どうもヨシュアです。 この作品は、ティアナが主体。二十歳で執務官、一人暮らしという設定で進んでいきますのでご了承ください。
EP:01 勇者?
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「たく…何で私はこんな身元不明の男を連れ込んでるのよ…
あ〜自分の事ながらイライラする。」
女性の声が聞こえる…
誰だ?わからない…
とりあえず、状況確認をしなければ…
何故かかけられている布団を押し退け、起き上がる…
「………」
小さな部屋だった…
四角い物の中に笑った男がいる…
何故この男は動かない?生気を感じられない…
見ていてもなんら表情を崩さない…
目の前で手を振っても反応はない…
さらに部屋を見渡すと机の上に平らな何かを見つける…
何だこれは?
カードにしては大きい…
装飾も多い…
調査をしていると突然声が響いた。
「起きて早々に人の部屋の中を調べまわるのやめてくれない?」
「………」
この女性は誰だ…
不思議な髪の色だな…
人の部屋ということは、この部屋の主と言うことか…
何故、私をこの部屋に?
理解不能だ…
「黙ってないで、何か言うことはないの?」
「………」
「私は、倒れてた貴方を助けてあげたんだけど?」
言うこと?
ああ…そういうことか…
勇者が放った第一声は…
「お前は誰だ?」
「違うでしょーが!!」
スパーンと快音が響き、私の頭に衝撃が突き抜ける。
攻撃行動…この女性は敵か?
やはり、理解不能だ…
「助けてもらったんだから、ありがとうくらい言えないの!?」
「ありがとう?それは何だ?言ったらどうなる?
その行動の意味を教えてくれ。」
「もう一発しばいてあげましょうか?」
何故か目の前の女性から殺意が放たれる…
「何故、殺意を放つ?
私は行動の意味の説明を要求しただけだが?」
「ほ、ホントに分かんないの?」
殺意が消える。
よく分からない女性だ。
「知りたくなければ要求などしないだろう?」
こう言うと、女性は、表情を歪める。
何故だ?
「それは、そうだけど…」
「改めて、ありがとうの意味の説明を要求したいのだが?」
「ありがとうって言うのは、自分に利益のあることをしてくれた相手に対して、言うお礼のことよ。」
「礼?報酬のことか?」
「ん〜そこまでのことじゃないわね。
頭を下げてありがとうって言うだけ。」
「行動の意味は?」
「意味って…相手は嬉しくなる…かな。」
「嬉しい?」
「あ〜もう!あるでしょ?ウキウキっていうか、心が軽い時が!!」
ウキウキ?心?
言っている意味がわからない…
だが、これだけは言える。
「無い…」
「今まで一度も?」
「正確にはわからない…」
「え…?」
「私にわかるのは、私の名前と戦闘方法、存在意義だけだ…
それ以外のことは、何もわからない…」
「そんな…」
目の前の女性が表情を崩しうつむく。
「どうした?」
「それって記憶喪失みたいなものよね?」
「記憶…確かに、これまでの行動の過程は覚えていないな。」
だが、それがどうだと言うのだろう…
「悲しいわね…」
「悲しい?済まないが、意味がわからない…」
「今の私みたいな感じことよ。
心が痛い時になる感情ね。」
「記憶しておく…
とにかく、私には貴女に言うことがある…」
目の前で女性がどこかしらに痛みを抱えているのは、わかるが、私にはこれしか言えることがない…
「貴女の行動のお陰で私はまだ存在出来ているのかもしれない。
助けてくれてありがとう…」
この行動の意味は、まだよくわからないが、いつかわかる時が来て欲しい…
何故かもわからない…
ただ、来て欲しいと思った。
「今更…ね。
でも、どういたしまして。」
そうして女性は、明るい顔になった…
「嬉しい…のか?」
「そうね。嬉しいかもね。」
「先程の顔よりも…表現出来ないな…」
「綺麗になった?」
「綺麗…うっ!!」
「ど、どうしたのよ!?」
激痛と同時に脳内に映像が流れる…
男性と女性が会話を交わしている…
『だから悪かったって!そんなに怒るなよ。』
『知らない!』
『頼む!許してくれ!このとーり!』
『ふん!』
『なぁなぁ、頼むよ〜。』
『ふ…』
『お?』
『ふふふ…やっぱり○○ンって面白いね。
面白い顔に免じて許してあげるよ。』
『助かった〜
悲しい顔も怒った顔も綺麗だけどな、やっぱり笑った顔の方がお前は綺麗だよ。』
『もう…ちゃかさないでよ!!
でも、嬉しいかな?』
少し感情の意味を思い出した気がする…
「どうしたのよ!ねえ!」
「そうだな…」
「な、何が?」
「笑った顔の方が綺麗だ…」
「っ!!」
ん?赤くなったな…
この感情もわかる日が来るのだろうか…
「い、いきなり不意討ちとはね…
貴方、実は役者?」
「不意討ち?私は何もしていないが?」
どうもこの女性の言うことは理解出来ないことが多い…
それとも、記憶があればわかるのか?
「はぁ…もういいわよ…」
「その感情は何だ?」
「これは、呆れるっていう感情よ…」
「記憶しておく。」
「多分、記憶してなくても度々出会えるわよ…」
「そうか?
ところで、そろそろ私の問いに答えてくれないか?」
「問い?何だっけ?」
「お前は誰だという問いだが?」
「こういうのは、身元不明な貴方から名乗る物なのよ?」
「そうなのか?
なら…私の名前は、アレン。
アレン・テスタクルだ。
魔王を倒すために存在している。」
「魔王って…嘘みたいな話ね…
まぁ、冗談言えるタイプじゃなさそうだし信じるわ。
私はティアナ。
ティアナ・ランスターよ。よろしくね。」
手を差し出される…
どうしろと?
「握手っていってこれ全部含めて挨拶っていうのよ。いいから握りなさい。」
「そうか。よろしく。」
ギリギリという音がなる…
「痛っ!!!アンタはバカかー!!」
「ぐあ!」
スパーンという音と共にアレンは吹っ飛んだ…
「何故…攻撃された?」
「握手っていうのは軽く握るだけなのよ!
どこに挨拶で相手の手の骨粉砕しようとするバカがいるのよ!!」
「…知らなかった。」
「ちょっとは自分で考えなさい!!」
「善処する…」
「たく…出身…はわかんないか。
戦闘関連の知識はあるのよね?
使用術式と魔力値とか教えてくれる?」
「…何だそれは?」
「何って…そのまんまよ。
データベースで検索すれば貴方のことがわかるかもしれないから戦闘関連の情報だけでもと思ったんだけど…
剣が持ってたからベルカ式でしょうけど…」
「ベルカ式?よくわからない…」
「戦闘関連の知識ホントに覚えてるの?
じゃあ、使用魔法は?」
「魔法?魔術ではないのか?」
「魔術?何それ…」
魔術を知らない?
改めて、思考をすると、不思議なことばかりだ…
女性の話によると私は倒れていたらしい…
何者かに襲撃されたのか?
何故、私の記憶が無いのか…
そして、子供でも知っている魔術の存在を知らない女性…
「予測だが…私は、この世界の住民では無いのかもしれない…」
「え?ミッドチルダ以外の世界から来たの?」
ミッドチルダ?
そもそも、それ以外の世界とは何だ?
世界とは一つでは無いのか?
「わからない…
だが、貴女が言う魔法とやらは、私の情報の中には存在しない…」
「新しい術式かもしれないわね…
何処かの管理外の世界から何かがあってここに来たとか?」
「何か…
魔王を追いかけてこちらに来たのかもしれないな…」
「よくわからないわね。
貴方の記憶が戻ったらわかるでしょ。
帰る方法を探すのはそれからね。」
「戻らなかったら?」
「さっきの感じを見てると何かきっかけがあれば思い出せるみたいね。
気長に待てばいいわよ。」
「しかし、宿に止まる路銀が無い…」
どうやら私は、路銀を持たずに飛び出したらしい…
自分のことながら、先を見据えた行動をして欲しいものだ…
「ここ。使ってくれて構わないわよ。」
「それは…」
思い出したばかりの感情が、申し訳ないと責め立てる…
「気が進まない?
なら、私が仕事についてきてくれない?」
「それだけでいいのか?」
「ええ。ガードマンとして最適だしね。
仮面つけてるし、真っ黒だし…いるだけで怖いわ。」
「仮面…?」
顔を触って見ると確かに目の周囲を覆う薄い仮面をつけていた…
力を入れても取れない…
「それって趣味なの?」
「趣味?」
「好きでやってるのかってことよ。」
「いや…知らなかった…」
「じゃあ取れば?」
「取れないらしい…」
「そんなに強く固定されてるとは思わないんだけど…」
そっと仮面に女性が手を触れる…
その瞬間に激痛が走る。
先程より強い…
ただ、痛みだけが襲いかかる…
「ぐぅ!!」
「え…だ、大丈夫!?」
「無理矢理は…ダメらしい…」
「ごめん…」
「私もわからなかった。
今のは謝らなくてもいい…と思う…」
「へぇ…」
何か思う所があったのか、女性がこちらを見ていた。
「どうした?」
「無表情だけど、意外と優しいじゃない。」
「まだ、感情の表現方法はわからない…
今の言葉も口から出ただけに過ぎない…」
「不器用なのね。」
「それもわからない…」
わからないとしか言い様がない…
これもいつかわかる日が来るのだろうか…
「とりあえず、私のガードマンとしてついてきてくれる?
いろんな世界を回るからきっかけも掴めるかもしれないわよ?」
「済まないな…ありがとう。」
「あ、でも立ってるだけだからね?
魔導師でも無いのに問題起こしたら捕まっちゃうかもしれないし…」
「安心してくれ。
例え拘束されようが、依頼は遂行する。
拘束を抜け出してガードマンとして帰ってくる。」
「アンタねぇ…私に迷惑がかかるでしょうが!!」
スパーン!
「ぐあ!!」
「はぁ…」
間違いない…コイツの本質はバカだ…
スバルと並ぶ…いや、スバル以上のバカを釣り上げちゃったかも…
「ティアナ・ランスター…」
壁にぶつかり、逆さになりながらも無表情で私の名前を呼んだ…
フルネームで…
「何よ…アレン・テスタクル…」
何だか癪だったから、こっちもフルネームで呼んでやった。
意味のない戦いが始まろうとしていた…
私だけだけど…
「ティアナ・ランスターの仕事はなんだ?」
「執務官よ。アレン・テスタクル。」
「ティアナ・ランスター。執務官とは何だ?」
「簡単に言うと事件を解決するために現場に赴いて調査をして働く仕事よ。
わかった?アレン・テスタクル。」
「ティアナ・ランスターの仕事は危険なのか?」
「アレン・テスタクルの魔王討伐よりは簡単かもね。」
「よくわからないな。」
「ついてくれば、何となくわかるわよ。」
「ところでティアナ・ランスター…」
「何よ…アレン・テスタクル…」
「年齢は?」
「二十歳よ…女性に年齢聞かないでよ!!バカー!!」
バシーン!!っと爽快な音が部屋に響き渡った…
「済まない…」
強烈な平手打ちがアレンに炸裂…ガクッと気を失った…
ノックアウトという形でアレンとティアナの1日は終了した…
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「………」
「スバルみたい…」
無表情だがガツガツと朝御飯を平らげていくアレン…
メニューは至って普通の日本食…
日本食を何故作れるのか…それは、自立して生活をしたかったために、はやて達に習ったからだが、正直、まだ並のレベルの日本食…しかし、アレンは時間にして十秒で完食した…
「ティアナ・ランスター、ありがとう。」
「そ、そんなに美味しかった?」
「美味しい…という感情がわからないが、また食べたいとは思う。」
「そ、そう。もういいの?」
「ああ。私一人が食糧を減らすわけにはいかない。」
「遠慮しなくてもいいわよ?」
「いや、1日に必要なエネルギーは摂取した。
これ以上必要はない。」
「まぁ、アンタがそういうんだったらいいけど…」
あの勢いならかなりの大食いだと思う…
お腹空かないのかしら?
「………」
アレンは、壁に立て掛けてあった黒い大剣を鞘に納め恐らく目をつむり、私の食事が終わるのを待っている…
疑問さえ無ければそんなにお喋りな奴では無いらしい。
「ごちそうさま…」
「行くのか?」
「ええ。」
食器を片付け、準備をし、マンションを出発する。
朝日が眩しかった…
エレベーターに乗り地下へと降りる。
これは何だとアレンが騒いでいたが、適当に流して降りていく…
ヴァイス陸曹から執務官合格祝いとして貰ったバイクが地下にあった。
「さて、これ頭にかぶって後ろに乗って。」
「これにか?何故?」
「早くして!置いてくわよ!」
「わかった。」
「ちょっとマフラー借りるわね…」
黒いマフラーを自分に巻き付け固定する。
エンジンが唸り、バイクは目的地へと走り出した。
「怖くない?」
「いや…これが…ウキウキか…」
「楽しいの?」
「よくわからないが、気分が高揚しているな。」
「それ楽しいってことよ!」
「これが楽しいということ…」
そう言って空を見上げた…
今、笑ったような?
しかし、次にミラーを見たときには無表情に戻っていた…
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目的地に到着し、調査を開始することになった。
「酷いわね…」
「ああ…」
今回は、街中に急に出現したアンノウンの調査だった。
アンノウンは、昨日の夜に現れ、辺りの建物に損害を与えていた。
幸い、死者は出ていないが、怪我人は何人か出た。
話によると三十メートルは越えているらしいが…
「ここ最近多いのよね…」
「こういう事件がか?」
「ええ。急に現れては辺りを破壊していなくなるっていう事件がね…
目的が分かんないのよね。」
「確かにな…ん?
ティアナ・ランスター、誰か来るぞ。」
「え?」
アレンが視線を向けた先、見知った顔がこちらに向かって走ってきていた…
「ティーアー!!」
「スバル!?」
「誰だ?」
「前に組んでたパートナーよ。
災害救助で来てたみたいね。」
「久しぶり!!ってこの人誰!?」
「相変わらず賑やかね。
この壊滅的無愛想な男は、アレン・テスタクルよ。」
「おい…」
「初めまして!スバル・ナカジマです。」
「ティアナ・ランスターに言われた通り、アレン・テスタクルだ…
ガードマンをやっている。」
「へぇ〜。」
元気な女性だな…
そうだ…挨拶はまだ終わっていない…
「よろしく…」
スバル・ナカジマは、一瞬意外そうな顔をするが、すぐに元に戻り、笑った。
「え?よ、よろしくね!!
ティア!全然、無愛想じゃないよ!」
「私のおかげよ。」
「ああ。相手の感情を理解出来るようになったのは、ティアナ・ランスターのおかげだ。ありがとう。」
「べ、別にアンタの為にやったわけじゃないし、偶然よ偶然。」
「ティア〜。照れてる?」
「うっさいバカスバル!」
こういう騒がしさも悪くは無いな…
「ねえねえ。アレンって呼んでいい?
私もスバルでいいからさ。」
「好きに呼べ。」
「わ、私も…」
「もちろん構わない。」
妙に居心地がいい…
そうか…私は、騒がしいのが好きなんだな…
『また、ぬるま湯に使っているのかアレン・テスタクル…
その目を覚まさせてやろう…』
空から声が響く…
瞬く間に雲が広がり、光を消していく…
この力は…魔王か!
「な、何よこれ!」
「い、今声が聞こえたよ!?
アレンって言ってなかった!?」
「来る…!」
雷鳴が轟き光と共に降り注ぐ。
アレン達の目の前に現れる者…
「グルゥゥゥ…ガアアアアアア!!!」
雷光が収まると赤い竜が咆哮をあげながら己の存在を示していた…
「何でこんな所にこんなのが出てくるのよ!!」
「召喚されただけだろう…」
「市民の非難を最優先してください!
結界魔導師の方は強層結界の展開を!!」
スバルの指示の元、速やかに動く部隊…
竜と三人の舞台が出来上がる…
「アレン、スバル。…救援まで30分はかかるわ。
持ちこたえるわよ…」「竜種は強い…魔王が召喚したなら尚更だ…
気を付けろ。」
「わかった…」
そして二人は、あのカードと宝石を取り出した…
戦闘で使うのか?
「クロスミラージュ!」
「マッハキャリバー!」
「「セットアップ!!」」
「「Stand by ready set up!!」」
「これは…」
光に包まれた次の瞬間には、二人の姿が変わっていた…
ティアナは銃を、スバルは、ガントレットを装着し、構える…
凄まじい気だ…この二人なら大丈夫だな。
「さて…やるか…」
マフラーが変質し、影のように纏われる…
背中から大剣を引き抜き正眼に構え、竜種と対陣する。
人間対魔族…その一戦の始まりだった…
うはあ〜アレンが難しい…間が持たねえ… ちっとも勇者っぽくない勇者ですが、頑張りますので!!
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