幸せなおじいさんのお話。縦書き表示RDF


幸せなおじいさんのお話。
作:倉岡玉由


とある小さな街に、独りぼっちのおじいさんがいた。

おじいさんはこの街に生まれ、この街で育ち、この街で結婚し、この街で年老いた。

この街におじいさんが生まれた時、彼の母と父と祖母によってとても喜ばれた。

元気に育ったおじいさんは、みんなと同じように学校に行き、みんなと同じように成長した。

大人になったおじいさんは、橋の上げ下げをする橋守になって一生懸命であった。

一生懸命働いていたおじいさんは、街で出会った女性に恋をした。

初めて声をかけたおじいさんは『結婚してください。』と言った。

女性は『喜んで。』と返した。

おじいさんとおばあさんは結婚して、おばあさんは息子を産んだ。

おじいさんとおばあさんは幸せな家庭をきずいた。

おじいさんは仕事が休みになれば、家族でピクニックをした。

おじいさんは息子に言った。『私はお前を世界で二番目に愛しているよ。』

息子は『父さん、一番目は誰?』と聞いた。

おじいさんは『お前のお母さんだよ。』と答えた。

息子は大きくなって、家を出て働き始めた。

一生懸命働いていた息子は、街で出会った女性に恋をした。

初めて声をかけた息子は『結婚してください。』と言った。

女性は『喜んで。』と返した。

息子がその話をしたとき、おじいさんとおばあさんは二人だけで笑いあった。

息子と女性は結婚して、女性は子供を産んだ。

息子と女性は幸せな家庭をきずいた。

息子は仕事が休みになれば、家族でおじいさんの家に出かけた。

おじいさんはその時、誰よりも孫を可愛がった。

そして、孫をおんぶして自分が働いている橋に連れて行った。

おじいさんは孫に言った。『この橋は私の誇りさ。私が生まれるずっとずっと前からあって、私の憧れだった。』

孫はおじいさんの背中ですやすやと眠っていた。

おじいさんは起こさないように、夕焼けの道を静かに帰った。

孫は、誰よりもおじいさんが好きだった。

おばあさんが死んでしまった時、おじいさんと息子と息子の妻と孫によってとても悲しまれた。

おじいさんはおばあさんが死んだ後も、橋守の仕事を続けた。

息子はおじいさんに言った。『父さん、そろそろ仕事を止めてもいいんじゃないか?』

おじいさんは黙って頷くだけだった。

おじいさんはおばあさんが死んでから二十回誕生日を越した年、静かに眠った。

おじいさんが眠る前、息子が言った。『私はあなたを世界で三番目に愛しています。』

おじいさんは答えを知っていたが、息子に聞いた。『一番目と二番目は誰だい?』

息子は『二番目は息子で、一番目は妻だよ。』と返した。

おじいさんと息子は赤ワインで乾杯して、二人だけで笑いあった。

おじいさんが眠る前、孫が仕事中のおじいさんのところへやってきて言った。『この橋は僕の誇りだよ。。僕が生まれるずっとずっと前からあって、僕の憧れだったんだ。』

おじいさんは誰にも知られずこっそり泣いた。

おじいさんが死んでしまった時、息子と息子の妻と孫によってとても悲しまれた。

おじいさんは眠る最後の日まで、橋を守り続けた。

おじいさんは眠る前に言った。『私は世界で一番幸せだよ。』

おじいさんは、世界で一番幸せだった。

おじいさんは、一杯の赤ワインが大好きだった…。

             幸せなおじいさんのお話。



頭の中に出てきた、おじいさんのお話です。
是非、幸せについてもう一度考えてみてください。
お金ですか?名誉ですか?地位ですか?














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