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文体がいつもと違います。テンションも大分違います。嫌いな人は嫌いなのかもしれないので、ここでお引き換え視ください。尚、作中に書かれている事は全てフィクションです。念のため。
ダメ!絶対!な話
作:滾


本屋に来た。
来た。
うん。
行き着けの本屋とかではない。
偶然通りがかって見つけた本屋だ。
いつものように、自転車に乗って二時間ほどふらついて見つけた本屋だ。
本屋というか、書店。大きい本屋。
そういえば、本屋と書店ってどう違うのだろう。
そんな事を考えながら、自動ドアをくぐって店の中に入っていく。
入ると左右に“万引き防止”のセンサーみたいなのが置かれている。
まぁ、こんなものは僕にとっては全く関係の無いものだ。
何故なら万引きなどしないからである。
意味の解らないところで勢いづきながら、店内を物色する。
店の外から既に解っていた事だが、店の中に客の姿はあまり見られなかった。
と言っても全く居ないわけではない。
十人に満たないんじゃないかな?位の客が居る程度だった。
だからよほどの事じゃないと通路を歩くのに苦労はしない。
込んだ本屋だと、本を見ている人を避けて歩かなくてはいけない。あの感じが苦手な人にとって、こういった感じはとてもいい。
因みに、“あの感じ”が苦手な人として挙げられるのは僕である。

閑話休題

ともかく、僕は店内を心地良く物色していた。
本に視線をやりながら、ふと、前を見る。
すると学生服の男子生徒が、こちらに歩いてくるでわないか。
髪が逆立ち、いかにも「僕はどきませんが何か?」といった感じの雰囲気をかもし出している。
いや、そんなのはお前のさじ加減だろう。とか言われたら何も言えないから気にしない。
ともかく、そう広くも無い通路を鞄を肩にかけて「僕はどきま(省略)」といった感じで歩いてくるのだ。
まぁ、避ければいい話なのだ。単純に。
こう、体を横にして、「はいすいませんとおりますよとおりますよ」ってな感じに情けなく本棚側に視線をやって通ればいいのです。
が、

が!

僕も男だ。
男なんです。
実は。
ね?

引けない時もあるもんだ。
例えここに同世代の女の子が居ないとしてもだ。引けない時があるってもんだ。
と、いうか、僕はこういうのは避けたくない。
避けるのは何か嫌だ。
と、言うわけで、こちらも「何だこの野郎どけよこの野郎どいたらいいんじゃないかと思うぜこの野郎どいてくれたらとてもうれしいんですがこの野郎」ってな感じで敢えて譲らず歩いていく。
と、
必然的に当たるよね。肩。
まぁ、向こうも当てようと思ってきてるわけだから当たりますよ。
ね?
けどただ当たっただけじゃ駄目。
だって「んだこのテメェッ!アァン!?」何て言われたら困るもの。
だったらどうすると思う?

当たる瞬間に思いっきり肩をフルスイングするのさね。逆にね。

つまり自分から思いっきり力込めて向こうを吹っ飛ばすのね。
いや、露骨にやっちゃだめ。ちょっと解りにくいようにやるのね。
したらね、
びっくりするほど飛んじゃったのね。その
どーん、と。
しかも倒れないように左手を本棚に伸ばしちゃったもんだから、立てかけてあった本を巻き込んで盛大に倒れたのね。

倒れる少年。舞い散る本達。

倒れた少年を見下ろす男(僕)。

この構図はまずい。
とてもマズイ。
明らかに悪いのは僕だ。
そう考えた次の瞬間、僕の脳はフル可動。最上級の演技力で「大丈夫!?」とそのに歩み寄る。
まぁ、ふっ飛ばしといて大丈夫もクソも無いんだけども、これしか無いのね。
「ゴメンゴメン。マジでごめんなぁ」
謝りながら、ふと何かが湧き上がってくる。
徐々に、何で僕が謝っているのか?という疑念がわいてくる。
僕の脳はどーなっているのだろう。
ともあれ、沸いてきちまうもんは仕方が無い。
僕が悪いのか?そう?そうか?

否!!

何か心の悪魔八人衆が零カンマ弐秒で判決を下し、僕はそれに伴って行動に移る。
「あーあー、本がめちゃくちゃだ」
言いながら、本を一冊手に持ち、

シュバァアッ

と風がうなる勢いでそのの鞄の中に突っ込んだ。
やったぜ!へっへぇ!
と脳内の悪魔八人衆が宴をあげている中、表情はあくまでもそのいたわる。
そこに店員が登場し、「あ、片付けはこっちでしますので」と本の片付けを開始。
僕は、「あ、そうですか。スイマセン」と頭を下げてその場を去った。
去った、といっても、店からは出たりしない。
何故なら僕をおとしめた――単なる被害妄想――あの男の末路を見てからじゃないと店を出たくても出れない事も無いけど出たくない。
と、言うわけで、一定の間隔を保ったままおとこを尾行開始。
あのセンサーがなった瞬間。奴が振り返って僕を見つけた瞬間に勝利を宣言してやろう。
と、気分はもはやノート一冊でこの世を変えようとした某青年。
そして男を尾行して五分程経った時、男に動きが見られた。
出口に向かっている。
僕もほぼ笑顔で後をつける。気分はもはや“0○7”だ。隠せてない気がするのは気のせいだと言い聞かせることにしますそうします。

そして遂に、

ピー ピー ピー

センサーが少年の鞄の中に隠された本を察知し、鳴り始めた。

一斉に集まる視線。

笑みを浮かべる僕。

駆け寄る店員。

慌てふためく彼の男。

このまま映画の予告編が作れちゃうような流れの中、彼の男がふと、僕の方を振り返った。

ニヤァアア、と音がする程に笑ってやった。今までに無い笑顔だ。あまりに笑顔過ぎて寧ろ笑顔じゃないくらい笑顔だった。
店員に店の奥に連れて行かれる彼の男を見送り、「さて、帰るか」と僕も店を出る。

と、

ピー ピー ピー

センサーが鳴っているじゃありませんか!!
何故!?
何故!?
混乱する僕に、店員が詰め寄ってきた。
そんな馬鹿な!!
と困惑する僕の目に、

ふと、

店の奥でほくそえむ、彼の男の表情が目に入った。


フィクションです(二度目)。
この話は自転車で放浪している時に考えたものなのですが、その時にフードをかぶって泣きながら電話をして自転車で走ってくる女性とすれ違ったのです。あまりにもおかしな光景だったため、すれ違った瞬間に後ろを振り返ったのですが、もうその女性は居ませんでした(作中とは一切関係ございません)。
そんなこんなで、楽しんで頂ければ幸いです。
あ、作中に書かれたような事をすると捕まりますので、絶対にしないで下さい。ダメ!絶対!













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