お稲荷さまの秘め事!(80/135)PDFで表示縦書き表示RDF


 ここまでの秘め事は!
 ジークフリードとの激闘に勝利した立麻さん!
 様々な謎が解き明かされつつある中、ついに、魔天老が動き出す!

お稲荷さまの秘め事!
作:俺とキルマシーン



80ページ目!魔天老が動き出す!


 中心、円状のスポットライトが一人の魔術師に照らされた。
 顔以外はその身に纏う外套により隠れている。しかし、袖の尺の関係上、手の甲だけは顔半分だけ露となっている。
 その手の甲には、魔法陣が刻まれていた。
 革命の魔術師・ジークフリードだ。
 ジークフリードは、綾辻立麻と言う、異質の力を秘めた人間との戦いに敗北した直後、ここに強制的に送還された。
 この、魔天老の聖殿へと。
 つまり、彼を送還したのは、他でもない魔天老である。
 ジークフリードは傷を負っていた。――はずだったが、傷は完全に癒えていた。
 周囲を見渡すが、何故か、人気を感じない。

(クソジジイ共がいねえなァ)

 人気のない、空間。
 その物静かな空間は、いつにも増して不気味である。
 と、空間の前方、陰影に覆われたそこから、地面を擦るような足音が聞こえた。
 最初に光が捉えたのは、小麦色の草履。
 次いで、群青色の着物の裾。
 全体像が露となった時、その、侍のような格好をした老人が露となった。
 刀身が湾曲した鋭利な刀・カットラスを佩刀(はいとう)し、胸に晒しを巻いている。
 胸元から片腕を出し、口にキセルを咥えており、風流を感じさせる。
 白髪を後ろで一本で束ね、口回りに白い髭を生やしていた。
 外見を見ての通り、かなり年老いた印象があるが、どこか若々しい印象もある。
 その老人は、清澄な口調で話を切り出してきた。
 薄く開かれた細目が向けられる。

「何故、儂等の所へ呼ばれたか、分かるな?」

 ジークフリードは、感じる。
 いつもとは違った空気を。

(人気がないように感じたのは、氣を消していたってことか)

 ジークフリードは、不敵な笑みを浮かべた。
 人をおちょくるような口調で、

「何故だろうなァ。俺には、ちっとも分からねえなァ」

 と言った。
 ふむ、と老人は頷く。
 刀に手を掛けて、

「この世の革命を邪魔する事。それは即ち手前の終焉を意味する。――“そういうこと“じゃよ。ジークフリード君」

 空を裂いた。

「今回の騒動の責任は、君の命で償ってもらうよ」

 ふふ、と不気味に笑みを溢す、ジークフリード。

「老いぼれが言うねェ。いいぜ? くれてやるよ。俺の命をよ」

 ただし――、と続けて、

「手前が死んでなけりゃなァ!!」

 威勢よく叫ぶ。
 手を前に出し、魔術を唱えようとする。
 が、魔術が唱えられない。
 ジークフリードは、己の手の甲を見た。
 燃え、てる……?
 それは、自分の目を疑いたくなる光景であった。
 手の甲に刻まれていた魔法陣が、青白い炎を上げて燃えているのだ。
 それこそ、紙が燃えるように。
「――どうした? ジークフリード君。早く、儂を殺してみろ」












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