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夢の声とあいつと俺
作:ゆうが



血と魔術


 一時間弱のドライブの後、俺と恵利子は町中に戻っていた。俺の家ともさほど遠くはないエリア。信号待ちで停車した車の中。
「資料によると、最後に目標が目撃されたのがこのあたり」
 恵利子は俺に顔を向けた。
「しばらくはあなたのお仕事よ。よろしく頼むわ」
「了解」
 いつものパターンに従い、俺は先ほどから目標の情報に集中していた。とはいえ、“声”は向こうからやってくるものである。今のところは何も聞こえてこない。このあたりがつらいところだ。
「とりあえず、目撃地点を中心にあたりを流してくれ」
「わかったわ」
 ちょうど信号も青になる。恵利子はなめらかに車を発進させた。深夜であり、信号のほとんどは点滅状態になっている。ほとんど止まることもなく、車は走っていく。俺は黙ったまま、意識を集中した。恵利子も何も質問することもなく、運転に集中していた。一筆書きのように、同じ道路は二度と走らない。そのくせ、目撃地点からあまり離れることもない。
『公園…』
 不意に“声”が響く。いつも不思議に思うのだが、この話してくる相手は誰なのだろうか。毎回同じ人物かと言われると、そうではない気がする。口調が微妙に異なったりするからだ。共通点は、あまり長く話してくれることはほとんどない、ということくらいか。
「公園」
「公園…このあたりにあったかしらね」
 恵利子はちょっと首をかしげたが、すぐに思い当たったらしい。今までの流すスタイルから、明白に目的地に向かうよう運転を切り替えた。ほどなく、車は路地に滑り込み、停車した。
「ここから少し行ったところに公園が一つあるわ。すごく小さい公園だけれど、それでいいのかしら」
「今のところはわからないな。“声”に期待するしかない」
「相変わらず、便利なのか不便なのか微妙ね」
「…」
 相変わらずきつい女だ。まあ、言ったところで仕方がないのだが。

 車を降りる。恵利子に続いて、薄暗い街灯の下を歩いていく。警告の“声”は特に響かない。だからといって、安全とは言い切れないのだが。
「それにしても、夜中の公園か。いったいなぜ公園なんだ」
「さあ、どうでしょうね。まさか夜のデートということもないでしょうしね」
「案外それだったりしてな」
 そういう間に、公園が見えてきた。砂場やブランコがあるような普通の公園。昼間は子供たちがたくさん遊んでいるのだろう。だが、夜に見ると不気味なオブジェとその影としかいいようがない。
「特に何か警告とかはない?」
「今のところ何も聞こえてこないな」
「わかったわ。ここで待っていて。公園には私一人で入るから」
「大丈夫か?」
 俺の問いかけに笑顔が返る。
「私を誰だと思ってるのかしら?」
 ドレスを翻し、公園に踏みいる恵利子。夜がいやになるほど似合っている。
「いやいや」
 頭を振る。それどころではない。公園の中に目標がいるはずだ。それほど大きくはない公園。中には誰もいない。少なくともいないように見える。


体調不良で更新がすっかり遅くなってしまいました。
これからまた更新していきたいと思いますので、
よろしくお願いします。






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