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中二病
作:高浜ゆりえ





その少年は、数々の悩みを抱えて生きていた。


悩みといってもそれほど大きな悩みではないが、十年と少ししか生きていなかった彼には小さな悩みでも心を痛めるのには十分であった。

学校ではいじめや、好きになれない勉強、そして周囲の人間に溶け込めない自分がいた。

蹴られたら、痛かった。

殴られても、痛かった。

血が出るほどの痛みではないにせよ、その少年は大きな怪我をしたことがないために、痛みに対する耐性がなかったのだ。

「なんでお前はそんなに、頭が悪いんだ?」

これは、その少年の親が放った言葉だ。
少年の周囲の大人達は自分のそんな悩みなんか知らずに、ただただ努力しろと要求ばかりしていた。

バカ


と言われることが、少年には多かった。
少年は親やクラスメートから言われるのが辛かった。

救いは、それでもあった。

少年には好きな人がいた。
好きな人が少年を好きかなどは少年には関係はない。
少年はただただ好きだったのだ、だからこそ辛い現実をも耐えられた。

まるでそれは、ガラスケースの中の綺麗なものを眺めるような行為だけど、辛い現実を眺めるよりは楽しかった。



少年は、様々なアニメを見た。
アニメーションは現実とは全く異なる世界の事象であり、少年は現実から逃避している節もあった。
基本的に三十分の時間で一つのアニメ、それを眺めて夢想することが少年の日課だった。


それだけの救いがあったから、少年は生きていた。


そしてもう一つ、少年には好きなものがあった。

学校の窓から覗く、美しい世界。
見慣れた街並み、自然、矛盾かもしれないが、少年には自分を追い詰めているはずの世界が美しく見えた。

だからこそ、美しい世界において自分は不要なのではないか、と少年は責めることもあったが。

そんな時、少年は窓に仰向けに寝そべり、顔を空に向けた。

視界の上には街並み、下には一面の青い世界。

今、身を乗り出したらこの青い空に落ち、どこまでも続く青い世界を永遠に落下していくのではないか、と少年は夢想する。


―しかし―


チャイムの音が、少年を現実に引き戻す。
夢想した非現実から、用意された現実へ。


少年は、そうして生きていた。


そして今、少しだけ大人になった少年はその頃に戻ってやり直せればと少しだけ後悔するという、困惑する中学二年生のような症状。
いわゆる中二病を発症する。



中二病。


それは、現実と夢想の世界を行き来する若い命の、葛藤の副作用なのかもしれない。



             終わり。




なんだかよくわからない作品かもしれません…‥













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