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お稲荷さまの秘め事!
作:俺とキルマシーン



5ページ目!お稲荷さまの秘め事?


 新庄家は綾辻家の隣に位置する。そのため、同じ二階に部屋を持つ由香里と立麻はベランダを通じて互いの部屋を行き来できる。
 キャラ物のパジャマを着た由香里が立麻の部屋に押し掛けてきた。
 ドンドン、とガラスを叩く。
 立麻は無視した。
 ドンドン、とガラスを叩く。
 立麻は無視した。

「誰かが呼んでおるぞ?」

「あー、気にするな。とりあえず早く寝たいからとっとと話を済ませて」

 ――くれ、と言おうとしたその時だった。
 ドッ、と金具が外れた音と、ガラララ、という戸を開けた音が一斉に響いた。
 閉められていたはずの鍵が開いている。否。こじ開けられている。
 立麻と白は共に絶句した。
 新庄由香里。短めの黒髪を両端に(こぶ)が二つ作られた髪型で、勝気な目が印象的だ。
 身長は一五十弱といったところ。体型はややぽっちゃりした感じで、どこか憎めない可愛らしいさがある。

「由香里テメェ! 人ん家の窓を破壊すんじゃねーねぇ!」

 由香里は頬を膨らませていた。

「しょ、しょうがないでしょ! 開けなかったアンタが悪いんだから!」

「こんな時間に人なんか入れてられるか!」

「いるじゃない!」

「はぁ?」

 由香里が指差した方には、白がいた。
 二人の視線を浴びた白は首を横に傾げている。
 立麻は由香里の方を振り向き、つまらそうな表情で凝視する。
 由香里の頬が少しだけ赤らむ。

「な、なによう!?」

「いや……お前、コイツの頭をよく見ろ」

 言われた通りに白の頭を見る。

「猫耳の玩具じゃないの?」

「いや、もっと近づいて」

 由香里は首を横に傾げながら、とりあえず言われた通りに白の頭に近づいてみた。
 ちょっちしつれい、と軽く断りを入れてから。中を覗く。
 ぴょこん、と耳が動いた。

「…………」

 由香里は言葉を失った。
 狐の耳に向けられた視線が固まったままだ。

「まっ、見て分かったと思うが、コイツは人じゃなくて、何ていうか……半人ってやつだ」

 由香里は悩ましげに頭を抱えた。

「ごめん。何か悪い夢でも見てるのかもしれない。先に寝かせてもらうわ。バカたつも早く寝なさいよ」

 由香里はそう言い残し、壊れた窓から自分の部屋に戻っていった。
 立麻は複雑な表情を浮かべながら由香里を最後まで見送り、そして、窓を閉める。

「――で、結局、お前って何なんだ? 俺に用あるみたいだが」

 ようやく立麻は白と向き合えた。
 そして、話は本題に入る。

「白は白じゃが、人という字に尻尾の尾と書いて、人尾(じんび)とも呼ばれとる」

 立麻は首を横に傾げた。

(人尾? 聞いたことないが……人魚みたいなやつなのかな?)

 立麻は興味なさそうに頷く。

「ふーん、で、その人尾とかいうお前さんは俺に何の用で?」

 白が、先ほどとはまるで大違いな真剣な顔つきに変わった。
 隙間風が白の髪を軽く翻す。

『――綾辻立麻。そなたを魔天老様の特命により、任務の同行をしてもらう』

 立麻は呆然としていた。開いた口が閉じれないというのは、まさにこのことを示すのだろう。

「いやいやちょっと待て、任務の同行とかいきなり言われても困るし、つかマテンロウってなに? 怪しい宗教団体?」

 この時、立麻には白の口にした言葉のほとんどを理解できていなかっただろう。
 しかし、本当に理解できないことを口にするのは、これからだった。

「そなたは“魔術師“であるのに、世界三大魔術師と謳われる、魔天老様を知らないのか!」

(ん? 俺が魔術師……?)

 立麻はゲラゲラと笑い飛ばした。
 一瞬、白はビクッと顔を震わせていた。

「あー分かった分かった。俺が“魔術師役“をやればいいんだろ?」

「えっ?」

「まあ不良達から助けてもらった(?)礼もあるし、学校終わったら遊んでやるよ。だから、大人しく家に帰りなさい」

 立麻は白の言っていることは、御飯事(おままごと)の設定みたいなものと思っているようだ。
 白は退室を拒むも、立麻は眠気爆発のご機嫌斜めなため、ダラダラと扉の外に追い出した。
 そして、扉を閉める。

「刀はもってくんなよ〜」

 立麻はそう言い残し、寝た。
 直後、どでかい鼾が発せられたのだった。












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