今日はクリスマス・イヴね。
あたしは仕事帰りに街を歩きながらそう思った。
今年は仕事が長引いたけど、去年は楽しかったわ。
「千亜希、クリスマスツリーの飾りつけしようぜ!」
1年前、都留男がツリーを持ってきて言った。
あたし達はクリスマス・イヴに都留男の家で2人でいる約束をしていて、今実際にいる。
「あらいいわね。お互い忙しくて結局イヴまで会えなかったから全然やってないし。」
「やろうやろう!」
都留男が無邪気にそう言って飾りを出し、あたし達は飾り付けを始めた。
「やっぱりボールはここだよなあ。」
「そうね。靴下はここだわ♪」
盛り上がるあたし達。
綺麗に飾られていくツリー。
モールを巻いてっぺんに星を付けた後は2人であたしが買ってきたケーキを食べながらTVを観た。
「なあ千亜希。」
「ん?なあに?」
「おいら達、ず〜っと一緒だよなあ。」
「ええ。ず〜っと一緒よ。」
あたしはそう言って都留男を抱きしめた。
そうよ、あたし達はず〜っとずっとずっと一緒なの!
こんなにかわいい都留男を誰にも渡しやしないわ!
あの時はそう思っていた。
でも今年になってから、山口大己とかいう謎の電波クソおやじが現れて、あたしの都留男をいとも簡単にさらっていった!
許さない!絶対に許さないわ!
都留男とクリスマスを過ごすのはこのあたしなの!
大己との2人っきりのラブラブクリスマスなんてずえっったいに許さないわよ!
そうだわ、これから都留男の家に行きましょう!
行ってあのクソ大己にあたしの威力を見せ付けてやるのよ!
あたしはそう思い、都留男の家へ向かった。
向かっている途中に前方から知り合いの植月邦春が歩いてきた。
浮かない感じの顔でとぼとぼと歩いている。
「はあ・・・クリスマスか。独り身で寂しい俺には何の関係もねえな。ちっくしょー!クリスマスなんか無くなっちまえー!」
な、何ですってえ?!
クリスマスが無くなったら都留男とのあんな事やこんな事も出来なくなるじゃないの!
そんな事は許さないわ!
都留男との輝かしい日々の為にクリスマスを守らないと!
あたしはそう思い、カバンから懐中電灯を出した。
「ずっとかおす☆ちあきんのターン!」
そう唱えると全身が光に包まれ、魔法大人の女ビューティフルエレガントアダルトチアキに変身した。
「邦春!」
「千亜希!何だその格好?!」
「うるさいわね!とにかくクリスマスが無くなるなんて許さないわよ!ちあきーみらくるこすも・・・」
「大丈夫ですよ、邦春さん。」
あたしが邦春に技をぶつけようとしたその時、知り合いの飴田夢乃が現れた。
「夢乃ちゃん。」
「1人じゃありません!私がいます!2人でクリスマスを過ごしましょう!」
「夢乃ちゃん・・・。」
邦春の手を握って言う夢乃と感動する邦春。
「お2人さん、なかなかいい感じね。」
「あらっ、千亜希さん。どうしたんですか?その格好。」
「そんな事はいいじゃないの。それよりも、あたしももう1度あんた達みたいな愛を育めるように、都留男の家に行ってくるわ。」
その時、携帯が鳴った。
「はい・・・あっ、島山さん?お疲れ様です。・・・え?あの書類・・・ですか?・・・はい!はい!すぐにやり直させていただきます!」
あたしはそう言い、ダッシュでその場を去った。
ああっ、クリスマス・イヴなのにまた仕事だなんてええええええええええええええええええええええええええええええええええ!
「今のは何だったんだ?」
「さあ・・・何だったんでしょう?」
残された2人は訳が分からない様子で言った。 |