短所もあるみたいだが、俺はそれ所じゃない。
 こんなに色々な強化手段があるなんて、影に手で指示を出してメモをしておく。

「狩場に関しては一概にして言えませんよね」
「そうだな……これは一覧を作れば良いが、このLv帯だとどこも同じになってくる」
「被らないようにしないとな」
「そうですね」
「じゃあ他に何かあるか?」

 頭に刻み込みながら話を聞く。

「では、特別に強くなる秘訣を教えて上げましょう」

 樹が胸を張って話し出す。

「この世界はですね、武器のレア度が全てなんですよ。付与とかはついでです。元が強くないと意味が無いんです」
「堂々と嘘を言うな」
「最初は本当の事を言って途中で嘘を混ぜるなんて最低だぜ」

 ズバッと樹を錬と元康が言葉の刃で切り伏せた。
 秘匿癖ここに極まりだな。
 同じ知識を共有する勇者が二人もいる中で嘘を吐くとは……どんだけ。

「な、何を言っているのですか! これが真実ではないですか!」
「いいや嘘だ」
「そうだぞ。お前は本当に嘘を吐くんだな」
「い、いや! 嘘なんて言ってませんよ!!」

 ん? 樹の態度が今までと明らかに違う。
 嘘を見破られた時みたいな焦りじゃなくて本当に怒っているみたいだ。
 樹は先程から嘘吐き嘘吐きと言われ続けているから怒るのも納得できるが。
 何か引っかかる。

「そういえば樹はこの鉱石をよく集めているみたいだな」

 と、言って、リーシアから貰った鉱石を机に載せる。

「え、ええ。これは武器によってまちまちですが、強化に使うのですよ」

 精錬か……まあ、大抵のゲームにあるシステムだよな。

「最大数まで強化するのが鉄板です」
「失敗のリスクがあるだろ。そんな危険な嘘を教えるなよ」

 元康が注意する。

「失敗なんてありませんよ!」

 失敗しないのか? どっちなんだ?
 分からない。

「何言っているんだ強化にそんな鉱石を使わないだろ」
「さっきから否定ばかり! アナタはどうなんですか錬さん!」
「俺か? そうだな。嘘吐きに騙されそうになっている尚文に真実を教えてやろう」

 何故名指し……知らないのは事実だが。

「この世界は、Lvが全てだ。何だかんだでLvさえ高ければどうにかなる」
「嘘は良くないぞ」
「ええ! すました顔で嘘を言うのはやめてください!」

 どっちなんだよ!?

「尚文、どうやらコイツ等は話を合わせて騙すようだから俺だけが教えてやろう。武器を強くするには熟練度を変換するんだ」
「熟練度?」
「ああ、同じ武器を使っているとその武器は強くなっていくんだ。で、その武器が役に立たなくなった頃に熟練度をエネルギーに変換させる。そして武器に付与すると秘められた力が解放される」
「何を調子の良い嘘を言っているんですか」
「気にするなよ。後は武器のレアリティを増加させれば完璧だ。失敗すると本来はなくなるけどな。どうやら伝説の武器は大丈夫らしい」

 話を聞くだけで強く出来そうな気がしてくるが、ヘルプに無いぞ。
 なぞなぞじゃないんだぞ。錬も樹も本当の事を言えよ。

「なんて奴だ。クールな顔で外道だな」

 元康が錬をはき捨てて言った。

「ええ、聞き入れてはいけませんよ。嘘なんですから」
「見分けが付かんよ。どうやるんだ?」
「まずツリーを開いて、使っている武器をチェックし、熟練度を見るんだ」

 言われるままツリーを開いて、良く使うキメラヴァイパーシールドを見る。
 普通に確認すると簡単なステータスが表示されているんだが。
 これをチェックするのか? 嘘クサ。
 ポンと指でなぞる。
 ……何も起こらない。

「何も無いのだが……」

 やはり嘘か。信じては居なかったがどうもコイツ等は嘘を吐きたいみたいだな。
 これはウェポンコピーも怪しいぞ。

「そんな訳ない! 知っていて俺に嘘吐きの烙印を付けるつもりだな!」
「俺もそんなのは無いぜ」
「僕もですよ。ヘルプにありません!」
「なっ……もう良い! 話した俺が馬鹿だった」

 それぞれの主張に錬はものすごく不快そうな顔で腕を組んで座り込む。
 いつもクールを気取っている錬にしては随分と感情的だな。
 いや、錬も樹も、他二人が嘘と言っているのだから嘘なんだろうが……。
 ヘルプにも載っていないし。

「まだ僕の話は途中でしたね。武器の強化には他にもアイテムからエネルギーを取り出して武器に%を向上させるエンチャントを確率で行うんです」
「攻撃力10%みたいな?」
「ええ、ここは触れ幅が大きいのですけどね。失敗すると0になってしまいます」
「嘘だな。まったく、別のゲームの知識を尚文に教え込むなよ」
「だから嘘じゃありませんよ! 後は魔物やアイテムの力を武器に与えることでステータスがアップします。これは全ての武器に共通する。別枠のジョブLvのような物です」

 ああ、だから樹は%がどうのとか魔物がどうのと言っていたのか?
 フィーロに嘘まで教え込むとは徹底しているな。

「はいはい。いい加減な事を言う錬と樹は置いておいて、次は俺だ」
「あんまり期待していないが……」

 もはや全部嘘に聞こえる。

「ぶっちゃけこの世界は武器の強化精錬の高さこそ全てなんだ。Lvよりも性能を最大限引き出せる特化したステータスがあれば問題ない。最悪、初期の武器だってちゃんと精錬すれば強い! 俺は装備ボーナスは全て攻撃力に特化させている」
「大嘘だ!」
「ええ、尚文さん。騙されないでください!」

 元康は何処吹く風というかのように俺に向って説明する。

「まずは武器によって変わるが精錬用の鉱石を調達して精錬することが重要だ。但し、失敗すると本来のエメラルドオンラインじゃ武器ロストだ。だけど伝説の武器は精錬が0になるだけで済む」
「そんなのありませんよ!」
「ああ!」

 もはや野次の大会になってきている。影も困惑しているな。
 正直、影と同じく困惑するしかない。

「後は目玉のスピリットとステータスのエンチャントだ。武器に吸わせた魔物の魂の欠片とアイテムによって効果は変わるが、様々な恩威が武器に施されるんだ。例えば対人用にするんだったら人間に与えるダメージアップを限界まで貼り付ける」
「いい加減にしてください!」
「そうだ。別のゲームの話はうんざりだ!」

 樹と錬の大声で元康は不快そうに振り返る。

「まったく……どうしてそんな嘘ばかり言うのですか!」
「お前もだ!」
「お前らだって!」
「……まあ、嘘かどうかは知らないが……」

 どうも途中までは共通の認識だったはずなのに、意見が割れている。
 錬も樹も元康も、今まで見た事無い位気が立っているな。

「ありうるのはそれぞれの武器が強化方法が異なる可能性か」
「……一応、そうしておきましょうか。同じように僕のスキルは言った通りなんです」
「それなら筋も通るから保留にしておくが、まだ嘘じゃないと言い張るのか、樹」
「それだと俺はどれも当てはまらない事になるのだがな……」

 勝手に話を纏められてしまった。
 まあ、ここまで本気で怒っているのだから、嘘は言っていないか。
 嘘だったとして、評判が悪くなるのはコイツ等だし。この会議の内容って女王に筒抜けだから評価に響く。

「じゃあ……最後に俺か」
「ええ、こっちも手札は出したのですからちゃんと話してくださいよ」
「……嘘と思っても俺は責任を持たないからな」

 まったく、なんだか混乱してくる。

「まずは何を聞きたい?」
「ラフタリアちゃんとフィーロちゃんの強さの秘密だ」

 ……正直な話、ゲーム感覚のコイツ等でも最低限底上げをして貰わないと命に関わる。
 だから隠さず話した方が良いだろう。

「ああ、それは奴隷使いの盾と魔物使いの盾というシリーズにある装備ボーナス、奴隷と魔物の成長補正、ステータス補正という効果が強く関わっている。フィーロは他にフィロリアルの盾シリーズにも補正があって伸びている」

 クラスアップのアホ毛に関しても話すべきか?

「そんな便利な力を俺の知るゲームの盾職は持っていない」
「些か信じられませんね。そんな便利な……言ってはなんですがチート性能の盾を何処で手に入れたのですか?」

 チート……まあ、どう言われても堪えないけどさ。

「奴隷使いの盾は奴隷の紋様を刻む時に使うインク。魔物使いの盾はフィーロが生まれた時の卵の殻から出た」
「ま、出所が特定できてるのなら試すのが手だよな」
「お前等が出るとは限らないからな」
「嘘かもしれませんよ」
「何とでも言え」
「じゃあ次です。教皇の時……不自然に尚文さんの戦闘力が高かったですよね。あの禍々しい盾とスキル。ゲームでは見たことがありませんけど」

 樹が何か、妙に引っかかる目でこちらを値踏みする。
 不愉快だが……。

「何処であの力を手に入れたのですか? 違いますね……言い方を変えましょう。何処で神様に会えたのですか?」
「はぁ?」
「何処で神様に出会いチートの力を授かったのですか? 僕の知るネット小説ではそう言った力を手に入れて他の人を出し抜くキャラクターが居るのですよ。ホラ、教えてください」

 おま! 俺も知ってはいるがソレは無いだろう。
 ……今までこの世界に来て、色々と不愉快な目に会ったけど、ここまで腹の立つ台詞も珍しい。

「チートじゃねえよ!」
「いえいえ、盾があんなに防御力があって、戦力になるなんてチートですよね」

 錬も元康も頷く。

「何処で手に入れたのですか? 僕達がその力を手に入れたら遥かに強くなれますので教えてください」

 さらりと当たり前のようにほざくコイツ等に怒りが込み上げてくる。

「素直に俺の努力と思わないのか?」
「まさか」

 下衆な連中だな。弱職と最初から信じきっている。
 俺の勘では盾の力はコイツ等の言うように弱いわけじゃないと思っている。
 地道にステータス増加を増やし続け、代償を大きく支払うカースシリーズに手を染めているお陰でコイツ等よりも戦える状況になっていると分析している。
 なのにコイツ等は俺がどこかでチート能力を手に入れて、並ぶ程度の強さを得たと思っている。

「あの盾は最初、憤怒の盾と言って伝説の盾の中にあるカースシリーズという物だ。どのようにして出たかは……推測だが、俺が怒りに支配されそうになったからだと推理するしかない。でたのは元康と初めて戦った後だ。それまでの鬱憤と不正をされた怒りでな」

 あの時、俺は行き場の無い怒りに飲み込まれそうだった。
 ラフタリアが止めてくれなかったらどうなっていたかは想像できない。

「ヘルプに乗ってるくらいだぞ? それ相応の代償を支払う。お前等に制御できるかな? ちなみに教皇を倒すときに放ったスキルで俺は現在ステータスが低下中だ」

 錬がヘルプを弄るように目と指で操作している。
 そしてさも当然の様に告げた。

「……ないぞ、そんな項目」

 いやいやいや。俺にはあるぞ。
 ……憤怒の盾が解放された時からだけど。

「もしかしたら解放されないと出ないのかもしれないな」
「ネットゲームにそんな高威力の呪いの装備がポンポンあるものか?」
「無いな。成長補正をする盾も怪しいものだ」
「嘘を吐くならもっと上手い嘘を言うべきですよ。錬さんや元康さんみたいに」

 樹の返答に我慢の限界を迎えた錬が指差して怒鳴る。

「お前が言うのか! この大嘘吐きの偽善者」
「なんですって! それを言ったらアナタはクールを気取ったカッコ付けではありませんか!」
「そうだそうだ」
「「お前は女好きの馬鹿じゃないか! 女で身の破滅をまたする気か!」」
「なんだと!」
「というか樹! 盾が弱職とか言いながらお前の仲間は肉の壁じゃないか」
「必要無いとは言ってませんよ!」
「あとお前等! いつまでゲーム感覚で勇者ごっこをしているつもりだ。死んだらおしまいなんだよ。というか死んでも大丈夫なら何で俺が指名手配された時に殺そうとしてきた!」
「そこまでゲームだとは思ってねえよ! 勇者同士でしか殺せないとかその辺りの補正が働くんだろうよ。魔王化した勇者を殺すとかそう言うのは出来ると思ったんだ」
「随分と都合の良い脳細胞だな。ゲームのやりすぎで頭が逝っちゃってるんじゃないか? イベントでもやっていたつもりなんだろうがお前等がやろうとしたのはタダの人殺しだ!」
「疑われるような事をするのが悪いんですよ。さすがにイベントとは思っていませんよ!」
「そうだ! イベントとは思ってはいないが、お前は悪人としか思っていない!」
「錬! まだ言うのかお前は! 偽善者の樹と良い勝負だよ。許されない? 誰に言ってるんだホント。この世界の運営か? 神様が俺を罰するとでも言うのなら、俺がその神とやらを殺してやりたいよ!」

 ホント、この世界に神なんて居るんだったらマジ殴り殺したい。こんな生き地獄に落としやがって。
 アウェーに召喚するなっての!

「こんな素晴らしい世界に召喚してくれた神になんて事を言いやがる」
「居るかどうかわからねえ存在に感謝するんじゃねえよ!」

 ここから先はあんまり思い出したくも無い。
 始まったのは罵詈雑言の連続だった。
 影も止めようと声を上げていたが売り言葉に買い言葉、既に止められる段階になかった。
 やがて最初にキレて出て行ったのは樹だったか、その後に錬も出て行き、元康は肩を透かして立ち去った。
+注意+
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