はい。すいません!!
遅れた上に中編です!!
なんでかって言いますと、みんなをチマチマ活躍させようとしてたら文字数が……。
たびたびすいません……。
EP:18 怒れる瞳 (間奏)
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「うふふ♪ ここのところハズレばっかりだったけど、今日は大当たり♪」
とある薄暗い闇の中で、ニコニコと笑う、赤髪ツインテール、淡い水色の胸元が大きく開いた上着、十字架が刻まれた赤いベルト、黒い超ミニスカートを着用する女性がいた。
女性は、男性が入れば、百人中、百人が可愛いというほどの美貌を持っていた。
幼さが未だ残るその顔は、地球でいう、高校生ほど。
その女性は、藍の瞳も輝かせ、クルクルと踊る。
「やぁっと会えた♪」
突如、踊りが終わり、その輝く瞳はこんなに幸せなことはないと言わんばかりにより一層瞳が輝く。
「私の、ア・レ・ン・く〜ん♪」
その目の前に、蔓に囚われピクリとも動かないアレンがいた……。
少女は後ろで手を組み、ニッコリと笑いながらアレンに近づいていく。
「ん、ふ……」
そして、アレンの首筋を躊躇なく女性がペロリと舐めた。
頬を紅潮させながら、それこそ、極上の料理を味わうようにゆっくりと……。
「美味しい……。もう食べちゃおっかなぁ♪」
とろけるような笑みを浮かべる女性。
唇に指を当て、瞳を閉じて可愛く唸る。
「ん〜……。リヴァル先輩に譲るなんて言ってないし、食べちゃお♪ いただきま〜す♪」
アレンに舌なめずりをしながら女性がゆっくりと近づく……。
体が密着し、顔が近づく……。
「不快だ……」
「っ!」
呟きが響いた瞬間、女性の体が吹っ飛ぶ!
吹き飛んだ女性は壁に叩きつけられた……。
が、女性は効いていないかのように立ち上がる。
そして、再び笑みを浮かべた。
「あらら、死にかけかと思ってたのに。仮死状態になってたなんて凄いね♪ 流石私の惚れた男♪ カッコい〜ぞ♪」
女性の前には普段と変わらない様子で黒装束を纏うアレンが立っていた。
アレンを捕らえていた蔓は、跡形もなく消し飛んでいる。
全身から牙弾を射出した結果だ。
「貴様、人間ではないな……」
「あら、忘れちゃったの? あんなに、イ・イ・コ・ト♪ してあげたのになぁ?」
「知らん。問いに答えろ……」
「ん♪ でもそんな冷たいアレン君も好き♪ だ〜か〜ら〜特別だよ♪」
場違いにも、ニッコリと笑みを浮かべた女性。
女性の瞳を正面から直視したアレンは、一歩下がる……。
その事に驚愕したのはアレン自信。
気圧された、だと……
声には出さないものの、内心は焦っていた。
そんなアレンを見て、女性は笑うのみ……。
「私はロンド。ロンド・リストニア。でもこっちでは『りせ』って名乗ってるからそっちの方が嬉しいかも。あ〜でもでも、アレン君なら特別にロンドでもいいよ♪」
「……お前は殺す」
「ムリムリ♪ それより起きたんなら、私とイイコト、しよ♪」
「……一人でやれ」
殺気を放つアレンに、女性、ロンドは余裕の笑み。
怯えていたのは事実。しかし、それを押し潰し、アレンは大剣を抜き放つ。
「つれないなぁ……。ここじゃ勝ち目、無いよ?」
「っ!」
瞬間、アレンの周囲から地中より飛び出した蔓が絡めとり、地面に組み伏せた。
「うぅ……ぉおっ」
「だから、ここじゃ勝ち目ないよって言ってあげてるのに」
蔓を引きちぎろうと、アレンは組み伏せられた状態から腕に力を込めるが、浮いたも束の間、量を増した蔓によって潰された……。
「この厚みじゃ、兵装解放しても逃げられない」
アレンの前にしゃがみこみ、相も変わらず笑みを浮かべる。
世の男性が見れば、それだけで何も考えられなくなるような笑みだが、生憎と、アレンには通じない。
「力場転換……」
女性を無視。零れ落ちる魔力の雫……。
ミッドでもなく、ベルカでもない、転換系魔術独特の文字が述者周囲を旋回する……。
発動を待つだけとなった時、文字は突然に散り散りとなる……。
「これは……」
「反呪文、フィル先輩と戦ったならこれくらいは知ってるよね? この反呪文は、構造の簡単な低位術式を無効化、意味、わかるよね?」
「く……」
アレンは呻く。
低位術の無効果、ということは、基礎である、力場転換系列の魔術しか使えないアレンはほとんどの手札を潰されたということと同義。
結界系列の魔術には魔術の発動経路に侵入し、破壊したり機能しなくする方法もあるが、高レベルな方法であるため、アレンに使える筈もない。
実質、これでアレンは女性を見上げることしかできなくなった。
「さてさて、どうしよっかなぁ♪」
相変わらず晴れやかに笑いながら、女性は首を左右に傾げながら鼻歌混じりで思考を始める。
「……っ」
その間に、アレンは脱出しようと蔓の弱い部分を探るが、それらしき位置はない……。
「良いこと思いついた♪」
女性が明るく声を出す。
さも、女性の表情は名案が浮かんだという様子。
突如、アレンの顎を女性が持ち上げた……。
「アレン君、今から貴方の未来は貴方が決める。選択肢を上げるから、選んでね?」
「……」
笑う女性にアレンは殺気を孕む気迫を放つ……。
だが、女性は心地良いと言わんばかりに、目を細めた。
「1、外にいる雑魚を前菜として先に食べて、それからメインディッシュを食べる」
「貴様……」
指を一本立て、選択肢を嬉しそうに言った。
外にいる雑魚、とはティアナ達のこと。
さらに殺気を放つアレンに構わず、女性は二本目を立てる。
「2、メインディッシュからゆっくり味わって、後で外にいる雑魚を食べる」
そして、アレンの眼前で、三本目が立つ……。
「3、全員を捕獲して、アレン君を食べる様子を皆に見せつける……。さぁ、どれかな? 私的には3番がオススメかな♪」
「……」
アレンは押し黙るしかなかった。
どの選択肢を選んだ所で、順序が入れ替わるだけだからだ。
「あ、食べるって言っても、グロテスクなの、想像しないでね? 生気を抜き取るだけだし、ちゃあんと、口からしてあげるから。その方が効率いいし、お互いにも、ね♪」
「ふ……」
静かに……アレンが少しだけ笑った……。
アレンが、自分が死地にあると知りながら、笑ったのだ。
「ん? どうしたの。急に笑って……。あ、私と出来るのがそんなに嬉しい、とか? えへ♪ じゃあもうちょっとだけサービスしてあげちゃおう、かな……。内緒だよ?」
そんなアレンに、女性は首を傾げ、頬を紅く染めながら恥ずかしそうにする。
もっとも、本当恥ずかしがっているのかどうかは定かではない……。
「選択肢の答え、だったな……たった今、答えが出た……」
「じゃあ、聞こうかな。何番なのかを……」
ゆっくりと呼吸し、アレンは口を開いた……。
「三つの中のいずれでもない。……強いて言うならば可能性の、零、だ」
アレンの答えに、女性は一瞬驚き、直ぐに笑みへと戻る。
アレンの言葉の意味を瞬時に理解したからだ。
「……やっぱり面白いね。アレン君は♪ いいよ。その方が私も楽しめるし」
笑う女性の頭上、破砕音が鳴り響き、大穴が開いた……。
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先の出来事から少し時間は遡る。
マコト達が待機している一際高い崖の上にティアナ達は合流、今まで集めた情報を話し、アレン救出の作戦を立てていた。
「やはり、アレンさんは溺れて死んでいる、という可能性は低そうですね」
「ほ、ホントに!? 嘘とかじゃないわよね!?」
ティアナに向かって、バレッタは力強く頷いた。
相当自信があるのか、いつものような弱気な雰囲気はない。
「ええ。アレンさんの予想通り、それの主の元へ引きずり込んだ、と考えるのが妥当です。恐らく、あの植物自体に自我は無いのでしょう。地雷王が襲われた時、マコトさんによると、いきなり下から噴き出すような邪気を感じた、とのこと。下から噴き出す、ということは、根本があるのです。そこから何者かが蔓を操り、広範囲に渡って、探知のための力のみを放出、必要な時に獲物を捕獲し……取り合えず、食べる、とでも言っておきましょうか。とにかく、それなら、一帯に微弱な力が働いているというアレンさん達の発言も頷けますし、その場ではなく、いちいち沼に引きずり込んだ手間もわからなくはないです」
説明に一同は頷く。
だが、一名だけ、不安な人物がいた……
『マコト、お前、今の説明でわかったか?』
「とにかく、アレン君は地下にいるんだよね!」
『……ハショリ過ぎだろ』
こんな状況にも関わらず、変わらない二人に、一同は笑う。
緊張は大切だ。
しかし、緊張は毒にもなる。
その緊張に毒されてかけていた雰囲気をマコトが解毒したのだ。
解れたところで、ルーテシアの耳元に一匹のインゼクトが飛び回る。
「陸曹、当たりです! ガリューが会話を捉えました!」
「よし! 行きましょう。救出に!」
「バレッタ、場所がわかったの!?」
「はい。スバルさん達が探索した洞窟、あそこにあった穴をルーテシアさんのガリュー達に調べてもらっていたのですが、虫の感覚が捉えてくれたようですね」
「で、でも、何故だか蔓が活発化してきてるとも……」
ルーテシアの言葉に、表情を引き締め、最初にティアナがバリアジャケットとクロスミラージュを展開。
それに乗じて、各々、光に包まれ、バリアジャケット、騎士甲冑を装着。
「……絶対助ける」
「陣形を組みましょう。僕、キャロさん、ルーテシアさんはここから前衛の援護。下手に動ける状況じゃないですし、僕たちはFBです」
「「はい!」」
しっかりと頷く二人にバレッタも頷き返す。
そして、バレッタはエリオとマコトに視線を向ける。
「次に、エリオさん、マコトさんをGWの役割。スピードもありますし、いけますね?」
「もっちろん! 一発も通さないから!」
『久々に暴れるぜ!』
「大丈夫です。任せてください」
掌と拳を合わせてマコトが、自信に満ちた表情でエリオが、同時に頷く。
最後に、ティアナとスバルへと、バレッタは向き合う。
「FA、スバルさん。最前線兼突入、いけますか?」
「大丈夫。前を開くのが私の役目だから!」
「そして、ティアナさん、今回、貴女は突入だけを考えて、動いてください。全力でフォローしますから」
「ありがと……。皆、頼りしてるわね」
「では、号令はティアナさんがどうぞ。僕は相応しくないですし」
バレッタが下がり、ティアナが前へ……。
強い想いを胸に秘め、瞳が輝き、思いきり空気を吸い込む。
「作戦、開始!」
《了解!》
ティアナの言葉を合図に、バレッタ、キャロ、ルーテシアは配置に着き、スバルを先頭にティアナ、マコト、エリオが並びながら崖から跳んだ……。
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空に三本の道が出来る。
その道の名はウィングロード。
ティアナ達はその上に着地。
センターをスバル、その後ろにティアナが続き、サイド二本をマコトとエリオが走る。
『うおっ! 下見ろ下!』
声を上げるのはアルタ。何事かと四人は下を向き、唖然とした……。
「何よ、アレ……」
「蔓、じゃない?」
「うわぁ、凄いや……」
「大変なのは確かですね」
ティアナ、スバル、マコト、エリオの順にそれぞれ視線が釘付けになる。
何せ、森から大量の蔓がこちらに伸びて来ていたのだから。
(やはり様子が違います。気を付けてください!)
バレッタから念話が届けられた瞬間、蔓がティアナ達の行く手を阻むように、周囲を囲う。
(バレッタ、アンタに任せる!)
(わかりました。いいとこ見せたいですしね)
(うん)
信頼してるから。
バレッタはティアナにそう言われたように感じ、崖の上で苦笑いを浮かべる。
期待に応えないと……
いきなりの大仕事。自分一人では到底無理。
故に、隣にいる二人にバレッタは振り返る。
「重労働ですが、お二人とも、手伝っていただけますか?」
「もちろんです」
「やってみます」
キャロとルーテシアが頷いたのを確認し、バレッタはガンデーヴァを構える……。
「まずはキャロさん、いきますよ。合図しますから……」
「はい!」
集中し、銃口を目標に向けるバレッタと、魔力スフィアを展開するキャロ。
蔓の中程を狙い、バレッタが引き金を引いた……。
「撃ち抜け、ガンデーヴァ!」
『Snip Shot!』
琥珀の閃光が走る!
一筋、二筋、三筋と、迷うことなく蔓達の中心を貫き、動きを止めた……。
「今です!」
「シューティングレイ!」
『Fire!』
ケリュケイオンが輝き、琥珀の弾丸に続き、桃色のスフィアが動きを止めた蔓達に降り注ぐ!
「止めを!」
「トーデス・ドルヒ……」
目を閉じたルーテシアが両腕を左右に広げる……。
直後、蔓達に纏うように紫の魔方陣が展開。
召喚されるのは、日本語直訳、死の短剣を意味するダガー。
それは、蔓達を針山にしてしまう……。
さらに、ダガーは光を放ち出した……。
「バースト……」
ルーテシアが呟く。
直後、轟音が鳴り響いた……。
蔓に突き刺さったダガーが爆破されたからだ。
無論、ただの植物でしかない蔓は木端微塵に弾け飛ぶ。
しかし、他の蔓はまだ止まらない……。
寧ろ、数が増えた気さえする……。
即座に判断したバレッタは、ティアナに念話を繋ぐ。
(ティアナさん、数に限りはありません! 背後は潰しますから正面突破してください!)
(わかった!)
ウィングロードを走るティアナ達の周囲に尚も降り注ぐ琥珀と桃、そして炸裂するダガー。
これらは全てバレッタ達の援護射撃だ。
未だに一本たりとも蔓を逃してはいないが、それも時間の問題。
このまま数が増えればいずれは抜ける蔓もある。
「一気に正面を抜く!」
背後はバレッタ達が防ぎ止めると信じ、ティアナは前だけに気を向けた。
「ティアナさん、左右はボクとエリオ君が行きます!」
「絶対抜かせませんから!」
「ええ!」
自信に満ちたマコトとエリオの声に、ティアナは頷く。
直後、マコト、光の軌跡を残し跳躍。エリオは地上へと別れた。
「超変身……蒼き龍騎士!」
即座に腰から銃剣型デバイスを引き抜く。
「武装錬成……」
『アドベント、てか♪』
「レヴァンティン!」
銃剣型デバイスが輝き、武装錬成にてレヴァンティンを精製。
止まることなく、残像を残しながら蔓に斬りかかる!
蔓は襲いかかってきたマコトに対し、一斉に突撃!
「はぁぁあ!」
マコトが咆哮を上げる。
ドラッへフォルムとなったことにより加速した動きで回転。
周囲に存在していた蔓を薙ぎ払う!
一撃必殺、とまではいかないが、強烈な回転斬りを見舞われた蔓はマコトから離れる。
時間にして二秒の空白。
しかし、今のマコトには秒単位など遅すぎた……。
蔓を蹴り、一旦ウィングロードの上に移動、再び跳躍!
その間、一秒にも満たない時間であった……。
群がる蔓達の頂点にて、錬成を解除。レヴァンティンから銃剣に戻し、下方に向ける。
『蜂の巣にしてやれ!』
「ファイア!」
マコトの腕が霞む程の速さで動きつつ、銃剣から弾丸が連射され、狙い違わず下方の蔓達に突きたつ!
そして、アルタの言葉通り、弾丸は蔓に風穴を空けていく。
「ラスト!」
『翆の射手』
銃剣が輝き、次はボウガンへと姿を変える……。
さらに、マコトの姿もヒンメルフォルムへと変更された。
構えられたボウガンに集うは紅蓮。
まるで、ボウガン自体が燃え盛るように空に赤く光る……。
『ファイナルベントで!』
「ブラストレイン!」
瞬間、ボウガンから拡散するように放たれる紅蓮の矢。
マコトの下に存在していた蔓は、炎の雨に身を晒し、やがては炎に包まれていく……。
「エリオ君、よろしく!」
『しくるなよ!』
落下しながら叫ぶマコトとアルタに答えるように、森の中から光を反射するのはストラーダ。
「いくよ。ストラーダ!」
『Sonic move!』
木々の間を縫うように、光と化してエリオが走る!
高速で移動するエリオは、すれ違いざまに蔓に斬撃を叩き込んでいく……。
左から右へと、止まることなく一気に駆け抜けた。
「ふぅ……」
『Speerschneiden』
肺に止めていた酸素をゆっくり吐き出した後、ストラーダが電子音を響かせ技名を発する。
直後、燃え盛る蔓が空高くに弾け飛ぶ。
全て、エリオによって地面から斬り飛ばされた結果だ。
この二人の活躍により、一時、左右の蔓は消え去る……。
残るは正面のみとなった。
「「行ってください!」」
「ありがと!」
「助かったー!」
落下しながら空からマコトが、再生しようとする蔓を切り裂きながらエリオが、ティアナとスバルに叫ぶ。
二人は蔓へと突っ込みながら、礼を言う。
「スバル!」
「オッケー!」
マッハキャリバーが火花を散らし、加速!
正面から来る蔓にスバルは右腕を引き絞り、拳を握り締める!
「リボルバァァァ!」
『Load Cartridge!』
渦巻く螺旋。弾け飛ぶ薬莢。三連でカートリッジを弾き出す!
目の前をうめつくす蔓……。
しかし、スバルは構わず拳を撃ち抜いた……。
一瞬速く、スバルの体に蔓が巻き付き、押し潰そうと密集を始める。
「シュゥゥゥト!」
が、蔓は内部から炸裂した衝撃波によって膨れ上がり、爆破されたようにバラバラになりながら吹っ飛ぶ!
ここにきてようやく、視界が開け、その先にあるモノをティアナ達は見た……。
それは、今までと変わらない蔓。
しかし、大きさが、太さが、全く別物と言っても過言ではないほどに、違っていた……。
立ち塞がる巨大な蔓に、ティアナは奥歯を噛み締める。
「スバル、力を貸して!」
「応っ!」
ティアナは跳躍、スバルは腰を捻り右回転。
蹴り上げる、そんな動作をとった蹴撃の進路上に、ティアナが跳んでいた……。
そして、着地。スバルの脚に乗るような形へとなる……。
「うぉぉぉぉっ!」
『Calibur Shot!』
咆哮を上げながら、スバルが蹴り抜く!
ティアナを乗せていたにも関わらず、存分に威力は発揮され、弾丸のようにティアナは跳んだ……。
遥か、遥か上空へと……。
撃ち抜けないのは大きさを見れば分かった。
故に、跳んだのだ。
「応えて……クロスミラージュ!」
『Yes of course』
ティアナは両手に構えたクロスミラージュを“連結”した。
瞬間、銃のグリップハンドが真っ直ぐに変形。
銃口から橙光を放つ魔力刃が展開、その様は唾の無い日本刀に近い。
体ごと回転し、刃を振りかぶる!
「いっけぇぇぇぇ!」
全体重を乗せた大太刀の一撃は、巨大な蔓の頂点から、バターを切り裂くように魔力刃が突き進む!
まさに、一刀両断という言葉が相応しい。
蔓を真っ二つに切り裂き、ティアナはウィングロードに着地した……。
「はぁ、はぁ……」
「ティア、凄〜い! いつのまにあんなのを使えるようになったの?」
「……さっさと行くわよ」
「う、うん」
たった一度の攻撃にも関わらず、ティアナの息は既に荒い。
相手の巨大さ故に使った大太刀だったが、アレはまだ未完成の技。
負担もそれだけ大きいモノがあった。
「ティア、大丈夫?」
「ん。走ってれば治ると思うから」
立ち上がるティアナ。
心配するスバルを余所に、走り出す。
アレンを助けるという想いが、ティアナを突き動かしていた……。
そして……。
「アレだ!」
「突っ込むわよ!」
遂に見つけた洞窟の穴、スバルはウィングロードの高度を下げ、慎重に近づく……。
後数メートル、その時、地面が盛り上がった……。
「「っ!」」
二人の眼前に、蔓が飛び出し、ムチのようにしなる!
この奇襲に、二人は意表をつかれて動けない……。
直撃の瞬間、閃光が走り、蔓がバラバラに切り裂かれた……。
何が起きたのかと、二人が周囲を見回すと、滲み出すかのようにガリューが出現した。
「「ガリュー!」」
「……」
驚く二人だが、ガリューは相変わらず無言のまま。
ただ、視線を洞窟に向けて、二人をもう一度見た……。
「早く助けに行けってことかな?」
「仲が良いんだか悪いんだか……ま、助かったわ」
「……」
役目は果たしたと、二人に背を向け、ガリューが消える。
ほぼ同時に、ティアナとスバルは暗闇の洞窟へと突入した。
「この先に穴があるから、多分その先にアレンがいる筈!」
「わかった!」
スバルが先導し、ティアナを見つけた穴へと先導。
蔓は現れず、ティアナの足音とマッハキャリバーの駆動音が洞窟に響く……。
遂に、何も起きないままに大穴へと到着してしまう。
「何も、出ないね……」
「油断してるのか……それとも、誘ってるのか……どっちにしても、行くしかないなら覚悟決めるしかないわね」
答えは二つに一つ。
だが、悠長に考えている時間は二人には無い。
アレンはこの先で、ティアナ達を待っているから。
もしかしたら、敵に誘われているのかもしれない。
掌の上で踊らされているだけかもしれない。
しかし、虎穴に入らなければ、虎児は得られない。
だから、だからこそ……。
「行くわよ。スバル……」
「うん……」
明らかに危険だとわかってはいても、退く気は無かった。
同時に横を向き、アイコンタクト……。
そして、二人はニコリと笑った。
「頼りにしてるわ。スバル」
「こちらこそ。ティア」
前を向くと同時に二人は大穴へと飛び込む!
闇の中へ、風を切りながら落下する……。
「とっ……」
「……」
20m近く落ちた時、フローターを発動していた足におかしな感触を覚える。
ティアナはスフィアを展開。橙の光が足元を照らす。
瞬間、正体を見たティアナは後悔した。
「骨……」
「やっぱり……」
先刻、スバルが下を覗いた時に見えた骨は間違いではなかった。
二人の立っていた足元は全てが骨。
骨の山の上に、二人は立っていたのだ。
取り合えず、前へと進むが、その度に足元で嫌な音が鳴る……。
聞かないようにしていた二人だが、ティアナの足が止まった。
「アレンが拐われるまで到達出来なかった自分に腹が立つ……何しに来たのよ……私は……」
苛立ちから、俯くティアナに、スバルは慰めるでもなく、いきなり背中を叩いた。
「っ!」
「悔やんでても時間は戻らない。だから今は、アレンを助けて、敵を倒して、皆で笑って帰る。それで、お酒を飲んで、それから後悔をぶちまけよう? 私で良ければ、オールで付き合うし」
相棒の言葉にティアナの心の暗雲は消え去る……。
「年下のくせに、生意気言うなバカスバル……」
「一つしか違わないも〜ん」
気分がスッキリとしたからか、ティアナは、感覚が澄み渡る、そんな感覚を体感していた。
そして、その聴覚は、確かに声を捉えた……。
「今……何か聞こなかった?」
「え? そうかな?」
「耳を澄まして……」
ティアナとスバルは瞳を閉じて、耳を澄ませる……。
二人には何を話しているかはまではわからない。
だが、確かに何かの声が聞こえていた……。
集中し、声の方向を必死に探る。そして……。
「「下!」」
二人が捉えた位置は骨の山の内部。
互いに頷く……。
「ごめんなさい……」
「アンタ達の分も私達が撃ち込んでくるから……」
謝罪。それで許されるのかはわからないが、それより他に方法は無い。
そうして二人は、己がデバイスを骨の山に向けた……。
「クロスファイアァァァ!」
「リボルバァァァ!」
ティアナの周囲には明るく輝く魔力スフィアが、スバルの右腕には螺旋に渦巻く風が生まれる。
ティアナは引き金に指を引っ掛け、スバルは右腕を腰を捻りながら引き絞る……。
「「シュゥゥゥゥト!」」
同時に咆哮が暗闇に響き、瞬間、光が弾けた!
降り注ぐスフィアと、解き放たれた衝撃波は、骨を粉砕しながら下方へと突き進む!
「「はぁぁぁああ!」」
やがて、二人は穴を掘り進むように、骨の中へと埋もれていく。
深くなるにつれ、話し声が大きくなった。
最早、誰かがアレンと一緒にいるのは間違いない。
「三つのいずれでもない……。強いて言うならば、可能性の、零、だ」
そして、アレンの声をティアナは聴いた。
それだけで、ティアナは気力が満ちるのを感じる。
スフィアを消し、ブレイズフォームに変更……
「ファントムブレイザー!」
カートリッジを排出しながら、橙の砲撃は撃ち放たれ、ティアナ達の前を突き進み、道を作っていく……。
真っ直ぐに伸びた光は、視線の遥か先で穴を開けた……。出口だ。
重力に任せ、二人は落下していく……。
風を切りながら、フローターを発動し、着地。
「おぉうりゃぁああ!」
「え〜……」
同時、マッハキャリバーから火花が弾ける!
スバルは、相手が誰かも構わず、加速と重心の移動を加え、ナックルダスターを叩き込む!
拳に感触が広がった瞬間、上半身を大きく左に捻る。
殴られた人物は、あっさりと吹き飛び壁にめり込んだ……。
「アレン!」
相手を吹き飛ばしたスバルはアレンに駆け寄る。
現在は、アレンを組み伏せる蔓をティアナが弾丸で破壊していた。
とは言っても、腕辺りを破壊した所で、アレンは自力で引きちぎっていたが……。
立ち上がるアレンに、ティアナは申し訳なさそうに俯く。
「待たせてごめん……」
「いや、信じていた。ティアナ、ありがとう、だな」
「お、お礼なんていいわよ。仲間なら当然だし……」
ティアナがそう言うと、アレンは何故か悩む……。
それにティアナは首をかしげた。
「どうしたの?」
「……そうなると、私は何を返せばいいのかがわからないのだが……やはりここは何か報酬を……」
「うん。もういいわ……」
「……?」
「あはは……取り合えず、ナイスボケ」
早速発動したボケにティアナは頭を抱える。
そしてスバルは苦笑い。いつもの光景がそこにあった。
「も〜ひっどいなぁ。いきなり来て挨拶もなしに殴るなんてさ〜?」
「「っ!」」
「……」
幼さが残る声が、響いた。
スバルに殴られ、めり込んでいた壁から、魔人ロンドは復帰していた……。
スバルの一撃をまともに受けたにも関わらず、全く効いていない様子のロンドはやはり、笑っていた……。
信じられないとでも言うように、ティアナとスバルは目を見開く。
当たり前である。ロンドは見た目は高校生程の外見なのだから。
「りせで〜す♪ リヴァル先輩にはいっつも怒られてま〜す♪ よろしく♪」
「「……」」
訳がわからない。
ティアナとスバルは同時に思った。
「気を付けろ……。外観はふざけているが、恐らく私達より、強い」
「信じられないけど、アンタが言うんなら、間違いないんでしょうね……」
「ちょっとやりづらいけど、頑張るよ……」
構える三人に対し、りせ、もとい、ロンドは腕を後ろに組んだまま動かない。
「戦うなら〜、やっぱステージ作らなきゃ、ね♪」
ロンドが右手を上にゆっくりと上げる……。
「ステージ、オープン♪」
「「「!!!」」」
ロンドが指を立てた瞬間、地面が上がった……上へ、上へ、上へと……
Next Stage
次回、怒れる瞳後編は、フィルの方のサイド、予定では、その次にバトル予定、ですが、どうなるやらわかりません。
不規則ですいませんです……。
+注意+
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