60ページ目!ジュリエッタの愛!ロミオへの愛!
「分からない。何も分からない……!」
ジュリエッタは頭を握り潰す強さで抱え、心から訴えかけた。
初めて感情が乗った声を発したが、その声は酷く音量が狂った金切り声だった。
鈴鳴は顔を歪め、耳を押さえた。が、その程度の対処では全く意味がない。
薬草で痛みを麻痺させていたはずだったが、痛みが沸々と湧き上がってきた。
全身の骨を締め付けるような痛み。まるでプレスされていくような感覚だ。
「や、やめる……アル」
階段を這いつくばりながら上がり、ジュリエッタを止めに入る。
「ロミオ……! どこにいるの! ロミオ!!」
ジュリエッタは愛する者の名を叫び、求め続けた。
「ジュリエッタ!!」
まるで正義のヒーローのようにロミオが駆けつけにきた。
鈴鳴は駆ける足音に感付き、階段の手摺側に身を転がし、死角に隠れる。
思わず目を閉じてしまいたくなるくらいの熱い愛が繰り広げられる。と思っていたが、
「ジュリエッタ! 私はここにいるよ! 我が信愛なるジュリエッタよ!」
ジュリエッタはロミオの胸板を押し、突き離した。
「ふざけるな! お前は私の愛するロミオじゃない! 私のロミオを侮辱するな! あっちいけ……!」
ロミオは愕然と足が泳ぎ、ジュリエッタの両肩を叩いた。
そして、目を見た。
「何を言っているんだ、ジュリエッタ! 私はロミオ! 君が永遠の愛を誓った婚約者だよ!」
音量調節がイカれた金切り声が更に加速する。
それは、城内はおろか城外にまで響き渡った。
「違う! お前はロミオじゃない! 私のロミオを返せ!」
ジュリエッタはメスを突きだした。そして、愛する者へと向ける。
「……そうか。溝鼠を退治した時に、血を失い過ぎたんだね?
大丈夫。またストックは増える。私が治してあげるよ」
「――まずはオマエの、その腐った脳を治した方がいいアルよ」
と、身を引きずりながら姿を現したのは、隠れていたはずの鈴鳴だった。
声に気づき、ロミオは背後を振り向く。
「……しぶといガキだ。まるで溝鼠だな」
「溝鼠に溝鼠と言われても、何も感じナイね」
「――で、私のどこが腐ってるって?」
鈴鳴はつまらそうな顔をしながら、自分の頭を指で叩いた。
「ここ、アルよ」
瞬間、一陣の風が毒々しい濃霧を包み込む。
冥王の遊具が発動された。
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