96ページ目!一度目の対面
――数時間前。魔術師達が雪の国に集結する前。厳密に言えば、三老師の計画が再始動した後の話だ。
「――しかし、そうなると、どう封印するかが問題じゃな」
神の召喚に必要なものは揃っている。が、そのためには、まず、神を封印しなければならない。
「神には魔術も召喚獣も通用しないぞ」
と自信満々に口にするゲインシュタインに、チェルブリオは疑問符を浮かべたような表情をしながら、
「何でそんなこと分かるんだよ?」
と訊いた。
ゲインシュタインは問いに対し、こう答えた。
「事前に調べたからだ」
ゲインシュタインは、この時既に知っていた。
神が不死身であること。最上級の魔術も召喚獣も通用しないことを。
そして、その事を聞いていたカリオストロとチェルブリオの二人。彼等もまた、この時既に知っていたのだ。
「何も通用しないとなると、封印は困難を極めるのう」
しばし沈黙が続く。
と、その時、森林の方から物音が聞こえた。
チェルブリオは音に気づき、森林の方を向いた。
葉から雪が落ちたわけではなかったようだ。
そこには、白狐の少年がいた。
人尾だ。全滅したと思われていた人尾が生き残っていたのだ。
仲間を殺した者と思っているのか、少年は殺意に満ちた目で三老師を睨みつけていた。
その目が、チェルブリオの気に触れたのだろう。
ザックザックと軽快に雪を踏みながら、少年の方へ向かった。
少年の威嚇が一層強まる。
その威嚇が更にチェルブリオを怒らせた。
瞬間、チェルブリオは少年の腹部に思い切り蹴りを入れた。
「っぐ!」
まるでサッカーボールのように蹴り跳ばしていき、そして、カリオストロとゲインシュタインのいる場所に向けてゴールを決める。
最初は強気な態度を見せていた少年だが、今は完全に衰弱しきった状態だ。
白い体毛に付着する血。青紫色に滲んだ傷。バタリと片方に体を傾けた状態で倒れていた。
「運のいい奴だ。人尾の生き残りだぜ、コイツ」
と言いながら、顔で少年を見るよう合図を送るチェルブリオ。
カリオストロとゲインシュタインは瀕死状態の少年を見た。
「ふむ、他にも隠れているかもしれぬ。チェルブリオ君。少し辺りを見て回ってきてはくれぬか?」
ゲインシュタインは鉄杖で少年の体をつついていた。
チェルブリオは、先ほどとは逆方向の森林に足を踏み入れた。
「人尾の存在を知られぬよう、この場で始末せねばならぬ」
おーい、とチェルブリオ。
「まだ息があるぜ。コイツも」
その手には、耳と尻尾が焼け焦げた人尾の少女が持ち上げられていた。
人尾の少女と少年。生き別れるはずだった兄妹は、最悪の形で再会する。
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