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結局前後編となっちゃいました(汗)
ちなみに今回の雑談コーナーは補足に近いです。
EP:19 開戦 (序奏)
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「爆ぜよ……」

 大雨の中、フィルが呟く。
 生まれるは雨でさえ消し得ぬ魔術の焔。
 術式は低位術。
 しかし、荷重呪唱によって威力が上がったそれは、ミッドでいうAAランクに相当する。
 球体と化したそれを、五つ。
 狙いはただ一人、魔人、リヴァル。

「焦爆!」

 各炎弾から四条の光が迸り、リヴァルを囲うように突っ込む。
 リヴァルは、自身を狙う20の炎弾を目視し、構わず踏み込んだ……。

「くだらんぞ。フィル・クレーディト」

 リヴァルは、炎弾が再び集まりきる前に、その中を通過していく……。
 一瞬遅れでリヴァルの背後に紅蓮の華が咲き乱れる。
「渦巻く旋風の弾丸よ。牙を共に我が路を穿て!」

 だが、この程度が効かないことなど予測範囲内である。
 故に、既に待機していた術式を展開している。
 フィルの右手のロッドに旋風を、そして左手には鎌鼬を纏う!

「乱! 旋!」

 袈裟に払うように軽く振り払われた左腕から、真っ直ぐにリヴァルへと向けられたロッドから、前面を覆い尽くす程の弾丸と真空刃が吹き荒れる!
 小規模な嵐にも匹敵するそれが通る所は灰塵と化す……。

「我に風とは片腹痛い……」

 その嵐をリヴァルは正面から突っ込む!
 風弾と風刃が次々にリヴァルを襲うが、触れる直前に弾かれたように霧散する。
 無傷のまま、リヴァルは嵐を突破、駆ける!
 嵐が破壊した地面から塵が舞い飛ぶ中、リヴァルは駆け抜け、既に重心を乗せた右腕の剣を袈裟懸けに叩きつける!
 対し、フィルは下段から左腕を振り抜く!

「くっ……」

 低く唸ったのはリヴァルだ。
 速度と重心、そのどちらをも合わせた一撃は、フィルの右腕が延長するように放たれた巨大な風刃によって止まっていた……。

「オマケだよ!」

 フィルが右腕をさらに真一文字に薙ぐ。
 瞬間、先の風刃と合わせて十文字を描くように叩き込まれた新たな風刃。
 二乗の風刃に、リヴァルの身体は地面を抉りながら後退していく……。

「雷、光……」

 しかし、リヴァルは空いた左腕を引き絞る……。
 構えるは刺突、纏うは雷撃!

「吼えよ暴虐なるモノよ……」

 フィルも風刃を放つに終わってはいない。
 己の魔力が枯渇するか対象を制圧するまでは攻撃を止めない。
 気絶、或いは死亡するまでが戦い。
 それが魔術士の戦闘スタイル。
 その攻撃に情といったモノは存在しない。
 故に、フィルは上位術式である暴火を紡いでいるのだ。
 やがて、互いに時は満ち、同時に動く!

「突貫!/暴火!」

 雷撃の刺突は一瞬にして真空刃を穿ち、次なる暴虐なる焔へと突き立つ!
 激突した際、リヴァルの身体を焔が舐めるが、当人は全く意に介さず、刺突をさらに焔の内部へと抉り込む!
 雷撃は、焔の結合を破壊せんと轟き、焔は、雷撃を飲み込まんと猛る!

「「はぁぁぁぁっ!」」

 喰らう、喰らう、喰らい合う! 互いの存在を消さんがために!
 咆哮を上げながら二人はさらに出力を上げ……瞬間、轟音が響き渡り炸裂した……。
  “フィルの焔だけが”

「っ!」

 押し負けたことを認識したフィルは一瞬の判断でロッドを眼前に持ち上げる……。
 火花が散り、雷刃はフィルの右肩を切り裂いて通過、鮮やか過ぎる血飛沫を舞わせながらフィルの身体が衝撃で後ろに浮いた……

「ぐっ!」

 遅れて知覚される激痛にフィルの表情が苦しげに歪む。
 痛みにフワリと浮いた意識を奥歯を強く噛み合わせ、繋ぎ止める!

「はぁっ!」

 眼前には既に右腕の剣を振り下ろそうとしているリヴァル。
 フィルの脳内で火花が散り、一気に思考が加速する。

我に閃光の如き疾さを……。

 加速した思考は、展開と演算を同時に行う。
 速攻で発動させた身体加速、右足一本を着地させ、跳躍の要領で挙動無しにリヴァルへと突撃する!

「くっ!」

 凄まじいまでのリカバリーを見せ、反撃に転じてきたフィルに対し、リヴァルは驚愕しながらも剣を振り下ろす!
 が、それは止まった。フィルが展開していた障壁の魔術によって……。
 たかが低位術の防御壁、破れぬ強度ではない。
 が、時間稼ぎには十分すぎた……。
 瞬きもせぬ間にフィルはリヴァルの剣の範囲の内側へと踏み込み、右のロッドを引き絞る!

「倍加! 轟!」

「が、ぁ……」

 一瞬だけ二倍となったフィルの筋力からロッドが突き出され、リヴァルの鳩尾に叩き込まれる!
 まともに受けたリヴァルの身体は弓なりに曲がる……。
 通常の倍加ならここからは吹き飛ばすといったモノだが、“通常”ではない。
 ロッドには雷が宿り、刺突で吹き飛ばすと共に雷撃をリヴァルへと撃ち込む!
 倍加からの迅雷、それがこの、倍加・轟である。
 これは筋力に乏しいフィルが発展させた魔術だ。
 瞬間的な威力なら、ヴィータやスバルにも勝るとも劣らない威力を誇る。
 そんな一撃を受けたリヴァルは、パークエリアにある遊具を破壊しながら吹き飛び、フィルから100m近く離れた位置で煙を上げていた……。

「っ〜」

 だが、その威力はフィルにとっても無害ではない。
 決して浅くはない傷を負いながら、普段の倍の力を引き出し、体術を叩き込めば、当然傷口は広がる。
 事実、フィルの左肩からは血が滴り落ちていた……。
 回復の魔術をかけるが、止血程度に止まった。

「痛み分け、といったところか?」

「そっちの方がダメージは少なそうだけどね……」

 何故なら、平然とした表情を見せながらリヴァルが土煙の中から出てきたからである。
 フィルは常人に比べれば頑丈ではあるが、人間。
 しかし、リヴァルは、魔人の部類としては防御は薄いが、それでも魔人。
 人に比べればずっと頑丈だ。
 人と魔人。根本的に身体の構造が違いすぎている。

「加減はしない……」

「そんなものしたら塵も残してあげないから……」

 視線と視線、殺意と殺意がぶつかり、火花を散らす。
 静けさの中に響くのは雨の音のみ……。

「はぁ!」

 その静けさを打ち破るのはフィルだった。
 魔術士の領域である長距離を捨て、左腕から雷の尾を引きながらリヴァルへと突貫する!

「やはり貴様は面白い!」

 近接を仕掛けてきたフィルに対し、嬉々としてリヴァルは迎え撃たんと双刃に風を纏う!
 互いに踏み込んだ結果、空いていた距離はコンマ一秒で埋まり、零となる。
 リヴァルは逆手に持ち直した右腕の剣を引き絞り、暴風を巻き起こしながら一閃する!
 が、それが捉えたモノはフィルの残像。
 棒高跳びのようにロッドを支点にフィルが跳躍していた。

「唸れ……そして断ち切れ!」

 しかし、リヴァルは外れたことに構わず、右足から深く沈み込み、剣を身体に巻き付けるようにして構え、さらに風を集束!

「我が前に存在せし万物を昇華せよ……怒れよ雷神!」

 リヴァルの頭上、フィルはそこにいた。
 詠唱を終えると同時にロッドを天高く放り投げ、両手を左右に開く……。
 瞬間、ロッドから雷が降り注ぎ、その両手を蒼白く輝かす……。
「双天覇降!」

「はぁぁぁっ!」

 フィルの両掌が合わさり、一対の迅雷を一つに纏め、己が身を弓とし、轟雷を矢として天から地へと落とす!
 リヴァルは身体を回転させ、双刃から発生する風を一気に解放、己を中心に、破壊の竜巻を地から天へと解き放つ!
 轟雷と旋嵐が激突し、その中間にて紫電が激しく舞い踊る!
 二つの魔術の余波は、周囲に存在する施設を根こそぎ破壊し、更地へと返していく……。
 この時点で二つの力は拮抗し、譲らない……。

「まだまだぁ!」

 しかし、フィルが轟音に負けぬよう、気迫がこもる叫びをあげる……。
 フィルへと轟雷を送っていたロッド、飛天。
 能力は、術式の強化、術者の演算のバックアップ。
 強化対象、雷。

「行っけぇぇぇぇーっ!!!」

「っ!」

 飛天に雷が降り注ぎ、その力を術者であるフィルへと流す!
 フィルは雷の塊と化したその掌から一気に力を解放、竜巻を一瞬にして押し返し、結界を揺るがす一撃をリヴァルへと叩き込む!

「……」

 巨大なクレーターと化し、未だ爆煙が舞うパークエリアに、フィルは着地し、右腕を天へと伸ばす。
 狙い済ましたかのように、飛天がパシりと渇いた音をたててフィルの掌に収まった……。

「はぁ……。やっぱりずるいよね〜。そのマント」

 溜め息をつきながら、フィルが呟く。

「貴様の杖程では無い」

 それに答えるのは、リヴァル。
 フィルと背中合わせに立つその姿は、マントが無くなり、頭や腕からは所々出血をしている。

「そうかなぁ。アレンのコートも大概だと思うけど、それもかなりずるいよ?」

 フィルは話しかける。
 まるで、友人に話しかけるように優しく、そして朗らかに。

「アレン・テスタクルのフラグメント・オブ・ダークとこの天つ風のマントは、制作者が同一だからな。無理もない」

 リヴァルも答える。
 今の今まで戦っていたとは思えないほど静かに、そして穏やかに。
 お互いの背中に体重を預けながら、雨の中二人は語り合う。

「聞いて良い?」

「我に答えられるかは知らんがな……」

「ここ、何回目?」

 細かな説明はフィルはしない。
 単刀直入に、簡単な質問とばかりに、いきなり内容からリヴァルへと訊ねた。
 リヴァルは、「ふむ」と一呼吸間を空け、口を開いた。

「覚えていない」

「そっか」

 コツンと、リヴァルの後頭部にフィルは頭も預け、思考を開始しようとしたが、リヴァルの言葉には続きがあった。

「ただ、ボスは……王は、今回は初の試みだと、言っていた」

「何が?」

 腕組みをしながら、リヴァルは何かを思い出すように、しばらく瞳を閉じ、ゆっくりと開いた

「それは……」

「それは?」

「忘れたな……」

「あらら……」

 フィルは苦笑いを浮かべた。
 引っ張るだけ引っ張って忘れた発言では無理もない。

「今更だけど、ソレ、敵の私に言っても良かったの?」

「構わないだろう。王はその程度を気にする器ではない。後は、我らだけ全て知っているというのは、いささか不公平な気がするのでな」

「その言葉、ライラが聞いたら頭抱えそうだね」

「バレなければ問題はない」

「蟲がいるけど……」

「……先に言え」

「言ったら教えてくれなかったかもしれないでしょ? ちなみに、足元ね」

 瞬間、リヴァルの右足が霞み、地面を陥没させる……。
 そこには、蝿のような小さな蟲が飛んでいた……。

「取り合えず、帰ったら魔蟲王は抹殺だな」

「あ、もう帰る? 熱も冷めちゃったしね。リヴァルが悪事とかしてくれるとやりやすいんだけど、そっちも相変わらず?」

 始まりこそ壮絶な始まりだったものの、フィルとしては、リヴァルはあまり戦いたくない魔人であり、当初の目的であるオルディニスが逃げた今、憎悪は消え失せていた。
 というのも、リヴァルの性格が原因している所も多々あるわけだが……。

「正々堂々が我の信念だ。弱者は殺す価値はない。神聖なる一対一の戦いに介入するような輩が入れば殺すが、今の所はいないな」

 つまり、この魔人リヴァル、悪人ではあるが、強者以外には興味がなく、殺戮といったモノには無縁であり、あまつさえ、人助けまでしている“良い魔人”である。

「ホント、リヴァルって魔人っぽくないよね……」

「姉上にもよく言われている……」

 再び苦笑いを浮かべるフィルと、溜め息をつきながら落ち込むリヴァル。
 闘争心はあるが、殺戮衝動は薄い、それがリヴァルという魔人であった。

「フィル・クレーディト」

「ん?」

「興は冷めたが、貴様の腕鈍ってはいないか、確かめさせてもらうぞ……」

 瞬間、リヴァルの身体が霞み、回転する!
 閃光と化した刃がフィルの首筋を狙う。
 が、閃光は首筋を捉えない。フィルは膝を沈み込め、避けていた。

「渦巻く旋風の弾丸よ」

 風を巻き込みながら、フィルの身体はリヴァルと向き合い、至近距離で飛天をリヴァルの顔面へと突き付けた。

「ふっ!」

 リヴァルは笑い、マントを広げ、風の翼として飛び上がる!
 一瞬遅れで風弾がロッドから放たれ、直線を蹂躙していった……。

暴火、嵐氷、旋弾、迅雷、瞬刃……

 加速した思考で一気に術式を紐解き、炎、氷、風弾、雷、真空刃を周囲に展開!

「発、射ァァァ!!!」

 そしてそれらは、時間差で次々と放たれ、リヴァルへと突撃する!

「旋嵐の衣……」

 が、破滅の光を放つ魔術の群を見ても、リヴァルは呟くのみ。
 その身体は輝き、レオタードからビキニ型へと変更、脚甲と肩甲が装着され、背中に風の翼に加え、骨の翼が加わり、二対の翼となる……。

「行くぞ!」

 リヴァルの肩、脚、翼、三つの機関が風を集めブーストを行う。
 幾体もの残像を残し、リヴァルの身体は魔術群へと突貫、時間差で生まれた僅かな隙間を通過し、縦横無尽に駆け巡る!
 その姿を目で追うなど不可能に近い。
 故に、フィルは瞳を閉じ、気配で探る……。

「そこだっ!」

 瞳を閉じたまま、フィルは、左腕に迅雷を纏い、振り抜く!
 フィルの感覚は正しく、雷撃は、リヴァルの身体本体へと突き進む!

「甘い!」

 が、雷撃は振り払われた右の剣によって弾き飛ばされ、リヴァルは加速!

「はぁぁぁっ!」

 フィルの頭上から両断せんとばかりに、リヴァルの左腕から剣が叩き下ろされる!

「っ!」

 正にギリギリ、身体加速が間に合い、横に構えたロッドにて、リヴァルの裁断の剣を受け止めていた……。
 刹那、リヴァルの身体が残像と化し、消失……。
 だが、フィルはそれを見てはいない。
 感じるままに身体を回転させ、横殴りに両手で握り締めたロッドを振り抜く!
 響くは金属音、弾けるは雷、フィルの背後、右手で雷刃の刺突を放っていたリヴァルがいた。
 しかし、その姿はロッドに払われており、崩れている。

「吹っ飛べぇぇぇ!!!」

 左脚から踏み込み、ロッドからフィルの右手が離れる……。
 右手に叩き込むのは倍加の魔術……。
 赤い文字の羅列が螺旋を描いてフィルの周囲に浮かび上がる!
 術式が完成するのと、フィルが拳を打ち出したのは同時。
 音速を突き抜け、その拳はリヴァルの顔面へと吸い込まれ、首を捻ったリヴァルが避けた……。
 拳が発生させたソニックブームがリヴァルの頬を浅く切り、血が噴き出す。

「今の我に当てたか。勘は鈍ってはいないようだな」

 リヴァルは指先で頬の傷をなぞり、手についた血をペロリと舐める。
 リヴァルからは、まだ余裕が感じられた。

「はぁ、はぁ、ごめんね。今はこれが一杯一杯なんだ……」

 対し、フィルの息は荒い。
 表情は苦しげに歪んでいる。

「若干動きが鈍いとは思っていたが、我のつけた傷は肩だが、貴様に支障が出るほど深くはない筈だ。オルディニスか?」

「まぁ、ちょっと……トロルの空弾の直撃を受けちゃって……」

「オルディニスのことだ。粗方卑劣な手を使ったのだろう。でなければ、フィル・クレーディトともあろう者がトロル如きに遅れをとる筈がないからな」

 勝手に結論付け、リヴァルはフィルに背を向ける。

「次は全力で死合いたいものだな……」

「出来ればリヴァルとは戦いたくない、かな」

 呟くフィルに、リヴァルは振り向く。
 リヴァルは、不思議そうに首を傾げている。

「フィル・クレーディトは面白く無かったのか? 我は面白いと感じていたのだがな? 魔術士の中で、貴様は一番心が踊った相手だ。無論、アレン・テスタクルに比べれば比ではないが」

「面白いとかそういう問題じゃないんだけど……」

 ズレた解答をするリヴァルにフィルはまた苦笑いを浮かべる。
 リヴァルの頭は基本的に戦い優先で考えるため、常人とは少し視点がズレているのだ。

「おかしな奴だ」

「リヴァルがね」

「不本意だが……まぁいい。ではな、フィル・クレーディト」

「あ、リヴァル!」

 改めて背を向けるリヴァルに、フィルはなにかを思い出したかのように叫ぶ。
 リヴァルは何だと首だけをフィルに向ける。

「その格好、流石に止めた方が良いと思う」

「格好? これをか?」

 リヴァルは不思議そうにするが、フィルはガクガクと首を縦に振る。
 当たり前である。リヴァルの格好は、一般に言う、ビキニと変わりないのだから……。

「何故だ? 先にも証明しただろう。これは極限まで重量を減らしたことにより……」

「あのさ、まず、その戦いに直列で繋がる思考をなんとかしようよ……。物凄い恥ずかしい格好なんだよ? ソレ……」

「王などは笑っていたが? 爆笑というのか、アレは」

「そりゃあ、笑うだろうね……。もういいよ。リヴァルはリヴァルだから……」

「ああ」

「はぁ〜〜〜〜……」

 リヴァルが結界の中から消えた後、フィルは壮大な溜め息をついていた……。

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 スプールス第一キャンプ、そこは現在、大規模な変化を起こしていた……。

「くっ!」

 身体にまとわりつく蔓を、マコトは精製したレヴァンティンで薙ぎ払う。
 が、蔓の数は一向に減らず、払った先から絡み付く……。

「バーニング!」

 ブチブチと蔓を引きちぎり、マコトは跳躍、天へ向けて右脚を振り上げ、撃ち落とす!

「ドロップっ!」

 瞬間、10m近い火柱が立ち、辺りの蔓を燃やし尽くす!
 一時、焼け野原と化したが、地面から恐るべき速さで蔓は成長し、一面を緑へと染めていく……。

「キリが!」
『Form Drey. Unwetterform』

 エリオはストラーダを回転から薙ぎ払い、絡み付く蔓を斬り払い、頭上でストラーダを回転、カートリッジを弾き出し、ウンヴェッターフォルムへと変更、雷撃を刃へと纏わせる!

「無いですね!」
『Thuder Rage!』

 自身は跳躍しながらストラーダを地面へと叩きつける!
 と同時に走る雷撃、周囲の蔓を炭化させていく……。
 だが、こちらも長くは持たず、新たな生命が生まれ、緑、さらには深緑へと染まる……。
 その中から三本、二人を囲うように巨大な蔓が突き出る!

「「っ!」」
(伏せてください!)

 不意を突かれ、反応が遅れた二人にバレッタから念話が飛ぶ。
 反射的に指示に従い、二人が屈む。
 刹那、上空からスナイプショット、トーデス・ドルヒ、シューティングレイが降り注ぐ!
 真の姿となったフリードに乗り、バレッタ達がマコト達の援護に現れたのだ。
 途絶えぬ弾丸の雨は蔓へ風穴を開けていく……。
 しかし、蔓はその風穴を塞ぐように、再生を開始、瞬く間に穴が閉じる……。

「フリード、ブラストレイ。マコトさん達に当てないでね?」
『ガ、ァァアアアア!!』

 キャロの指示に応え、フリードから蔓の再生など許さないとばかりに業炎が放たれ、通過、一瞬にして巨大な蔓を燃やし尽くす……。

「う、わ!」
「成長が、速すぎる!」

 驚愕するマコトとエリオ、巨大な蔓は駆逐したが伏せている間に脚や腕に蔓が巻き付き、身動きが取れなくなっていた。

「ガリュー、助けてあげて?」
「……」

 瞬間、閃光が疾る!
 無言のままに、ガリューが環境迷彩を解除し、両腕に展開していた刃を己が身にしまう。
 マコトとエリオは、身体に自由が戻ったことを認識する。
 無論、ガリューが拘束していた蔓を斬り裂いたからだ。

「バレッタ君、なんか急に成長が速くなった気がするんだけど! ボクの気のせいかな?」
「いえ、恐らく気のせいではないかと! ティアナさん達が中核に辿り着いたという可能性を信じたいですね!」
『はっ! これで行き着いてなかったら笑えねぇぜ!』

 マコトは炎剣と化したレヴァンティンを縦横無人に乱舞させながら、バレッタは休みなく引き金を引きながら、会話を交わす。

「ルーちゃん?」
「何か……来る。虫達が騒いでる……」

 一方、何かを感じ取ったのか、ルーテシアは顔を森の中心へと向け、注視し……。
 そしてソレは地鳴りと共に現れる!
 高く、高くそびえ立つソレは、白い花弁を含む、蕾だった。

「何だ、アレは……あんな巨大な華、見たことが無いです……」
「ボクもいろんな世界を旅してるけど、見たこと無いよ……」

 マコトもバレッタも見たことが無い、ということは、この中のメンバーで知りうる者はもういない。
 バレッタもマコトも知らないのは当たり前だ。
 その華は、今、創り出された華なのだから……。

《皆〜♪ 元気かなぁ? もちろんりせは元気一杯だよ♪》

「念話じゃない、よね?」
「……」

 エリオは、虫であるガリューに疑問を訊ね、ガリューはその質問にコクりと頷いた。
 つまり、魔法ではない。

「魔術、ですかね」
《魔術?》
「ええ。恐らく、ですが。説明はいずれ」

 この場で一番冷静なのはバレッタだった。
 何故なら、不可解な出来事に直面した当事者だからだ。
 現技術でも作れない構造の衣服を纏い、化け物じみた頑強さを誇るアレン。そのアレンをあっさりと打倒し、魔術の師の資格を得るもの、二つ名に天災司を名乗るフィル。この世界に存在しない獣との戦いの日々。
 場慣れするには充分過ぎる経験をバレッタは積んでいた。

《皆にね〜私からお知らせがあるんだ〜♪ このお花が咲くとね、綺麗な白〜いお花になるんだけど〜、その花粉がね、皆には猛毒なんだって♪ 皆に見せてあげようと思ったんだけど……えへ♪ 失敗失敗♪》

「っ!」

 しかし、そのバレッタをもってしても、この言葉には動揺を隠せない。
 まだ攻撃に毒性があるならよかった。
 だが、花粉は風が吹けばかなりの広範囲に渡って広がる。
 さらに、細かい花粉は止めようがない。

《でもでも〜♪ そんなことをさせないために、三人の勇者様が戦ってくれま〜す♪ はい拍手〜♪》

『何だコイツ……訳がわからねぇ……』
「同感ですが、わかることは、三人というのはアレンさん達は無事ということ、そして、アレを止めようとしている、ということです。なら、援護に行きましょう」

 バレッタの言葉にはコクりと頷いた一同。
 バレッタも頷き返し、進もうと、歩み、止まった……。

(皆、聞こえる?)
(ティアナさん!)

 何故なら、ティアナからの念話が届いたからだ。

(アンタ達、今すぐ逃げなさい!)
(はい?)
(だから! 華はフェイクよ。この華は生物の生気を吸って成長するってのがアレンの見解。だとすると、空でも飛べない限り、大きさから考えて、咲くより先にアンタ達は華に生気を吸い付くされて死ぬと思うから、その前に逃げなさい。花粉は私達が何とかする。アンタ達は局員の人達と道を開いて避難して)
(で、でも!)
(反論は禁止! 私達なら大丈夫だから)
(そうじゃなくて、マコトさんがもう突撃してるんですが……)

 バレッタの視線の先、木々を蹴り、背を向けるマコトの姿があった……。
 ドラッへフォルムとなったマコトはバレッタ達ではとてもではないが追い付けるモノではない……。

『マコト、あのツンツンに怒られるぜ?』
「怒られるのなら慣れてるから大丈夫!」
『一番聞きたくない大丈夫だ……』

 当のマコトは、アルタから冷ややかなツッコミを入れられつつ、マコトは大きく跳躍した……。

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 ティアナ達がいる場所、そこは純白の世界だった。
 ティアナ達は、これが華の中だと言うことは先にサーチャーを飛ばして確認済みだ。

「何で止めないのよバカァァァアア!!」
「うわぁっ!」

 その白き空間の中で、念話を行っていたティアナが怒鳴る。
 隣に立っていたスバルは当然その声を至近で聞くこととなり、反射的に耳をふさぐ。
 同じく、隣に立つアレンだが、こちらは微動だにしていない。

「どうした?」
「マコトが先走ったみたい……念話だから聞こえない筈ないんだけど……」
「多少、不安ではあるが、何か考えがあってのことかもしれない……。マコトにはアルタもついている。撤退のタイミングを間違う可能性は低い。私達は奴を打倒することだけを考えた方がいいだろう……」
「確かにね……」

 頷くティアナは、十数mの距離を開き、ニッコリと笑うロンドをキツく睨む。
 考え事をしていて勝てる相手ではない。

「さてさて、準備はいいかなぁ?」

 ニッコリと笑い、語りかけるロンドに三人は無言。
 その反応にロンドは怒ったように腰に手を当て。

「あ〜無視するなんて酷ぉ〜い。そんな悪い子は、お仕置きしちゃうぞ♪」

 瞬間、ロンドの周囲に生まれるは幾十もの棘の蔓。
 即座に三人はそれぞれの武器を構える……。
 アレンは正眼に、スバルは肩の高さに、ティアナは顔の横に……。

「まずは2トップの基本陣形、指示、聞き逃さないでよ?」
「了解した……」
「任せて!」

 アレン達の戦いの火蓋が切って落とされようとしていた……。

後編に続く
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ア「む……。生地をこねる力が約0.8%オーバーしてしまった……」

テ「あーもう! そのくらいいいから! アンタは細かすぎるのよ! 一品に何時間かけるつもり!?」

フ「えっと、皆さんこんばんは後書き雑談コーナーの時間なんだけど、ご覧の通り、アレンが料理に目覚めたというか……」

ス「付き合ってるティアも世話焼きというか」

マ「かれこれ四時間くらい付きっきりだからね」

アル『これぞ、ラヴパワーだな♪』

テ「そこのデバイス、撃ち抜くわよ?」

アル『……』

マ「えっと、いつものことだからさ、スルーしてくれる?」

テ「ったく……ってアレン!! まだ焼いちゃダメ!」

ア「しかし……素材がもっとも適温となる今焼かなければ……」

テ「多少まずくなってもアンタに爆破されるよりかはマシよ」

ア「しないと思うが……恐らく……」

テ「限りなく薄い確率でもアンタは不安になるのよ!」

フ「まぁ、ティアナは置いといて、マコトさん、ネコ化とチャイナ、解けたんだ」

マ「一時、口調がネコになっちゃってて直すのが大変だった……」

ス「あはは。アレだけ長い間ネコ化してればね〜」

マ「スバル〜。笑い事じゃないから!」

フ「さて今回、威力がちょっとわかり辛いので魔術の仮魔導ランクを表示したいと思います」

ちなみにAAランクがリミットなのはのディバインバスターとして設定しています。


低位術

瞬刃 真空刃がこれ

威力:B〜AA
速度:AA+

旋弾 風弾がこれ

威力:C+〜B
速度:AAA

風系統の魔術は速度と連射に優れ、弾幕展開が主な役割。
尚、瞬刃に限り、大威力に変更、威力の向上が可能。
本編で使っていた鎌鼬がその向上版。威力はAAランクとして設定。

迅雷 片手の雷撃がこれ

威力:B〜A+
速度:S+

雷の名の通り、並みの魔導師では目視も不可能な雷撃。
天空や腕から等、範囲と速度に優れた魔術。
連射は不可。
ピンポイント雷はコレ。

焦爆(しょうばく) 四条にわかれた炎弾がこれ。

威力:A〜AA
速度:B

相手を囲うように、分散した四つの炎が集まり、激突と同時に爆散する技。
低位にしては威力は高いが、速度が遅く、全ての直撃はほぼ不可能なため、目眩まし目的や繋ぎとして使われる。

準高位術

暴火 直線的な炎熱攻撃
嵐氷 直線的な氷雪攻撃

威力:AA+〜AAA+
速度:AA

単発でも充分な威力を誇るが、フィルは合体技として両手から放つ場合がある。
その場合、遠隔操作で左右から挟撃させる時もある。

双天覇降

威力:AAA+〜S
速度:S+

両手から迅雷を合わせ、巨大な轟雷を叩き落とす。
威力、速度、共に反則レベルとなっているが、天候を操る飛天がなければ発動が難しい。

高位術

天嵐塵

威力:S〜SSS+
速度:SSS

雷系最高段階の雷撃。
膨大な魔力が無ければ発動すら不可能。
さらに、制御も難しく、制御を誤れば大陸くらいは簡単に消し飛ばせる力を誇る。
ピンポイントで使う場合、結界を張り、世界と隔離した上で、目標を絞り込み、出力を選択するという、相当複雑な手順を踏まねばならない。
アレンに放った際はギリギリまで出力を絞っていた。

フ「まだ序盤だしこんな所か。なんとなくわかってもらえればいいかなと思ってます」

マ「……ダメだと思う。特に一番下……」

フ「でも、まだ上はあるよ? 流石に簡単には使えないけど……何より疲れるしね」

ス「ま、まぁ、今日はこの辺りで……」

ア「出来たぞ。コッペパンが……自信作だ」

テ「つ、疲れる……」

マ「お疲れ様〜」

バ「それでは次回にTake off!」

アル『いたのかお前……』

バ「ふ……」

ガシャン。


+注意+
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