26ページ目!vsベネチア戦!ラウンド1!
魔術を体得した立麻はえらくご機嫌なご様子だ。
「あまり浮かれるでない。立麻が覚えたのは“基礎中の基礎“なんじゃからな!?」
立麻は馬鹿みたいに笑いながらこう言った。
「大丈夫だって! 魔術のやり方を知ってれば後はいいんだ!」
「大丈夫じゃないよ! 基礎だけじゃ生活の中でしか役立たないよ!」
子供のような言い争いを不安そうな眼差しで傍観するアカ。
(だ、大丈夫かな……)
そして、到頭その時はきた。
敵地へと向かうその時が。
一抹の不安を抱えつつも、アカは二人に国の命運を託した。
それは、アカが頭につけていた黒い紐に蛍光色の勾玉が通された飾物だ。
アカはそれを立麻に渡した。
真剣な眼差しの中には小さな不安が見える。
立麻はその不安を打ち消すような笑みで応えた。
「絶対に帰ってくるからな!」
立麻は勾玉の飾物を首に掛けた。首元に輝く蛍光色のそれ。
「行ってくる」
立麻は最後にそう言い残し、アカが待つその場を後にした。
容赦ない土砂降りの雨の洗礼が二人を襲った。
駆け足する度に泥が跳ね返る。足場を保つのに苦労しながらも、二人はアカに言われた密林へと足を進める。
テントの道を抜け、密林の入口付近まで到着した。
密林に生えた百センチ近くはある巨大な葉っぱをむしり、立麻はそれを傘代わりにした。
「風邪引くぞ。お前も入れよ」
立麻は白を自分の方へ引き寄せた。相合い傘の状態だ。
二人は肩を寄せ合い、儀式が行われているという祭壇へと向かった。
「――そういえばさ、魔術に使う材料ってどうするんだ?」
白は疑問符を浮かべたような表情をしながら、
「草ならいくらでもあるぞ?」
と、当たり前のように言ってきた。
「いやいや、草だけじゃ戦えないだろ? 薬草じゃ回復しかできないじゃん」
「それでいい」
白のその言葉に立麻の眉が引き吊った。
「立麻は白に保護されている身なのじゃから、戦わなくても良い」
――駄目ですよ。彼には戦ってもらいます。
その声はどこからともなく聞こえた。立麻と白の二人が周辺を見渡す。
二人は背中合わせになりながら、辺りを警戒した。
「白から離れるでないぞ! 立麻!」
立麻から返事はなかった。
「聞いておるのか!? 立麻!」
土砂降りの雨の中、巨大な葉っぱの傘の中で背中合わせになる。二人の魔術師の間にそれは現れる。
水の魔術師=ベネチア・ノース。
蒼白色のドレスの上から外套を羽織ったその衣装は、どこか氷を連想とさせる。
白は驚愕した表情のまま振り向いた。が、既に立麻が振り向いていた。
白よりも先に水の魔術師な存在に気づいていた。
「誰かに守られたら――」
立麻の拳が水の魔術師の顔に直撃した。
「誰も守れねえじゃねえか!!」
が、顔は水となり弾け、直撃されなかった。
立麻は白を真っ直ぐな目で見る。
「白、俺はお前のためにも戦う」
|