お稲荷さまの秘め事!(10/135)PDFで表示縦書き表示RDF


 ここまでの秘め事は!
 平凡な高校生・綾辻立麻の前に白狐の少女・白が現れた。
 しかも、何故か家に押し掛けられる羽目に。
 何か理由があるようだ。
お稲荷さまの秘め事!
作:俺とキルマシーン



10ページ目!お稲荷さまとお風呂?


「遅いのう……」

 白は玄関前で突っ伏して寝ていた。脚をバタバタと動かす。ドンドンと耳障りな音がうっとうしく響いていた。

「うるさいぞー、静かにしろー」

 居間から綾の退屈そうな声と笑い声が聞こえた。笑い声はテレビの中からだろう。
 音が止まる。廊下に静けさが戻る。
 バイト終わりの立麻が帰宅するのは夜九時前後。もうすぐ帰ってくるはずだ。

「ふむぅ」

 呆然と玄関を見つめていた白。どうやら睡魔が忍び寄ってきたのか、今にも寝てしまいそうな雰囲気がある。
 くるん、と一回りした尻尾が、したん、と地に伏せる。耳も畳まれる。
 ――ガラララ、と玄関が開いた。
 ピクッ、と畳まれていた耳が起き上がる。

「ただいまー」

 立麻が帰ってきた。
 今までの眠気を吹き飛ばすように、白は勢いよく立ち上がった。

「遅いぞ!」

「げっ! インチキ魔術師! お前まだ居たのか!」

「インチキとはなんじゃ! 白は正真正銘の魔術師じゃ!」

 立麻は白の肩を軽く叩き、スタスタを横を通っていった。

「そうだったな。魔術師ごっこをするんだっけな。まぁ待ってろ、飯と風呂が終わってからだ」

「だから、白は……!!」

 正真正銘の魔術師、とは言い切れなかったようだ。
 立麻は居間に立ち寄る。

「姉貴、風呂は?」

 ぎゃははは、とテレビの中から笑い声が。
 綾は立麻の方を見向きもしないで口にした。

「沸いてねーよ、だからお前が沸かしなさい」

「ったく、しゃーねぇーな」

 立麻は頭をポリポリと掻き、退屈そうな表情のまま廊下を歩いていった。
 が、居間を通り越した時だ。

「あー、つか白い奴も一緒に入れてやれ」

「白い奴?」

 立麻は後ろを振り向く。
 白い奴。
 白が疑問符を浮かべたような表情をしながら、立麻の方についてきた。
 立麻は居間にダッシュで駆け込み、不思議そうな表情をする白の頭をガッと掴み、これみろとばかりに指を指しながら訴えた。

「ちょっと待て! 何でコイツを入れる?! 助けられた礼があるとはいえそこまでしなくても」

 綾は立麻の方を振り向かないまま、

「あー、そいつは家で預かることにしたから」

 と、冷静に口にした。
 立麻は白の方を振り向く。白は平然とした表情をしていた。

(ど、どうやって脅したんだ?)

 白は不思議そうな表情をしている。

(いかん。いつの間にか綾辻家のパワーバランスが変わっている……一人ならまだしも二人の貧乳娘に負けるなんて)

 ドガッ、と鈍い音が立麻の後頭部からした。

「いてっ!」

 振り向くと、そこには綾が立っていた。

「何故殴る!?」

「なんとなくだ」

(ちょ、超能力でもあるのか……この貧乳娘は)

 ドガッ、と、もう一発殴られた。

「さっさと風呂に入れてこい!」

 立麻は複雑な表情をしながら、風呂のお湯を入れに向かった。
 風呂が沸くまでの間、立麻は白と一緒に部屋の中にいた。
 二人は人形の置物のようにポツンと座っていた。

「お前先入れよ」

「何に入るのじゃ?」

 立麻は間抜けな表情をしていた。

「何って風呂だよ。風呂」

「風呂とはなんじゃ?」












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