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誓い-Graduation Style-

作者: 那音

どうも。

すとむみずみです。

このふたりは書いていて楽しいです。

どうぞよろしく。

「おはよう、ケン」

「おはよう、ユウ」

慣れた挨拶を済ませると、俺とユウは学校へ向かった。目の前の家までユウを迎えに行くのは毎日のことだ。

「ねぇ、ケン」

「なに?」

「今日、泣かないでよ?」

「泣くわけねぇだろ。ユウこそ、泣いたりすんなよ?」

「僕、泣いちゃうかも……」

そう言ってユウは遠慮がちに俺の方を向いた。見慣れているはずなのに、ついついドキッとしてしまう。

「そんなに寂しいもんか? たかが卒業式だろ?」

「だって……お別れなんだよ?」

それはそうだけど。

「俺はむしろ嬉しいけどな」

にやけてしまうのが自分でもわかった。

「だって、うちの学校からは次の高校、俺とユウ、ふたりっきりなんだぜ? 邪魔するやつがついて来ねーんだ」

「それは嬉しいけど、まずは今日の卒業式でしょ」

「まあ、な。だけど、さすがに泣かないだろ」

「悲しかったら泣くよ!! ケンも絶対に泣いちゃうよ!!」

「わかった、わかった」

そう言って俺はユウをなだめた。こうなったら早めに話をきりあげるのが、ユウを怒らせないコツだと知っている。

「ところでさ、ユウ」

「なに?」

「時間、ヤバくね?」

「あ……」

「急ごう!!」

俺はユウの手を強引に握り、走り出した。


 なんとかギリギリ間に合い、俺とユウがそれぞれの席につくと、さっそく担任の柏に呼ばれた。

「こんな日にまで、坂井と広田は遅刻か」

そう言いながら、花で作ったリボンを俺とユウの胸ポケットに挿した。カラフルな黒板の『おめでとう』が背景だからか、なんか笑えた。

「おまえたちはずっと同じクラスだな。ラブラブか? ヒューヒュー」

教師がそんなこと言っちゃ駄目だろ。あんたもずっと担任じゃないか。ちなみに俺とユウの関係は学校中誰もが知ってる。らしい。

「じゃあ、そろそろ体育館に移動するぞ」

照れているユウを横目に、柏が言った。


 卒業証書の授与が始まった。俺たちは2組だから、すぐに名前を呼ばれる。

 1組の担任が最後のひとりの名を呼ぶと、すぐに柏が2組に移った。名前を呼ばれるのを待っていると、いきなりその時は来た。

「坂井 健」

「はい!!」

言ってやった。回りが軽くビビるくらい大きな声で返事してやった。

 名前はどんどん呼ばれ、ユウの順番になった。

「広田 友子」

「はい」

涙声に聞こえたのは気のせいだろう。だとしたら、いくらなんでも早すぎる。

 そして全員の名前が呼ばれると、クラスの代表が証書をとりに行った。

 その後も来賓云々があり、それを終えると、校歌斉唱が始まった。胸の深くからなにかが込み上げてきたけど、ユウとのやりとりを思いだし、我慢した。


 地獄のような二時間弱から解放されると、俺たちは教室へと向かった。その間ユウとはなにも話さなかった。


 柏が長々と話した末最後のホームルームが終わると、俺はユウを捕まえ家へと急いだ。

「ユウ、おまえやっぱ泣いたな」

「うるさい!! 泣かない方が薄情だよ」

「俺も泣いたけどね」

ギリギリ泣いてないけど。

「じゃあ、僕のことばっか言えないじゃん」

「でもユウは泣くの早すぎ。名前呼ばれたぐらいで泣くなよ」

「ケンはいつ泣いたの?」

「校歌斉唱」

「一緒じゃん!!」

「いや違うだろ? 30分くらい違うよ?」

いつの間にかムキになってしまっていた。というかユウが子供っぽすぎ。そこも可愛いとこだけど。

「泣いたことには変わりないじゃん」

「なんで極論言うかな」

「うるさい!! この話は終わり!!」

「おいっ、ユウ!! 待てよ」

俺は、急に走り出したユウの背中を追いかけた。

読んでいただきありがとうございました。

感想、アドバイス等々遠慮なく。

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― 新着の感想 ―
[一言] これもここで終わり? って感じで、もっと読みたかった(>_<) ぜひこの二人のその後を書いてください。 素敵な時間をありがとうございました。
2011/03/16 01:00 退会済み
管理
[一言] こんにちは。真夜です。 この作品読ませていただきました。 卒業式は良いイベントですよね。泣けます! 今後の二人の展開を気になるように書くのもすばらしいです。 作品を読んでいる時にふと中学校…
[一言] どうも、ミゲールです。 いやーやっぱ、ケンとユウの中はすばらしいですね。なんか読んでいるとどんどん先が気になります。 次もがんばって更新して下さい。楽しみにしています。
2011/03/02 16:19 退会済み
管理
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