学園騒動記ノイザーズヘヴン!(25/27)縦書き表示RDF


大変遅くなってしまい、本当に申し訳ありませんでした。ご無沙汰しておりましたが、とりあえず少しずつ復帰できそうです。
実際今に至るまでかなりの出来事が続いていたわけですが、ここでそれを語りきることは不可能ですし、まず語るべきでもありません。ですので、何やってたんだバカヤローとだけ言ってくださいw

さて、久しぶりの更新ということでいろいろとてこずってしまいましたが、なんとか更新です。今回はブランクが長かったせいか少々今までと文体が違うものと思いますが、あらかじめご了承ください。

それでは、どうぞお楽しみください。
学園騒動記ノイザーズヘヴン!
作:天澄暢月



File.2 状況開始! 四季之夏の陣 中編3


「これ以上ここに留まるのは無意味だろう。施設内に突入し、生徒議会の侵入者を直接叩くぞ。入り口はそこの正面しかないが、奴らの事だ、妙な力で想定外の脱出劇を繰り広げかねないからな」

 第一班が集まったところで、隊長は僕らにそう告げた。僕らはそれに無言で頷き、研究開発棟の正面玄関を見やる。

 そこにはいくらかの警備員が銃を構えて立っており、まだその辺りに生徒議会は到達してない。正面ゲートで足止めを食ってるものらしい。ただ、それがいつまでもつのかは疑問だ。

 加えて言えば、ここで侵入者を止めたところで、生徒議会が引くわけではない。正面ゲートで現在足止めを食っている連中がいる。だから、迅速に行動しなければきっとここは陥落する。相手に航空兵器がないのが、唯一といっていい救いかもしれない。

「先頭は俺が行く。江神えがみ竹沢たけざわ、付いてこい。葛城かつらぎは後衛を頼む」

 頷く。僕が持っているのはハンドガンとナイフくらいなんだけど、どうしたらいいのだろう。

「葛城くん、これを持っていきなよ」

 江神さんがそう言って放ってよこしたのは、黒く短めな印象を受けるアサルトライフル。さっき彼が持っていたものと同じものだ。

「M4A1アサルトライフル。集弾性が高くてね、扱いも楽なはずだよ。警備員が落としてたやつを拝借したんだ」

 さっきのAKとは違い、現代的でシャープな銃身。黒く光るそれは、まさに鉄。

「弾も、ほら」

 いくつか弾層を投げてよこす。僕はそれをベストのポケットにしまい込む。

 僕が彼にお礼を言うと、そこで隊長が言った。

「畜生、敵が増えてきやがった。急ぐぞ、続け!」

 小型の機関銃を抱えて、彼は走り出す。それに続く僕ら。

 背後では、また激しい銃撃戦が始まっていた。


     ◇


 研究開発棟上空、そこでは一機のヘリが激しいローター音を響かせ、先を急ぐように風に乗っていた。

 そしてその開け放たれた横腹には、巨大な兵器を構えた痩躯そうくの男がにやついた笑みで立っている。

 風に揺れる長髪は灰色、病的にくぼんだ目に光る黄色の瞳。構えた巨大な兵器、その名もM134。通称ミニガン。つまり、かの有名なガトリングガンである。

 弾薬口径は7.62mm、計六本の電動回転する銃身から毎分二〇〇〇から四〇〇〇発を発射する怪物のような兵器だ。本来これは軍用ヘリに固定されて運用される兵器であるが、彼は背中に巨大なバッテリーを背負い、そして彼お得意の重力制御を用いて携行を可能としていた。

 やや銃身を短くし、申し訳程度の軽量化を施しているとはいえ、人間では持ち運ぶ事など不可能なそれを携行できるのは彼だけである。

 そんな兵器をたった一人で運用する彼の名は、浅井護あさいまもる。生徒会風紀課陸上部、第一班に所属している重火員だ。他の仲間は、修理中のこの武器を彼が受け取りにいっている間に先行してもらった。

 垂れ下がる弾帯を不敵にジャラジャラと鳴らし、彼を一層に笑みを深める。計六〇〇〇発の弾帯が彼の肩にヘリの床に垂れ、乗る場所がない物は宙に浮いて静止していた。

「お前のその格好、いつ見ても敵には回したくねえな」

 浅井の後ろにいたヘリの乗員が、彼に向かって苦笑する。

「そうですかー? ワタシはワタシが敵になろうと、特に困りはしませんヨ?」

 そうだろうな、と乗員は苦笑し、さあ行って来いと促す。

 それに浅井は深く頷き、ガシャリとミニガンを構えた。

 そして深く身を乗り出し、

「風紀課陸上部第一班所属、浅井護重火員、降下殲滅こうかせんめつしマス!」

 叫び、空中にその身を躍らせた。

 強大な風が彼の体を打ちつけ、降下するスピードは増しに増す。荒れ狂う風に全ての音はかき消され、視界も風に邪魔される。

 しかし彼は動じない。それどころか、無邪気に風を楽しむ風さえあった。

「さあ、いっきますよぉぉぉぉ!」

 真下に向かってミニガンを空中で構え、そして取り付けたレバーの引き金を引く。

 眼下に突き出されたミニガンの、銃身が妖しくきらめいた。

 瞬間、回転を始めた銃身から猛烈な勢いで弾丸が射出される。その速度、毎秒約五〇発。尋常ではない。

 まさに弾丸の豪雨を敵の群れへ向かって放射する。その銃声は全く途切れることなく、豆鉄砲などおもちゃだと声高らかに宣言している。

 滝の流れるような音を響かせ、彼はそのまま落下する。その眼下では、生徒議会の連中があれよあれよと姿を消していく。

 ミニガンとは、『遠距離用ショットガン』といわれるほどの代物。このような速度で弾丸をばら撒かれては、打つ手などない。

「イィィィィィィヤッハァァァァァァァ!」

 何かキメたかのように満面の笑みで彼は撃ち続け、重力制御でミニガンを抑えつける。驚異的な速度で地面が近付き、程なくして弾が切れ、そこで着地。

 重力を最大限減衰させ、地面の一歩手前で急停止。彼の周囲で風の奔流が起き、生徒議会の連中が吹き飛ぶ。巻き起こった音響はさながら音の爆弾。地面に軽くクレーターさえ発生させる。

 着地した彼は、その隙に新たな弾帯をミニガンに装填。そして歓喜の雄叫びと共に、再びミニガンを掃射した。

「さあ喰らえ喰らえ喰らえ喰らえええええええええ! 欲しいでしょう欲しいでしょう欲しいでしょう! この弾丸が欲しくて欲しくて、アナタたちはここの来たのでしょう!? ならばワタシは与えよう、思う存分与えよう、誰彼構わず、場所など問わず、生涯かけても尽きさせ得ぬほど!! イィィィィィハァァァァァァ!!!」

 ミニガンの銃声に負けず劣らず彼の声は戦場に響き渡り、そこに存在する全てを恐懼させた。

 同時、彼の周囲から人の姿が消えてゆく。代わりの光の粒子が飛びに飛び、辺り一面光化粧。あたかもそこは、人魂集うあの世の楽園。

 地面と平行に降り注ぐ弾丸の驟雨しゅうう。それは立ちはだかる全てのものを駆逐し、蹂躙じゅうりんし、破壊してゆく。たとえ相手が鉄であろうと、結界であろうと、何であろうと。それがどうしたとかん高い叫び声を上げ、突き抜けていった。

 そうして彼が最後の弾帯を尽きさせたところで、辺りに人の姿はなくなっていた。味方は退避したものの、壁という壁は削られ、車両という車両は大破炎上、防御の要である正面ゲートですら廃墟の風情。四方三六〇度に渡って掃射された六〇〇〇発の弾丸は、とてつもない威力を見せ付けている。

 その間、わずか二分ほど。

 浅井は煙を上げるミニガンを構えたまま、カクリと首を動かし、空を仰ぐ。

 そして大きく恍惚こうこつとしたため息をつくと、こう漏らす。

「大火力……万歳……!」

 彼は生粋の、乱射狂トリガーハッピーである。




──学園騒動記ノイザーズヘヴン!

────File.2 状況開始! 四季之夏の陣 後編1 へ続く


─次回予告─
学園騒動記ノイザーズヘヴン!
File.2 状況開始! 四季之夏の陣 後編1
4月6日公開予定

※執筆状況により、数日前後する場合があります。











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