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『44話です。不吉ですがどうぞよろしくお願いします。 BY 0 〜マル〜』
呪い天使
作:0 〜マル〜



呪い天使 44 『惨事』



呪い天使44 『惨事』


母さんを救うためにお金を借りる道の途中、そこには三日月がいた。
学校での状況は最悪だった。
僕と三日月が鈴科にしたことが全てバレているという。
そして三日月は独りになってしまい・・・
自ら退学した、という。
しかし、辞める理由は他にもあった。

「私ね、この前の少女コミックで、入選しちゃったんだよ・・・!」

連載が決定したと告げる彼女の顔は紛れもなく輝いていて、僕は閉ざした心が開きそうになるのを感じていた。

二人並んで歩いた夜道。
その後ろの電信柱には、それを見つめる影が一つ。


「でさでさ、どんな漫画をかくの?」
「ちょっとドロドロしてるかなぁー?」
「少女コミックってそんなんなのかよっ!」
「うーん・・・。私のはちょっとジャンルが違うかも;」
「でも期待してるよ・・・!絶対にお金あったら全巻買いそろえるから・・・!」
「・・・ありがとう・・・・・!今から・・・お金借りに行くんだよね・・・」

そうだった・・・僕は今お金を借りる最中なんだ・・・そう改めて気づかされた。
もちろん計画的なプランをたてるつもりだ。
CMやらドキュメントやらでそういうのは嫌というほど見てきたはずだ。
返せる分だけ借りればいい。
母さんの病気さえ治れば・・・そう、なんとかなるはずなんだ。

そんな夜道、僕と三日月の足がそろい始めた。
まるで足音がひとつしかないような、そんなシンクロを感じた。
どうやら雰囲気はこの闇夜のように暗く沈んでしまったらしい。
さっきの会話から一転、僕たちは黙りこくってしまっている。。
さらには互いに自分の影を見始めた。
街灯に照らされ、伸びたり縮んだり、前へいったり後ろへいったり。
目ではそんな影を見つめ、耳では一体化するその足音を聞いていた。

足音が一つしか聞こえない、そんな夜。
いつも決まって起きることがたった一つあった。
それを気付くのはそう遠くない。
否、もう間近にまで迫っていた。
僕たちの足はきれいにそろっていた。
もちろん同様に足音も同時に聞こえてくるはず。
互いに影を見ていたが足も見ていたんだ。
自分たちとは違う足音が聞こえてくることに僕は過剰な反応を見せた。

「ちょっと・・・走ってくれる・・・!?」
「えっ!?え・・・!?何・・・!」
「お願い・・・!鈴科だ!」
「えっ!?」

僕は有無を言わずに三日月の腕を持ち、走りだした。
三日月は片手に持ったバックを揺らし、ひっぱられながら走っている。

「・・・実は・・・・ここ最近、鈴科に襲われてるんだ・・・
 幽霊みたいな感じで・・・手が冷たくて・・・
 そう・・・跳び箱のあの事件の時、鈴科が僕に言ったあの言葉、
 呪う、殺す・・・・。・・・これを実行しようとしてるんだ・・・!
 逃げても逃げても逃げ切れない・・・。手は本当に・・・本当に冷たい・・・。
 この前も・・・鈴科の仲間にトラックで轢かれ殺されそうになったんだ・・・!」

「・・・・・・・・・・・え・・・・・・・・・・・・?」

三日月は僕の腕を引き留めた。
僕は完全に足を止めざる得なかった。
そして、三日月は震えだした。
まさか・・・鈴科は・・・・・・・・・・・。
・・・・・まさか・・・・・・・・・。
時が止まることを覚悟した。


「伊藤・・・。鈴科・・・・鈴科はね・・・まだ病院よ・・・・・」


想定外の答えに僕は戸惑った。
でも、覚悟したとおり、時が止まっている。
自分の表情が全くもって見えない。


「本当よ・・・。アレ、実は重症だったの・・・。
 体の到る所が複雑骨折してたの・・・。
 脳にまで被害があってね・・・
 スポーツさえもできない体になっちゃったんだって・・・・





 それどころじゃなくて・・・・・・・・・・・








 ・・・・・・・・・・・・一生車イスの生活かもしれないんだって。」



近頃衝撃が大きすぎるが、これに関しては最大級のトドメ的衝撃だった。
とたんに目まいが僕を襲った。
ふとゆっくりと上を見上げれば雲に隠れた月がある。
星を探す僕。
あったと思ったら飛行機だったり、なんだったり。
あれ・・・今何を考えているんだっけ・・・。

三日月の顔を見ればすぐに思い出した。
だけどもその事実は受け止めたくない。
そうだ、僕は、恨んでいたとはいえ、一人の人間に、障害を与えたのだ。
一生彼がかかえていく、その障害に。
思い出してみれば鈴科は無遅刻無欠席の健康なやつだった。
さらには運動もできていた。
何部だったっけ?
中学時代には陸上部で関東大会に出たとも聞いたことがある。
そんな彼の人生を・・・
僕は一瞬の血の迷いで、崩してしまった。

例え僕がいじめられていたのだとしても・・・
僕は、鈴科を心の奥底から憎んでいたのだとしても・・・
まさか障害をおわせるとは、全く思ってなかった。
気付かなかったんだ。加害しているときは。
人を殺したかのように僕の心臓は重くのしかかった。
やってしまった後ではもう遅い。
何故、何故気付かなかったのだろうか・・・・?



あれ・・・・?そうだ・・・じゃぁ、今まで僕を襲っていたのは・・・一体・・・・



僕は三日月を再度引っ張った。
しかし、進行方向はさっきと逆だ。
すぐに後ろ向きに逃げようとするソイツが見えてくる。
三日月は・・・どうなっているのかなんて気づきもしない。
僕は目の前にいるソイツしか見ていなかった。
近づいてくる、街頭がソイツを照らす。
僕はソイツが照らされた瞬間、その腕をつかんだ。


「・・・・・・・・・・・・・」


『本来この“呪い天使”は44話で終わりにする予定でしたが、内容が書いているうちに変更して50話で終わりそうです。」






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