第1章 あたしは、猫。(1)
あたしは猫。
名前はアリス。
歳は一歳。でも、もう大人よ。
あたし、今日は大嫌いな主人に連れられて、隣町まで来ているの。
なんで大嫌いかって?
だってこの主人ったら、なんだかいつも、何に対しても熱狂していて、あたしはその様子に興ざめしちゃう。
いい歳なんだからもうちょっと落ち着けないのかしらって、ずっと思ってる。
この間だって、どこそこの女の子が結婚式に出るからって、なぜか大はしゃぎ。わざわざ出かけていって、人の迷惑も顧みずにドレスを押し付けてあれが似合うだのこれが似合うだの、おせっかいを焼きまくって帰って来たわ。
あたしはその後、そこの家の奥さんが迷惑そうに舌打ちしているの、しっかり見たんだから。
あーあ。主人ったら、そんなことばっかり。
あたしに対しても同じで、放っておいて欲しいのに、ひたすら自分の都合で可愛がろうとする。
そんなに馴れ馴れしくしたいんなら、もっとぴったりの――そうよ、従順な犬なんかを飼えばいいのに。
あたしは、とにかくそういうの駄目なの。
もっとクールに生きていきたいのよね。
――ああ、それにしてもなんて暑いのかしら。
こっちは毛皮着てるんだから、もうちょっと考えて欲しいわ。まったく気が利かないったら。
まあでも、しょせん、あたしなんて単なる所有物。
――そんなこと、分かってはいるんだけど。
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碧檎です。
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2010.10.1
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