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前が見えない。
暗くて…何も…
私に光は……
一筋の光さえも…
差したりしないから…
―――――
工藤くんがいなくなった。
組織を倒してくれた彼は、
私を救ってくれた彼は…
彼女と、私達を置いて、先に旅立ってしまった……
全ては、組織のせい。
だけど、薬を作った私にも責任がある。
自分のしたことに後悔し、すごくいらだった。
あの時私が薬を作らなければ…
あの時私が工藤くんをかばえば…
あの時、彼を好きにならなければ……
こんな罪悪感は無かったのかもしれない。
蘭さん、ごめんなさい。
優作さん、由紀子さん、ごめんなさい。
博士、ごめんなさい。
吉田さん、小嶋くん、円谷くん、ごめんなさい。
彼と関わりのある全ての人達…
彼を…
彼を…
あなた達から奪ってしまって
ごめんなさい……
何度も、何度も自分を責めた。
そんな私に博士は
「哀くんは何も悪くない」
って言ってくれた。
だけど、それじゃあダメなの。
私が悪くなかった所なんて一つも無いの。
天罰が下ったのね。
彼を苦しめた自分が
彼を好きになる資格なんて無かった。
彼を傷つけた自分が
幸せになる資格なんて無い。
彼の幸せを奪った私には、
光をくれる人なんて誰一人としていない。
彼を幸せから遠ざけた自分に
幸福なんか来るわけがないじゃない。
彼から幸せを奪った私は、
一体どんな顔で彼の知り合いにあえばいいの?
いっそここから逃げ出せたなら………
『バカなこと言ってんじゃねーよ。』
いつかの工藤くんが言っていた。
『消えてしまいたい。』
そう呟いた私に、彼がかけてくれた言葉。
やめてよ。
あなたを苦しめた私は、消えてしまえばいいの。
「哀ちゃんは悪くないよ。」
蘭、さん……?
「…え…?」
工藤くんが逝ってから2年もの歳月が流れた。
その間私は、悩みふけっていた。
晴れの日も
雨の日も
ずっと、悩んでいた。
蘭さんに、どう謝るべきか。
そもそも、蘭さんから彼を奪った自分に会ってくれるのか?
悩みは積もるばかりで、答えなんかは出てこない。
だけど、謝りたかった。
ただ、謝りたかったの。
許してもらえるなんて思ってない。
だけど、このままじゃただ逃げてるだけになってしまう。
放っておいたら、いつか取り返しのつかない事になるかもしれない。
だからここは先手必勝で、今やれるべき事、するべき事をしようと思った。
…だけどいくら頑張ったって悩むばかりで、一歩も前に進めなかった。
そんな私を見て、博士が連絡をしたんだと思う。
蘭さんが、家に訪ねてきたのだ。
博士は私に目で伝えた。
『自分が思っていることを全部言葉にすればいい。』
と。
私は考えるよりも先に口が動いていた。
「蘭さん、ごめんなさい!
…私はあなたから工藤くんの命を奪ってしまったわ。
だから、謝りたかったの。許してもらえるなんて思ってない。
…ただ、会ってちゃんと謝りたかったの…。
時間はかかってしまったけど、それでも…。」
そこで、言葉がつまった。
私が俯いていると、さっきまで私が急に謝ったせいか、
ポカンとしていた蘭さんが口を開いた。
「哀ちゃんは悪くないよ。」
「…え?」
「哀ちゃんは悪くないよ。そりゃあ、新一が小さくなった原因の薬を作ったかもしれない。
だけどそれは、哀ちゃんが作りたくて作ったものじゃないんでしょ?
それに新一が小さくなったのは、新一の好奇心のせいだもの。
それに、新一は哀ちゃんと出会えて良かったって、きっと思ってるよ。
新一がコナンくんの時に、哀ちゃんと話してる所何度も見たけど、
全然嫌そうじゃなかったよ?
…だから哀ちゃんの事は、誰も責めたりなんかしない。
もう、重荷なんか背負わなくたっていいんだよ。」
本当はずっと、その言葉を誰かにかけて欲しかったのかもしれない。
私の目からは、自然と涙がこぼれた。
「哀ちゃん、生まれてきてくれて、ありがとう。波瀾万丈な人生、結構楽しめたよ!」
そう言って優しい笑顔でハニカむ蘭さんは、本当にすごいと思った。
いつか、私も蘭さんみたいになれるかしら。
『なれるさ、きっと。』
どこかでそう工藤くんの声が聞こえた気がした。
なってみせるわ。
私、もう決めたの。変わるって。
もう一度、この“灰原哀”の姿のまま、人生をやり直そうと思うの。
…工藤くんの人生の償いもかねて。
だから、空から見守っててくれないかしら?
『おう、楽しみにしてる。』
曇っていた空には、いつの間にか光が差していた。
そして、私の心にも。
見上げた空には、いつもあなたの笑顔が輝いているように。
そして、私達も笑顔でいられるように願って・・・。
...END
テストの息抜きです。
初投稿した翌日辺りにかいた作品の灰原編でした。
最近灰原にこってます。何故かは不明…笑
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