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12時間の長い夢を
作:氷月



猫の腐食した身体


そのまま走り続けて居たときだった。

『ギャァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』

私は後ろを振り返った。
後ろにいたのは虚だった。猫が、虚を食べている。

「え・・・。」

目を疑った。
それと同時にものすごい吐き気が襲ってきた。

「うえっ・・・・・・・・・・・・ゲホッ・・・・・!!」

「だっ、大丈夫?」

「き・・・気持ち悪い・・・・・・・・。」

私がかがんだときだった。
虚の頭がゴトッと落ちて転がってくる。

「うっ!!」

手でバシッと払おうとすると、その頭は私の腕に食いついてきた。

「うあっ!!」

『ヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ』

「くそっ!」

皐月がそれを蹴り飛ばした。
猫は再びそれに群がった。

「早く行こう!とりあえず・・・このままだと僕たちも食べられる羽目になるからね。」

皐月に肩を支えられながら、私は走った。







ある建物の前で、皐月が足を止めた。
虚が追ってきていないコトを確認すると、「こっち」といって手招きする。

「斗夜がここに居ると思うんだけど・・・。」

「仲間・・・?」

「うん、そう。」

中にはいると、そこには血みどろの絨毯があった。
私は思わず口元を押さえた。皐月は平気そうな顔をして、歩いていく。

一応玄関の鍵が開いていることを確認して、私は後を追った。

「斗夜、仲間だよ。」

その人は、私に背を向け、ソファーに腰掛けていた。
返事がない。

「もうちょっとこっち来たら?」

「え、う、ううん。大丈夫。」

「そう?」

皐月が斗夜と呼ばれた人の前に立った。
そのまま手を取ると、引っ張るように立たせる。










「ほら、もうちょっとで仲間。」











私は後ずさった。
そのままリビングを抜け出す。

「待ってよ。もう少しゆっくりしていったら?」

『ググググァァアアアアアッ』

「ほら、斗夜もそう言ってる。」

皐月も、敵だったんだ。
この説明書はあくまで私の味方なんだろう。取り込まれたら、私もああなっていたんだろう。

「ねぇ、待ってよ。」

「待たないよ!君の言ってることなんて嘘でしょ!?分かってるんだから!!」

「人聞き悪いなぁ。君を助けるなんて一言も言ったつもりはなかったんだけど、やっぱり勘が良いというか、何というか。」

『ヒャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

長い金切り声が聞こえた。
私は玄関のドアにタックルする。

「何で鍵かかってんのよ!!」

肩が外れるかと思うほど力強くやってる。
びくともしない。

「もうっ!!」

2階へ上がる階段がすぐ見えて、皐月が迫っていた。

「来ないで!!」

「仲間にするまでは追うけど。」

「うぅう・・・・・・!!」

一番近い窓を探す。
丁度、ガラスの割れている所がある。

助走を付けて、ガラスに突っ込んだ。

「くっ・・・!!」

ガシャァンと音がして、私はそのまま地面に着地した。
そのまま来た道を引き返し、とりあえず走った。

だが、皐月は付いてきていた。

「逃げれると思ってる?」

「来ないで!!」

ポケットに入っているものをしつこく投げてやる。
だが、皐月はニタァッと笑って、さらにスピードを上げた。

「きかないよ。そんなの。」

私の肩につかみかかって、そのまま馬乗りになった。
皐月の拳を避けながら、私はライターを手探りで探す。

「死ねば良いんだ、こんなゲーム終わりもしないんだから。」

「や・・・めろ・・・!!」

「死ね死ね!どんどん死ねばいい!!僕が順々に殺してあげるよ!!ほら!!怖がらないで・・・!!」

遠のく意識の中で、私はスプレー缶のボタンをギュッと押した。
ライターをそのままそこに入れる。

「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

「私は・・・負けないんだから!!」

「ヒャァアアアアアアアアアッ!!熱い!!熱いぃぃっ!!」

顔を覆って、皐月が離れた。
私はそのすきに、皐月が握っていたバットを奪い取ると、渾身の力で振り下ろした。

メキッっと音がして、皐月が倒れた。
身体がドンドン燃えていく。

「くっ・・・・・・・・・・・あぁ・・・・・・・・・・・。」

顔が痛い。
腫れ上がりすぎて、もう鏡を見なくてもどういう顔か分かる。

後ろに、猫が迫っていた。

『キャァァァ・・・』

「・・・・・・・・・・・・・・・・あっちいけよっ!!!!」

スプレーを振りまいて、火を付ける。
猫は苦しそうに藻掻き、『ギャァァァアアアアアアアアアアアアアアアッ』と声を上げて、燃えていく。

するとそれに飛び交うように、周りの猫が飛び込んだ。

『キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああアッ』

「うっ・・・・・。」

酷い匂いに、腹部がつねられるように痛んだ。
それを我慢して、私は説明書の「ゴール」と記載される部分まで、走り出した。
















続く


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