その壱拾壱 頭部強打晴後曇
何度も口でなぞった挙げ句、やっぱり僕の考えは同じ所を巡るばっかりだった
もう色々悩み過ぎて禿げそうだ
とかなんとか思いながら過ごした授業は全く身が入らずに、結局すぐに放課後になってしまった
我ながら爺臭いとか思うが、時が経つのは早いもんじゃのぅ
とか、本気で今なら言えそうな気がするんだ。うん。
稜真には
「早くしないとお前一ヶ月なんてあっという間だぞ?」
とかいう殺し台詞をいわれて、俺の心理を粉々に砕かれた
ガラスのハートは脆いんだぞ!って言ったらきっと爆笑される、と思ったからそこまでは言わないでおいたけれど
俺は稜真じゃないから、そんな行動に出せるような勇者の心は持ち合わせちゃいないんだ
うん、逆にそんな行動派だったら今はぐれ刑事純情派のオファーが来てる。絶対きてる。
そんな事を思いながら校門を潜って帰ろうとした時、いきなり頭を何か堅い物で思い切り殴られた
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」
悶絶
というかこの場合は声にならない悲鳴
俺はその場に頭を抱えてしゃがみ込んだ
何が起きたのか、全く理解出来ない。むしろ理解したくもない。
そんなことを思いながら顔を上げた時、逃げ出したくなるような見覚えのある顔が俺の視界に飛び込んできた
「神楽、さん」
仁王立ちをして、左手に竹刀をばっちり構えている神楽さんを目の前にしてこのまま校門を潜ってさようならを安易に出来るほど、この世界は甘くないらしい
できることならこのまま黙って走り去ってしまいたいとか思うけど、きっとそれも不可能なんだろう。
――――――――え?
何故って?
そりゃ神楽さんの後ろに何人も(※きっと無理やり仕事を手伝わされてる陸上部の部員の方々※)居ますからね
万年帰宅部の俺になんてすぐ追い付いちゃうでしょ。うん。
俺は溜息を押し殺して神楽さんに向き直った
きっと他の誰かだったら思い切り溜息をついていたかもしれない
そりゃもう海の底に届くくらい深いやつ
「君、何してるの」
疑問系にならない質問を投げかけられた
顔を合わせたくなくて帰ろう(正確には委員会をばっくれよう)と思ったのにここで会ってたら無意味じゃね?
とか考えてると、しびれを切らしたのか、神楽さんは僕に竹刀を突き付けた
「仕事、」
はい、もちろん神楽さん
「やります。」
いえ、やらせて下さい。
俺はどうしてこの人のことが好きだったんだっけ?
とかその瞬間から走馬灯のように蘇る記憶の数々から答えを導きだそうとしていた
神楽さんの顔を上手く見れない自分が居る事にはもう自覚できるくらいにはっきりしていて、
やけに左胸の音が五月蝿く感じてた
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