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第27話
孤独というものは、時に人を狂わせる。
孤独から人を欲っすることもあれば、逆に殺すこともある。
孤独とはとても痛くて辛くて、悲しいものだ。
ふと振り返ると、延々と自分の足跡が雪の上にぽつぽつと残っていた。
無音の世界。木々は寒そうに身を固くし鎮座している。
何故だかそれが無性に怖くなり、歌子はがむしゃらに走りだした。

ヴォールクの森はあんなにも賑やかだったのに。
同じ森のはずなのに、ここは息を感じられない。
ひっそりと息をひそめ、私を孤独の中に引きづり込もうと無数の手が待ち構えている。
―――闇は私の味方のはずなのに。
心に潜む闇がなかなか消えない。
苦しい。この闇を吐き出せたら楽なのに。

「―――あっ」

ぼふっと雪へ倒れ込む。
痛みは感じない。視界に自分の髪が写り込んだ。
黒い髪。見えないけれど、確実に存在する黒い瞳。
これがなかったら、私はこの世界でどうなっていただろう?
ネロはおろか、オリエントさえも私に見向きもしないだろう。
これは、私とこの世界を繋げる鎖だ。
自分の髪を掴み、歌子は唇を噛みしめた。
雪が積もっていく。私に容赦なく降り積もっていく。
黒という異質を排除するように、純粋な白が私を塗り替えていく。
それは…。

「一人は、嫌だよぅ…」

しくしくと涙が頬を伝う。
ネロ、ネロ。どうして迎えに来てくれないの?
いつものように一人で出歩くなって、怒りに来て。
私をこの世界で見つけたときみたいに、姿を見せて。

ネロに会いたかった。
でも心のどこかで太陽のように暖かい、あの輝く髪を望む自分がいる。
青い海のような瞳。この白い世界で、私以上に異質に違いない彼の存在は、歌子の心を微かに和らげた。

「会いたい…」
―――――歌子!

遠くで声がした。
胸がどくんと大きく脈打ち、勢いよく振り向いた。

『勝手に出歩くでない。心配するであろう』

黒い黒い鷲が、歌子を見つめていた。
あの、大好きな星空の瞳で。
…何を期待していたのだろう?
涙がまた一筋流れる。
ごめんなさい、その一言がなかなか口から出なかった。

『さぁ、…戻ろう。皆待っているよ』

涙の理由を聞かない鷲の優しさが嬉しいけれど、痛かった。
いつかは見送った背中を追い越し、横へ寄り添う。
肩に触れる鷲の羽根が暖かく心地いい。
―――はやく。
無言で傍にいてくれる鷲の優しさが嬉しいけれど、痛かった。
白い世界に二人と言うのは、どれほど心強く喜ばしいことか。
―――手遅れになる。

広大な雪の上に、二つの足跡が延々と続いていた。




今回は暗い話が続きそうですね。
でもいつかはギャグに戻るのでお待ちください。

コメントをくださる方々、いつも有難うございます。
有り難く読ませて頂いています。
これからも駄文しか書けない私ですが、お付き合いください。
【恋愛遊牧民】


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