81ページ目!世界三大魔術師・魔天老!
「大蛇は鼠を喰らう、激流は大蛇を喰らう、激流は難航を呼ぶだろう――バイキング・レイン」
紡がれた言葉。
瞬間、ジークフリードの周囲に波が走った。
最初は小さく、やがて、大きな波に変えていく。
大波は壁となり、激流を轟かせながら渦巻く。
終始、大波を裂く轟音が鳴りっ放し、水飛沫が飛び散る。
ジークフリードは波の動きに目を合わせていた。
と、上空、三本の柱の中間の柱に、その魔術師がいた。
頂の魔術師・カリオストロ。
百以上もの魔術師が存在する、この世界の頂点に立つ魔術師。それが、カリオストロだ。
湾曲した刀・カットラスで眼前の空を斬る。
「君が今まで使っていた力は、君のものではないのだよ。ジークフリード君」
ジークフリードの顔が引き攣った。
「頭が逝かれたのかァ!? 俺は今までずっと力を使ってたんだぜ!?」
「――だから、今までずっと他人の力を自分だと思ってたってことだろ? 糞犬」
左の柱に、もう一人の魔術師が現れた。
しかし、それは、人と呼ぶに抵抗を感じる姿をしていた。
何故なら、その魔術師の顔は機械で作られていたのだから。
光のない丸い球体が二つ埋め込まれている。
だが、髪は生えている。白髪のオールバックだ。
服装は、赤い厚手のロングコートのみ。中は分からない。中も機械で作られているのかもしれない。
柔道の選手のような肉体を持ったその魔術師の見た目は かなり若く見える。
恐らく、実年齢より二十は若く見えるだろう。
破戒の魔術師・チェルブリオ。
戒律を無視し、その暴力的な力で、自分が気に入らないものを破壊する。
ジークフリードと通じる部分があると思う。
「そういうことだ。名も無き魔術師・ジークフリードよ」
右の柱に最後の一人が姿を出す。
濃い青の軍服に身を纏った魔術師。背丈が小さくて、腰が曲がっているせいで、より小さく見える。
髪は無いが、頭には軍服と同じ色をした帽子が被さられている。
片手には鉄の杖を、もう片方の手には“辞書のように分厚い本“を持っていた。見た感じ、かなり重そうに見える。
空想の魔術師・ゲインシュタイン。
想像を創造させるという魔術の概念を生んだのは、他でもないゲインシュタインだ。
「お前が使っていた力は、私が与えていたものだ。お前のものではない」
「っざけんなァ! 俺の力が俺のものじゃないはずがねえ!」
吠える。まるで、
「吠えるなよ。糞犬」
犬のように。
歯を食いしばりながら、歯茎から血を流すくらい強く食いしばりながら、ジークフリードは憎悪に満ちた眼差しを刃の如くぶつけ続けた。
カリオストロは、清澄な口調で告げる。
「さて、御別れの時間が来たようだよ。ジークフリード君」
三本の柱に立つ、三人の魔術師。
人は彼等を、魔天老と呼ぶ。
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