人からもらったモノを捨てるのが下手すぎる勇者と、そういうのがホント許せない賢者
僕、シャルル・ダンには悩みがある。
見ないように、考えないようにして、ずっと我慢してきた悩みがある。
「――勇者様、どうかこれをお持ちください」
この悩みを解決するため、僕は賢者としての研鑽を積み、全てを見通す神通力も手に入れた。仲間との絆を深め、来る最終決戦への準備を怠らなかった。何より、僕は勇者ユージュを誰より信頼しているし、また、彼から信頼されているとも思っている。
――だが!
「勇者様! この薬草を……旅のお役に立てばと思いまして、持ってきました」
そんなことは悩みを解決するのに些かも役に立たなかった。世界に唯一と評された賢者シャルルの慧眼も、この事態までは見通せなかった。全ては僕のせいだ、僕が行動をしぶったせいで引き起こした事態だ。
「ゆうしゃさま! 村のみんなでつくった花飾りなの!」「大精霊ステラの首飾りです。あなたに神のご加護を」「オウ、勇者の小僧! お前のために神器ラグナロクを最大限まで鍛えといてやったぜ!」「勇者様!」「勇者!」「ゆうしゃ!」「勇者!」
「みんな……みんなありがとう! みんなの気持ち、決して無駄にはしない。誓うよ。魔王を倒して、この世界に平和を取り戻してみせる! さあ皆、行こう!」
言わねばならない。僕が、言わねば。
「あの、さ。ユージュ」
「ん。どうしたシャルル。顔色が良くないぜ」
ユージュはいつも通り、あっけらかんとした顔で僕を覗き込んだ。
これから魔王城に乗り込むってのに、脳天気なやつだ。
「僕らはこれから魔王城に乗り込んで、魔王を倒す。そうだよな?」
「今さら何言ってんだよ。俺たちはそのために旅を続けてきたんだろ? けどそれももうすぐ終わる。転移魔法を使ったら魔王を倒すまで戻ってはこれないからな、何かやり残したことがあるなら、今のうちにやっておけよ」
「そうか、そうだな。じゃあ言うけど、あのな、ユージュ」
「なんだよ」
「ちょっと、捨てないか?」
「……何のことだ? 捨てる? 何を?」
「いやその、これから魔王城に乗り込むわけだし、出来るだけ身軽でいたほうがいいと思うんだ」
「当然だ」
「そうだろ? そうだよな? だったらホラ! 少し不要なものを整理しとかないか? 薬草だってその……そんなカゴ一杯も使わないと思うし……」
「シャルル、見損なったぞ。これはサマリ村の皆が俺たちのために集めてくれたんだぞ? その気持ちを無駄にしろっていうのかよ」
「いや、そういうわけじゃないんだが……じゃあその花飾りは置いていこう、な? それは薬草と違って戦闘には役に立たないだろ? 持って行っても荷物になるし」
「シャルル! これをくれた子どもたちの笑顔を見てなかったのかよ! あの子たちの笑顔が、気持ちが、俺の剣に力を宿すんだろうが!」
「わーかった! ごめん! 花飾りは持っていこう! ていうか僕がかぶろう! でもその形見のお守り……っていうかもう何それ、仏像? 仏像だよな? ちょっとした成人男性ぐらいの大きさの仏像はさすがに置いていこう! 重いから、重いからさ!」
「いい加減にしろ! この仏像には彫った父親とその息子の思いが二代分ずっしり詰まってるから重いんだろうが! 目を覚ませ!」
「その言葉そっくり返すよユージュ! 重いのは物理的な岩石のせいなんだよ! とにかく、ちょっと荷物を整理しよう。捨てられるモノは捨てて、置いていけるものは置いていこうよ」
ユージュはうんざりしたという顔で溜息をついた。
「シャルル、お前がそんな薄情なやつとは思わなかったよ。俺たちは俺たちだけで戦ってるんじゃない。色んな人たちに支えられてここまで来れたんだ。それを忘れたのかよ、シャルル!」
「だって……すぎるんだ」
「なんだって?」
僕は叫んだ。もう我慢の限界だった。
「多すぎるんだよ!」
「何がだ」
「荷物がだよ! 荷馬車百二十五台分はさすがに多すぎるんだよ!」
「しょうがないだろ! 皆の思いを無駄にしなかった結果、こうなっちゃったんだから!」
「なっちゃった、じゃなくて少しは疑問に思ってくれよこの状況を! 百二十五台、百二十五台だぞ!? 蹄の音のせいで話し声は聞き取りづらいし、馬が勝手にモンスターをひき殺すせいで全然戦ってすらいないのにレベルあがったりするし!」
「それの何がダメなんだよ、便利じゃないか」
「強敵との戦いの中で成長したいんだよ僕は! 馬車の中で歯に挟まったニラ取ってるときに最強呪文覚えた僕の身にもなってくれよ! ニラに経験値があったのかと思ったじゃないか!」
「そんな個人的な感情で皆が託してくれた想いを捨てろっていうのか、お前は!」
「想いじゃない、モノを捨てろって言ってるんだ! ちょっとは整頓しようって思わないのかよ! 今までは奇跡的に何とかなってたからいいけど、僕らが今から向かおうとしているのは魔王城だ。城だぞ。荷馬車百二十五台引き連れて自由に歩き回れる城なんか、僕は聞いたことないぞ!」
「だが相手は魔王……俺たちの想像を遙かに超えてくるに違いない……!」
「超えてこねーよ! そりゃ魔力とかについては超えてくるだろうけど、城の間取りはおそらく超えてこねーよ!」
「何なんだよ、さっきからシャルルはワガママばっかり……。なあドゥンガ、ドゥンガからも何か言ってやってくれよ。ドゥンガ? あれ? ドゥンガどこだ?」
ユージュは近くに停留している荷馬車のホロを手当たり次第にめくった。
「あっれ、六番馬車にいたと思ったんだけど……ねえドゥンガ見なかった? 戦士の、ガタイのいい……七番、いや十三番だ! ……あ、ここは面白い形の石を入れた馬車か。ドゥンガー! おーい、ドゥンガいるー? いないー? いないのー!?」
しばらく空を見上げて思案していたユージュだが、ゆっくりと僕の方を向いた。
「……まあとにかくこの荷馬車にはみんなの想いがだな」
「諦めてんじゃねーよ。荷物どころか仲間すらどこにいるかわかんなくなってんじゃねーか」
「ねーちょっとさっきから何? マジうるさくて寝られないんだけど……」
唐突に馬車のホロが一つめくれあがり、下着同然の姿の女が顔を出した。魔法使いのテンコだ。
最近の戦闘で見ないと思ったらあんなとこにいたのか。
「お、テンコ良いところに来た。シャルルがさ、また何か言ってんだよ」
「えー本当にキモい」
「せめて具体的な内容を聞いてからキモがってくれよ。ていうかテンコ、お前装備はどうしたんだ? アグニの杖とか、百識のティアラとか、ほとんど身につけてないじゃないか」
「見ないでよマジキモい。装備ならちゃんとあるし、大丈夫だし」
「ちゃんとあるって、一体どこに……おい。テンコ、ちょっとその馬車の中見せてみろ」
「えっ。やっ、ちょっとやめてよキモい! キモいと思わなかったことがない!」
テンコの腕を押し退け馬車の中を覗き込むと、およそ死地へ赴く冒険者の馬車とは思えぬほどのファンシーな内装が目に飛び込んできた。ところせましと敷かれたぬいぐるみとクッション、いつの間にか持ち込まれたピンクの棚には、所狭しと化粧品が並んでいる。
「おい、なんだこれは」
「何って、アタシの部屋じゃん?」
「部屋ってお前、これは馬車だぞ? 戦いの傷を癒やすための避難所であり休息所だぞ!? これじゃまるで、貴族の道楽じゃないか……おいユージュ、これを見てもまだ整頓は不要とか言うのか!」
「お前人の部屋勝手に見るなよやっぱりキモいな」
「ユージュ!?」
「だってユウちゃんが家具ほとんど買ってくれたんだもん。ありがと、今度手繋いだげるね?」
「ちげぇ、っし! 俺、別に、そんなん目当てじゃねえ、っし!」
「いい加減にしろクソ童貞勇者が! もうあったまきた! 今から僕が荷馬車を全部検品して、不要だと判断したら即座に捨てていく! 反論は受け付けないからな!」
「捨てるたってどこ捨てんのよ、フホートーキはんたーい」
「捨てる場所がないなら燃やしてやるよ! こないだニラ食ってるときに覚えた最強火炎焼滅呪文でな! テンコ、まずはお前の部屋からだ!」
「きゃー! やだやだやだ! ユウちゃん助けて!」
「騒いでも無駄だ! 誰に何と言われようと僕は燃や――」
ふいに視界が歪み、体が平衡感覚を失った。
景色がものすごい速さで流れ、村の喧噪も人々の話し声も、全てが一瞬にして彼方へ消し飛んだ。
「これは――強制範囲転送魔法! ユージュ、まさか――!」
視界に光が戻り、立ちくらみにも似た感覚が収まった頃、僕らの周りの景色は一変していた。
深い霧、生気のない樹木、そして眼前に聳える、禍禍しい巨大な城――。
「ここは……この邪悪な瘴気に満ちた世界は……!」
「気づいたか。ここが魔王の居城のある禁断の土地……魔界だ」
「なんておぞましいんだ……立っているだけで命を吸い取られているようだ!」
「そうだ。シャルルなら魔界の恐ろしさに気づき、なおかつここまで来てしまったからにはもはや整理整頓がどうのこうのと言える空気じゃないと悟ってくれると思って無理やり範囲転送魔法を使いました」
「そのクッソゲスい本音はともかく、確かにごちゃごちゃ言ってられなくなってしまった。魔王に気づかれる前に、城に侵入しなくては……でもどうする? 魔王城は障壁が張られている、あれをどうにかして破る方法はあるのか?」
「安心しろ。この大精霊の加護を受けた聖なる武具が、魔王城の障壁を退けてくれる!」
「……そうか! よし、なら早速行こう! もはや僕らに後戻りする道はない! みんな、ユージュに続け! テンコ、お前は早く着替えろ! 行くぞ!」
ユージュを先頭にして僕ら一同プラス荷馬車百二十五台分がもうもうと土煙をあげて邁進する。
しばらくして、ごん、という鈍い音と共に、前を行くユージュの足が止まった。
「……ユージュ? どうした?」
「いや、なんか引っかかって、荷馬車が障壁の中はいらないんだけど」
見ると、確かにユージュの身体は障壁をすり抜けているが、ちょうど荷馬車だけが綺麗に障壁に弾かれていた。
気まずい空気が僕とユージュの間に流れた。ユージュは力ずくで障壁を越えようとしているが、やはり荷馬車が引っかかって通れない。
僕は思った、これはチャンスだ。ユージュに荷物を捨てさせる最後のチャンスだ!
「あ……ほら、ほらほらほら! やっぱりさ、大精霊も言ってるんだよ、最低限の装備で挑めって! ね? ね? ユージュ、ほら、もうこうなったら仕方ないじゃん? 入れないんだからさ。心苦しいけど、馬車は置いていこう、ね?」
「……わかった」
「わかってくれたか! そうだよな。じゃあ一旦戻って必要なものだけ取り出そう」
「やめる」
「……は?」
「魔王倒すのやめる」
「おいおいユージュ、何言ってんだよ……おい? どこ行くんだ、おい!」
ユージュは顔を腕でごしごし擦りながら元来た道を一目散に引き返していった。
「あーあ。ユウちゃん泣―かした」
「泣かした、じゃなくて、テンコお前もユージュ探すの手伝ってくれよ!」
「なんで?」
「なんでって……決まってるだろ。ユージュがいなきゃ魔王を倒せないじゃないか!」
テンコは心底呆れたというように、弄っていた爪をふっと吹いた。
「シャルくんはさ、ユウちゃんのこと何もわかってあげようとしないんだね」
「……どういう意味だよ」
「ユウちゃんじゃなきゃ魔王を倒せない。そんなのアタシだって知ってるし、ユウちゃんも自覚してる。だからこそ皆はユウちゃんを守ってきた。自分たちにはできないから、時には命を犠牲にしてでも、ユウちゃんに託すしかなかった。ユウちゃんはそういう人たちを、何度も何度も見捨てなきゃいけなかったんだよ。色んな人の思いや願いを踏みにじってまで、ここまでこなきゃいけなかった」
「う……いや、それは……」
「シャルくんはさ、そういうの全部わかった上で、捨てろって言ってるんだよね? あげた人の想いや願いがこもったモノを、邪魔になるからって理由で? それが世界を救う勇者のあるべき姿なの?」
僕はテンコに何も言い返せなかった。ユージュの村が魔物に襲われたとき、彼の両親や幼なじみは、命を犠牲にしてまで彼を生き延びさせようとした。それは僕も知っている。それがユージュを苦しめていることも、知っていたはずだ。なのに、なのに僕は!
「……くそ、くそ! うるさいな。下着姿の分際で!」
「あれ。ねえどこ行くのー? キモいんだけどー?」
「行けばいいんだろ! この百二十五台の荷馬車丸ごと連れて、魔王城まで! やってやるよ、救世の賢者シャルル・ダンの魔力をナメるなよ! でもテンコお前も手伝え、いくぞ、ほら!」
* * *
「ユージュ! ユージュどこだ!」
枯れ木を踏み分けながら、僕らはユージュを探した。
ふと見下ろすと、森の一隅に体育座りで草をぶちぶち抜いている小さい背中が見えた。
「ユージュ!」
「しゃ、シャルル……?」
「ユージュ、僕が悪かった。君がどんな気持ちで戦ってきたか、全然わかってなかった。でもようやく気づいたよ。僕たちが抱えてるこの荷物全てが、みんなの希望そのものなんだよな!」
「……いや、まあ、わかってくれたのは嬉しい、けど……シャルル、それ……?」
ユージュは僕らを見上げながら呆気に取られている。そりゃそうだ。なんたって賢者シャルル・ダン、一世一代の大魔法だ。
「これかい? ビックリしたろ! 荷馬車のままだと無生命体だから、精霊武具の加護も得られないけど、荷馬車を無理やり魔力で結合させて疑似生命体にしてしまえば良いって気づいたんだよ!」
僕は荷馬車百二十五台分を魔力結合させた馬車ゴーレムの腕を、軽く振ってみせた。
「ユージュも早く乗ってくれ! このままコイツで障壁を突破しよう! ――おいテンコ! さっきから右膝馬車がガクガクしてるぞ! しっかり魔力注入しろよ!」
「無茶いわないでよ、これちょー重い上に、左と右で重心違うんだもん!」
「そりゃ右には仏像入ってっからな! ガハハハ!」
馬車ゴーレムに乗り込んだユージュが、何か言いたげに赤く泣き腫らした目を僕に向けた。
「シャルル……なんていうか、その……ありがとう、ありがとうな」
「……そんな顔するなよ。わかってる。辛かったんだよな。世界を救うために何かを犠牲にしなきゃいけなかったのが。でも大丈夫、もう何も置いてかない。何一つ捨てる必要もない。俺たちの全部を」主に馬車だが「魔王にぶつけよう!」
「よし、行こう! この世界に平和を取り戻そう!」
勇者を頭部に乗り込ませて、馬車ゴーレムが唸りをあげる。
しかし動きが重い。痺れを起こしたように、ギクシャクした動きしか出来なかった。
「おい、テンコ何やってんだ! 右足馬車が全然動いてないぞ!」
「なんかさっきから全っ然魔力通らないんだけど! 生体抵抗みたいな感覚があって……ねえ、本当に馬車の中に他の人入ってないよね!?」
「いるわけないだろ! 気合い入れて魔力入れろ!」
そう言った瞬間、右足馬車のホロが外れ、浅黒い顔の大男が顔を出した。
「なんだよさっきからうっせーし揺れるし……って、おい、なんだこりゃ」
「えっ?」「ドゥンガ」「あっ」
わ……忘れてたー!
「ドゥンガ! 降りろ! いったん降りろ早く!」
「ダメだシャルル! 仲間を見捨てたりはできない!」
「あーそうだっためんどくせー!」
「ねえドゥン太郎、魔力出して魔力! あんたのせいで魔力通らないんだから、右足動かしてよ!」
「あームリムリ。オレ魔法とか使えねーし、九九も五の段より先は勘だしよ」
「くそっ、もう無理やり引きずって障壁超えるしかない!」
右足をねんざしたような格好で、馬車ゴーレムは動き出した。
「いける! いけるよ、もうちょっとだよ!」
「がんばれ! がんばれシャルル! あと少しだ!」
頭の血管がブチ切れそうになるほど魔力を馬車に注入する。
あと一歩、あと一歩踏み出せば魔王城だが、その一歩が遠い!
「いけ、いけ! シャルル、いけ!」「シャルちゃん頑張れ! あと一歩だよ!」「賢者様がんばってください!」「がんばれ、けんじゃさまがんばれー!」「私たちサマリ村の修道士も微力ながら魔力を送りますぞー!」
皆の声援が、皆の力が僕に力を与えてくれる。そうか、勇者の言っていたのはこういうことだったんだ。こんなにもあったかい。サマリ村の人たちが、わざわざ魔界まで……。ん? 魔界まで? サマリ村の人が? ……なんで?
村人の声を聞いたユージュの表情が露骨に曇った。
まさか、コイツ。
「おい、ユージュ。まさか、さっきの範囲転送魔法で近くの村ごと根こそぎ持ってきたのか?」
「いや、ちょっと、急だったし、あんま加減もできなくて」
「まさかとは思うけど、あの人たちまで連れて行くとか、言いださないよな?」
ユージュは俯いたまま何も言わない。僕は彼の肩をゆさぶった。
「なあ、ユージュ、さすがに無理だぞ? なあ、なあってば」
「……かない」
「なんだって?」
「もう誰一人、置いていかない!」
「もうやだコイツー!」
* * *
「追い詰めたぞ魔王!」
「ココマデヤッテクルトハナ……ニンゲンニシテハ上出来ダ。ダガソレモココマデ、我ガ魔力ノ前ニ灰燼ト化スガヨイ!」
「おっと早まるな魔王、今日は挨拶に来ただけだ!」
「アイ、サツ?」
「魔王城障壁外城下町、通称ユージュ・タウンが完成した。これはお近づきの印だ、喰らえ!」
「ソバ……?」
「今度城下町の完成式典と祭を執り行う! 魔王、貴様もぜひご出席願いたい! そこで俺たちは全員の力で貴様を倒す、必ずな! 祭の日取りは添付の回覧を見るんだな、それじゃあ待ってるぞハーハハハ!」
「イヤ、アノ、チョット」
「おかえり。魔王どうだった?」
魔王城から帰ってきたユージュに視線が注がれる。彼は高らかに親指を立てた。
「シャルルの作戦通りだ。荷馬車内の資材を使って障壁の外に勝手に城下町を作り、あいつを祭りにおびき寄せて、そこで俺たち全員で倒す! これなら誰一人置いていくこともない、誰も犠牲にしなくてすむ! 名案だな!」
「うむ、それまでに御輿を完成させないとね!」
「うぉーいユージュ。木材の切り出し終わったぜ」
「こっちも出店の準備オッケーだよー」
「よし、魔王に人間の力ってやつを、たっぷり見せてやろうぜ!」
「うおおおおおおおおー!」
後日、魔王は祭りに顔を出したが、人ゴミが凄くて誰も見つけられなかった。