21ページ目!火の民族は見捨てられた?
アカは寝ていた。傍には立麻と白の二人が寄り添っている。
今でこそ安静な状態でいるアカだが、数分前までうなされた状態だった。
立麻も白も神妙な面持ちでアカを見下ろしている。
「……何か訳ありみたいな感じだったな」
「実際に訳ありなのじゃ」
立麻は鋭い目つきで白を見た。
「どういうことだよ?」
白は深呼吸をし、身心共々落ち着かせてから、ゆっくりと口を開いた。
「これは、魔天老様の情報なのだがな――」
真っ直ぐな目で立麻を見る。
「“ある儀式“が行われているそうなのじゃ」
「ある儀式?」
うむ、と軽く相槌を打つ白。
途切れた会話の間に打つ雨は、物静かな空気を崩していた。
「雨を止める儀式じゃ」
「あ、雨を止める儀式!?」
思わず間抜けな声を上げる立麻。その声のせいなのか、アカを頭痛に悩まされながら起き上がった。
白はアカの両肩を支える。
「すまぬ。お主を驚かせるようなことをしてしまって」
アカはおしとやかな口調で返す。
「いえ、こちらこそすいません。ご来客様を前にしてあんな声を上げるなんて……」
「構うことはねえよ。もとはと言えば勝手に家に入ったこっちが悪いわけだしな。――俺は立麻、で、コイツがシロ」
「だからシロじゃのうて、白じゃ!」
白はピンッと尻尾を吊り上げた。
クスクス、と小動物のように小さな笑い声が聞こえた。その声はアカによるものだった。
アカが口元に手を押さえてお上品に笑っていた。立麻と白は疑問符を浮かべたような表情をしている。
そして、アカは気づく。二人の視線に。
「あ、ごめんなさい。こんなに嬉しい気分になれたのは久しぶりなもので、つい」
(こんなに嬉しい気分って……俺がシロをおちょくってる姿を見てか?)
アカは胸を撫でおろすように手を当てた。
「私の名前は、アカ・フレアローズ。情熱の薔薇とも呼ばれているのですが、気軽にアカって呼んでくださいね」
アカは照れ臭そうにそう言った。
だが、立麻の目は明らかにアカの手が当てられた部分を向いていた。
「アカか。よろしくな。アカ」
「ちゃんと相手の目を見ていうものじゃぞ。立麻」
「相手の胸を見て……はっ! すまんすまん! つい違うものにみとれてしまって」
白は首を横に傾げている。が、アカは咄嗟に胸元を手で隠した。どうやら年相応の理解力はあるようだ。
「――ところで、二人は何故、“今の火の国“に來たのですか? この世界の住民なら、どういう状況かはわかっていたのでは?」
「うむ、だからこそ来たのじゃ」
アカが驚愕した表情を浮かべる。
立麻は背後に座る白を親指で指差しながら、偉そうにこう言った。
「コイツは魔術師なんだ。それも魔天老とか言う世界三大魔術師の使いなんだよ(本当かどうか知らねーけど)」
白も無い胸を張りながら誇らしげに言った。
「ふむ! 白達は魔天老様直属の御命令を頂き、この雨を止めるべく、ここ火の国に訪れたのじゃ!」
ぴょこん、と狐の耳が動く。
アカは呆気にとられた表情をしていた。が、ようやく口が開いた。
「無理、ですよ……」
開かれた口から放たれた言葉。
「神は、私達、火の民族をを見捨てたのですから」
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