70ページ目!革命の刻、来たる……!
唖然とした表情のまま、立麻は硬直していた。
が、瞬間、白の方を振り向いた。得体の知れない何かに恐怖したような、驚愕の眼差しを向けた。
白は、寝ていた。心身共々、疲れてしまったのだろう。
立麻は、安堵に息をつく。
そして、ロミオと鈴鳴の二人に告げる。
「今、言ったことは、白には言わないでくれ」
「なぜアルか? 事実を知らせないと、騙されたままになってしまうヨ」
立麻は、真っ直ぐな眼差しと声を向けた。
「白にとっての魔天老は、育て親と同じなんだ。
仲間も故郷も失って、更に育て親にまで裏切られたなんて知ったら、どうにかなっちまう。
だから、今は、黙っていてほしい」
立麻は重苦しい面持ちをしていた。悲しみはある。が、怒りの方が何倍にもあるだろう。
何故なら、爪が食い込むくらい、強く、拳が握り締められていたからだ。
「……そうアルね。様子を見て話すほうがいいネ」
「すみません……」
「アンタが謝る必要はねーよ。魔天老が悪いんだから」
立麻はロミオに、優しく、けれど、辛辣な形のある笑みを向けた。歯をニカッと見せながら。
「つっても、魔天老だけが悪いわけじゃないぜ。形はどうあれ、アンタも手を貸したんだから」
「そうアルよ。罪は罪ネ」
ロミオは、二人に対し頭を下げた。
「……なんで、ジュリエッタがオマエの事を忘れてしまったか分かるアルか?」
一変し、鈴鳴は優しい口調で語り掛けた。
「昔のように、命を大切にしないからアルよ」
「はい……」
だから――、と鈴鳴。
「昔のように、命を大切にするアルね」
その言葉は、ロミオの心を少しだけ軽くしたのかもしれない。
しかし、ロミオは衰弱しきった表情のままだった。
「戻ったところで、私の犯した罪は消えませんから……」
そうだ――、と野太い声が。
その声は、その場にいる者の声ではなかった。
瞬間、強大なる魔力が、全員に重々しく襲いかかる。
「分かってるじゃねェか。手前の罪は消えねェよ。
消えるのは、手前の命だ。Dr・ロミオ」
外套が揺らめく。
三日月のように吊り上がった口元。
手が、解読困難な文字で形成された紋章が描かれた手が、ロミオの頭を触れていた。
紋章が、赤く点滅する。
赤い光が点滅する中、衰弱しきった表情を見せていたロミオが、微かに笑った。
立麻と鈴鳴が、ロミオに元に駆け寄ろうとした瞬間、
「革命を邪魔した罪……手前の命で償いやがれ!!」
赤き光は絶頂に達した。
鼓膜をつんざく爆発音が轟く。焦臭いニオイが充満する中、頭上より鮮血の雨が降り注ぐ。
バタッ、と爆煙の中より、頭部が真っ黒に炭化したロミオが倒れ落ちてきた。
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