勢い余って消えてしまえ
私は無心にバットを振った。
ナイフがあればナイフを、包丁があれば包丁を、武器になる物ならなんでも振り下ろした。
みんな首がもげて倒れている。
私は息切れするのも忘れて、ただひたすらに、走っては薙ぎ、走っては薙ぎ、虚を踏みつけて、ゴールを目指す。
「はぁ・・・はぁっ!!」
『キヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!』
「うあぁああああああああああっ!!」
『アハハハハハハハハッ!!ヒィヒヒヒヒヒヒヒッ!!』
「うああああああああっ!!」
説明書がドロッと音を立てた。
私はそれを手の上で見つめた。
「えぇっ!?」
その時だった。
目の前になにやら怪しい扉がある。
「何で?何で!?」
もう何人が私に倒されたんだろう。
無意識に後ろを振り返った。
「だ・・・だれも・・・いない。」
静かだった。
ヘンな気配もない。襲ってくるような感じもない。
ただ虚だけが道路にうちひしがれている。
「終わった・・・のかな。」
私はちょっと戻った。
すると、右側から眩しい光が差す。
太陽だ。
「あぁ・・・・・・・・・・・・・・。」
終わったんだ。
私はバットを降ろした。
扉にむかって歩く。太陽に照らされた扉はよく見ると自分の家のドアだった。
「終わったんだ。」
ドアノブを握った。
そのまま押し開く。
あぁ、眩しい。
「ただいま・・・。」
私はボソッと声を出した。
「あぁ・・・・貴方!!帰ってきたわ!」
父さんと母さんが私に駆け寄った。
ぎゅっと抱き締めて、温かい事を確認する。
「警察にも連絡したし、友達にも電話したし・・・もう、心配したのよ!?どこに行ってたの。」
「・・・説明しても、分かってくれないよ。私もよくわからないんだ。」
そうだ。
きっと分からないんだ。
母さんも父さんも普通の人間だ。これで安心できるかどうかは分からないけど、もしこの世界も作られたゲームの世界なら、私はまたクリアできる。
説明書が来ても焦っちゃいけない。
もし君の所に来たとしても、大丈夫。惑わされないで。
夜明けは来るよ。
大丈夫。夢は覚める。どんなに長くても、どんなに奇妙でも。
でも忘れないで。
君宛に説明書が来たのなら。
ずっと持ってなきゃいけないよ。
無くさないでね。捨ててもきっと、君のポケットに入ってるから。
もう一度聞きますけど。
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