12時間の長い夢を(11/11)縦書き表示RDF


12時間の長い夢を
作:氷月



勢い余って消えてしまえ


私は無心にバットを振った。
ナイフがあればナイフを、包丁があれば包丁を、武器になる物ならなんでも振り下ろした。

みんな首がもげて倒れている。
私は息切れするのも忘れて、ただひたすらに、走っては薙ぎ、走っては薙ぎ、虚を踏みつけて、ゴールを目指す。

「はぁ・・・はぁっ!!」

『キヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!』

「うあぁああああああああああっ!!」

『アハハハハハハハハッ!!ヒィヒヒヒヒヒヒヒッ!!』

「うああああああああっ!!」

説明書がドロッと音を立てた。
私はそれを手の上で見つめた。

「えぇっ!?」

その時だった。
目の前になにやら怪しい扉がある。


「何で?何で!?」






もう何人が私に倒されたんだろう。


無意識に後ろを振り返った。







「だ・・・だれも・・・いない。」






静かだった。
ヘンな気配もない。襲ってくるような感じもない。

ただ虚だけが道路にうちひしがれている。

「終わった・・・のかな。」

私はちょっと戻った。
すると、右側から眩しい光が差す。














太陽だ。












「あぁ・・・・・・・・・・・・・・。」


終わったんだ。
私はバットを降ろした。
扉にむかって歩く。太陽に照らされた扉はよく見ると自分の家のドアだった。

「終わったんだ。」

ドアノブを握った。
そのまま押し開く。











あぁ、眩しい。


















「ただいま・・・。」

私はボソッと声を出した。

「あぁ・・・・貴方!!帰ってきたわ!」

父さんと母さんが私に駆け寄った。
ぎゅっと抱き締めて、温かい事を確認する。

「警察にも連絡したし、友達にも電話したし・・・もう、心配したのよ!?どこに行ってたの。」

「・・・説明しても、分かってくれないよ。私もよくわからないんだ。」

そうだ。
きっと分からないんだ。
母さんも父さんも普通の人間だ。これで安心できるかどうかは分からないけど、もしこの世界も作られたゲームの世界なら、私はまたクリアできる。









説明書が来ても焦っちゃいけない。
もし君の所に来たとしても、大丈夫。惑わされないで。














夜明けは来るよ。
大丈夫。夢は覚める。どんなに長くても、どんなに奇妙でも。

でも忘れないで。













君宛に説明書が来たのなら。















ずっと持ってなきゃいけないよ。
無くさないでね。捨ててもきっと、君のポケットに入ってるから。
















もう一度聞きますけど。




















説明書はお持ちですか?


ありがとうございました!!













ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP


小説家になろう