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作:木更津慧



 ー 俺はアンタを大将にするために武士になるんだ ー



「何でェ、近藤さん」

 大将が、死んだ。
 板橋で斬首されたらしい。
 あんなに体が大きかったのに。
 俺の前にある墓はとてもちっぽけな物だった。

 こんなちっさものじゃ近藤さんは収まらねえ。
 体も心も大きな人だったんだ。

 更に、墓が醜い。
 新撰組の局長たる者の墓がこんなんでいいのか。
 凄く質素で、ただの石を置いただけの簡単な墓だ。

「近藤さん」

 大事な、大事な、俺達の大将。
 新撰組の柱。
 居なくちゃいけない存在。

「俺ァ」

 喉が痛てェ。
 頭もか。
 目の前だって霞んじまって見えやしねえ。

「俺ァ、死にぞこなったのか‥」

 山南、総司、その他にも散っていった隊士は腐るほどいる。
 そして、近藤さん。

「近藤さん、アンタがいなくなったら俺ァ」

 兄のようだった。
 家族も同然だと思っていた。
 それは、新撰組になってからでも変わらない。
 俺のかけがえのない存在。

「新撰組はどうなっちまうんだ‥」

 近藤さん、アンタのための新撰組なんだ。
 こんな所でくたばっちゃいけねえ。
 何でこうもアンタは‥

 先が、暗い。
 何も見えない。
 
 近藤さん‥。

 アンタが居なくちゃ先へ進めねえよ‥。
 俺達は格好もなっちゃいない成り上がりの武士さ。
 みんな、自我が強いんだ。
 分かるだろ?

 近藤さん。

 俺一人じゃ無理だ。
 あの連中は俺の手に負えない。

 近藤さん、いや、局長。

 残された隊士の為‥。
 俺の為にも‥。

 帰ってきてくれよ。
 頼む。

  


 新選組の中で一番強がっていたのはこの土方歳三なのではないかと思っています。
 時折見せる優しさ。
 僕が土方歳三に惚れたのは、あの血も涙もない世界に温かい心を持っていた所の様な気がします。













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