95ページ目!その名は、弧月!
全方に配置されていた魔術師達は、一ヶ所に集められていた。
中心、カリオストロ率いる頂の部隊がいる場所だ。
雪が浅く積もった平地。一面が真っ白だ。その地とは対象的に空は真っ黒だ。
神は、中間の層ら辺の空を旋回している。
今のところは攻撃の意思は見られず、自由気ままに飛んでいると言った状態だ。
残された魔術師の数は、三十名。
その半分以上が瀕死に近い状態だ。支援という形での戦闘ならまだしも、直接戦闘に参加することはまず無理だろう。
先頭に立つ、五名の指揮者達。背後からは苦渋の声が何重にも重なって聞こえる。
「魔術も召喚獣も通用しないとなると、儂等に勝ち目は無いかもしれぬな……」
カリオストロは力のない声で口にする。
反論がない。口にこそ出さないが、誰もが心のどこかで認めているに違いない。
「ミスリルはどうなんだ? まだやってないだろ?」
綾がそう問うと、ゲインシュタインは首を横に振りながら、
「やったところで無駄だろう。奴の機嫌を損ねたら、何もかもが終わってしまう」
と言った。
「それじゃあ何か? このままボコられるのを待てって言うのかよ? 冗談じゃねえぜ! そんなの!」
再び活気を戻したのは、チェルブリオだ。
しかし、活気が悪い方向へ進み、チェルブリオは自分よりも二回りほど小さいゲインシュタインの、仲間の頭を握り潰そうとした。
「では、問おう。お前は奴を倒せるのか?」
しかし、ゲインシュタインは恐れることなく挑発する。
綾と超鳴が止めに入ろうとするが、空いた腕でチェルブリオが二人を塞いだ。
「結果を出してもいないお前の言うことなど、ただの戯言に過ぎない。説得力に欠けるのだよ」
「――よさぬか、馬鹿者」
仲裁に入ったのは、カリオストロだ。
両者、引き際だと感じたのか、距離を置いた。
綾は、無言で、その様子を凝視していた。
「超鳴よ。君の持つ『弧月』を試してみてはどうじゃ?」
超鳴は脇腹に目を向けて、
「“弧月“アルか?」
鞘から刀を抜く時の真似をし、弧月を抜いた。
短身の者に不釣り合いな、その細長い日本刀。刀身は優に二メートルはある。
ふむ、とカリオストロ。
「弧月の“斬れないものも斬れる“という力なら、奴にも効くのではないか?」
斬れないものも斬ることが可能な日本刀・弧月。
超鳴は弧月の鍔と睨み合い、悩む。
「奴を誘導することなら可能。ここは、弧月に賭けるべきじゃ」
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