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天馬と魔道師と盗賊とその五
 母を亡くした三人はそれぞれの父により育てられる事となった。だがバーハラの戦いの後グランベルがシレジアに進攻し、シレジア王に即位していたレヴィンは全軍を以って迎え撃ったがシレジアの戦いでグランベルの圧倒的な物量の前に敗北した。その時近衛軍の将軍であったフェミナの父も戦死した。またシレジア城陥落時に王妃はレヴィンとフュリーを逃がす為あえてアルヴィスに立ち向かいそのファラフレイムの前に倒れた。この時ミーシャの父も市民を逃がす為最後まで戦い戦死している。
 王妃やミーシャの父達の死を賭した戦いによりかろうじて城を逃れたミーシャ達はトーヴェ城南の小さな村に潜んだ。近くの村にはシグルドの軍におりシレジアの戦いにも参加したノイッシュやホリン達もいた。孤児となったミーシャ達はフュリーに引き取られ彼女の養子となった。
 フュリーは心優しい女性でありミーシャ達を実子フィーと分け隔てなく育てた。ミーシャは四人の中で年長という事もあり女の子達のリーダー的な役割を担うようになった。やがてペガサスに乗る事を教えられ剣や槍の使い方も教わった。
 やがてフュリーが病で世を去りセティ、ホークが修業の為シレジアを後にし暫くは四人で暮らしていた。だがセリス達解放軍の存在を知り彼女達は意を決してシレジアを発ったのだ。
 途中アーサー達と会い道中を共にする事となった。今まで自分の娘のように慈しんでくれたフュリーももういない。だがこれからは自分の力で戦わなくてはならない。ミーシャはそう意を決したのだ。
 民家の上から斧を両手で振り上げ山賊が飛び降りて来る。そのままミーシャを一撃で打ち殺すつもりだ。
 ミーシャは冷静にそれを見ていた。そして天馬に地を蹴らせた。
「やらせない!」
 飛び上がると同時に剣を横に一閃させた。ミーシャが民家のすぐ上で天馬を山賊の方へ振り向かせた時山賊は胸から真っ二つにされ地面に落ちていった。
 二つの村の丁度中間点でスルーフは他のメンバーを待っていた。プリーストであり戦闘の魔法を使えない為そこで皆を待つと同時に手にするリブローの杖で離れた仲間の傷を癒す事が彼の仕事である。
 スルーフは双方の村を交互に心配すな顔で見ている。結構時間が経っているが誰も帰って来ないからである。だがそれは杞憂だった。
 二つの村から四騎の天馬がスルーフの方へ来る。そのうち三騎の後ろにはもう一人乗っている。全員無事だった。
「済まない、遅くなった」
 フィーの後ろに乗るアーサーが言った。
「急ぎましょう」
 スルーフはそれを責めるまでもなく言った。そして僧侶とは思えぬ程の身のこなしでミーシャのペガサスの後ろに飛び乗った。 
 四騎は全速力で三番目の村に向かった。向かった山賊の数が最も少なく一番遠かった為最後にしたのだ。やがて八人はある事に気付いた。
「何かあまり荒らされていないみたい」
 カリンが言った。
「確かに。もっとやられてると思ったけれどな」
 アミッドが顎に手を当て訝しげに言う。
「村の人達が頑張っているのかも知れないけれど山賊の連中がまた村の中にいるのは間違い無いと思うけどね」
 フィーが村を見据えつつ言った。アーサーも続く。
「どっちにしろここは」
「行くわよ」
 ミーシャが決めた。四騎はそのまま村の上へ進んだ。
 上から見て村は全く荒らされていなかった。見ると井戸の辺りで人が集まっている。剣撃の音と罵声が響いている。闘いが行われていた。
「行きましょう」
 四騎がそこへ行くとそこで何やら二つに分かれて争っていた。
 一方は彼女達が先程まで闘っていた山賊達の仲間のようである。それぞれ大きいが粗末な斧に古い皮鎧が身に着けている。既に十人程倒されている。それでもまだ十人位残っている。
 もう一方は僅か四人であった。三人が前に出て剣を持ち後ろにいる残る一人を護る様に陣を組んでいる。
 中央の一人は細身の男で黄色の上着に紫のズボンとブーツを身に着けている。茶色の髪は濡れた様な感じであり茶の瞳はやや切れ長でつりあがっており何処かずる賢そうな印象を与える。
 右側にいるのは片刃の刀を持つ男で白っぽいズボンと胸の開いた濃紫の上着の上に黒く丈の長い服を着ている。黒い髪と瞳を持ち切れの長い瞳は全体から漂う陰を更に強くしている。
 左側は白ズボンに緑の丈の長い上着を皮のベルトで止め、皮鎧を着けた小柄な少女である。やや長めの黒髪と鳶色の瞳は幼なさが残りながらも整ったその顔を気が強そうにしている。
 後ろにいるのは波がかった緑の髪と澄んだ緑の瞳をした美しい女性である。足まで隠れた黄緑の法衣に同じ位の丈の前が大きく開いた薄緑の服の上にフードの付いた白マントを羽織っている。手にした杖から彼女がプリーストであると解る。
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