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この夢に終わりを
作:桶十芭



piece7:幸


強く 強く願った。
   
どうか僕らの未来が
   
ずっと幸せでありますようにと。
   
   
   
   
   
   
   
■□■
   
   
   
年が明けて、僕たちは何事もなく生活をしていた。
いつもと変わらない風景。
いつもと変わらない学校、友達。
   
ただ、もうすぐまた満月がやってくる。
   
レンはまた不安に思うだろうか。
そんなことを考えながら、ぼうっと授業を聞いていた。
今は歴史の授業。
過去にあった吸血鬼の暴走の話や、満月の話。
皆そんなものに興味もなさそうに眠そうな顔をしてた。
   
今はフィルターがあるから吸血鬼の暴走なんて有り得ない。
皆そう考えてる。
まぁ、そうなんだろうけど…。
   
だけどレンだけは真面目に余所見をすることなく話に聞き入っていた。
これはこの授業では毎回のこと。
   
そして授業のあと、必ずレンは僕に確認する。
   
「大丈夫だよね。」
   
そして僕は必ず答えた。
   
「大丈夫。僕らの平和はそんなに簡単に壊れたりしないよ。」
   
   
   
   
毎晩祈った。
   
僕らの幸せがずっとずっと
   
ずっと続きますように。
   
ああ、どうか
   
神様。
   
   
   
   
   
   
   
   
■  
   
満月の光は
   
吸血鬼を狂わせる。
   
この綺麗な綺麗な世界を
   
一瞬にして暗黒と血の色に染める。
   
   
人間はたくさんの努力と工夫をした。
   
平和を手に入れた。
   
けれど けれど
   
その平和 いつまで続く?
   
   
   
   
   
   

   
   
「天気いいね。」
   
本当ならこんな日は夜綺麗な月が見える。
けれど今日は見えない。
満月、だから。
まだ少し肌寒い季節。
学校が休みに入って、僕とレンは一緒に街へ買い物に出た。
街は賑やかだ。
たまにその辺りから満月の話が出る。
その声が聞こえる度にレンが不安そうな表情になった。
大丈夫だよ、と声をかけようとしたその時。
   
「そこのお二人さん。」
   
道端で見知らぬ男の人に話しかけられた。
真っ黒な服を着たその人の顔は、フードで隠れて見えない。
不思議そうな顔をした僕たちを見てなのかはわからないけれど、その男の人はふふっと笑った。
   
「君たちは友達ですか?」
   
質問されて、僕とレンは迷うことなくこくりと頷いた。
するともう一度、今度はさっきより少し大きく笑う。
   
「そうですか。…もうじき日が沈みますね。今夜はきっと綺麗な満月ですよ。」
   
   
今夜は綺麗な満月?
満月が見えるはずはないのに。
どうしてそんなレンが不安になるようなことを言うんだろう。
無視してレンの手を引いた瞬間、街に大きなサイレンが鳴り響いた。
   
   
   
僕らの平和を 幸せを引き裂くサイレンの音。
   
   
   
ああ神様。
   
どうか どうか
   
これは夢だと。
   
これはなにかの間違いだと 言ってください。
   
   
僕らの幸せを 壊さないで。












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