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軍オタが魔法世界に転生したら、現代兵器で軍隊ハーレムを作っちゃいました!? 作者:明鏡シスイ

4章

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第65話 ツインドラゴン退治

 オレは箱の蓋を開け、スノー&クリスにそれぞれ差し出す。

「魔術液体金属の結婚腕輪(ブレスレット)じゃなくて、ちゃんとしたのを渡したくてこっそりお金を貯めて買ったんだ。2人に似合うのを選んだつもりなんだけど」
「リュートくん……ッ」
『お兄ちゃん……っ』

 オレ達は見つめ合いそれぞれ手を取り合う。

「若様、奥様、この緊急事態に良い雰囲気にならないでください」

 シアのツッコミにオレは咳払いをして話を続けた。

「で、だ。この腕輪(ブレスレット)にはそれぞれ魔石が1つずつ使われているんだ。これを使ってツインドラゴンを倒そうと思う」
「ですが、その小ささではあの硬い鱗にダメージを与えることは不可能だと思います……」

 シアが腕輪(ブレスレット)の魔石を見て申し訳なさそうに指摘する。
 小さい言うな! これでも1つ金貨3枚はしたんだぞ。
 ウォッシュトイレ1台分だぞ! 1台分!

 だが確かにシアの指摘通り魔石は小さい。
 小指の爪先に乗る大きさだ。

「いいんだよ。逆に小さくなきゃ困る。なぜならこの魔石で『炸裂焼夷弾(さくれつしょういだん)』を作るんだから」
「さくれつ、しょういだんですか?」

 シアが困惑した表情で尋ねてくる。
 炸裂焼夷弾――英語だと『explosive incendaiary』と呼ぶ。

 第2次世界大戦頃、ドイツで作られた5.56mmの弾薬(カートリッジ)だ。

 弾薬(カートリッジ)内部に小さな撃鉄用の金属片、雷管と黄燐(おうりん)の順番に入っている。この弾薬(カートリッジ)は着弾の慣性で撃鉄が雷管に衝突し爆発。それにより焼夷剤(黄燐)を飛び散らせる弾丸だ。

 つまり、体内に食い込み爆発する弾丸ということだ。

 今回は焼夷剤(黄燐)の役割を腕輪(ブレスレット)に使われている魔石で代用する。丁度、2つある。買っておいて本当によかった。

「これでM700P用の『7.62mm×51 炸裂魔石弾』を作る。クリス、こいつを奴の眼孔に撃ち込んで、内部から頭部を吹っ飛ばして欲しい」

 クリスの超絶技能ならきっとやってくれる!
 彼女は覚悟を決めた真剣な表情で頷いた。

『分かりました。頑張ってみます』

 クリスの言葉に皆が頷き、細かい作戦概要を詰めていく。
 作戦が決まると、オレはさっそく残った魔術液体金属で『7.62mm×51 炸裂魔石弾』を制作する。

 2つ作り終えた所で念のため保険としてナイフにある機能を付属させた。
 これも『7.62mm×51 炸裂魔石弾』のアイデアから借用した物だ。
 弾丸、ナイフもその場で作った試作品。
 実験する訳にもいかず、オレはただ上手く機能するよう祈った。



▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼



 夜明け――。

 オレ達が今居る場所は隠れていた洞窟からやや離れた場所だ。
 スノー、クリス、シアが切り立った崖の上に居る。
 木々を背に、正面は岩肌が覗く窪地だ。

 崖と言ってもそれほど高さがある訳ではない。

 ツインドラゴンに襲われた広場とは反対側になるだろう。
 あそこは広さ的には申し分無いが、荷物が散乱して邪魔になる。だから、オレ達はゴムゴ達に話を聞いてもっとも作戦成功率が高い立地を選んだ。

 クリスは愛銃のM700Pを抱き締め、雑念を断ち切るように目を閉じている。
 そんな彼女をスノー&シアは警護するように立っていた。

 オレは彼女達が見える位置の茂みに身を潜めている。いざという時、隙を突きツインドラゴンを襲撃するためだ。

『オォオォォォォォッォオオォオッォッォオォオ!!!』

「! 来た。来たよ、クリスちゃん!」

 太陽が半分ほど顔を出すと、スノー達の背後――背にしている木々を飛び越えツインドラゴンが姿を現す。
 片目を負傷している。
 昨日のドラゴンで間違いない。

 スノー達は木々を背にしているためツインドラゴンの襲撃方向は限定される。必然的に正面から突撃してくる形になるのだ。
 獲物が予定コースに乗った!

「奥様、準備を!」

 シアの言葉にクリスが喉を震わせる。
 彼女は集中力を高めるため、オレが教えた『Rifleman’s Creed《ライフルマンの誓い》』を歌い出す。

「これぞ我がライフル。世に多くの似たものあれど、これぞ我唯一のもの《This is my rifle. There are many like it, but this one is mine》」

「我がライフルこそ、我が親友、そして我が命。我は己の命を統べるかのようにそれを意のままとする《My rifle is my best friend. It is my life. I must master it as I must master my life》」

「我がライフルは我無くしては無意味。ライフルを持たぬ我も無意味。我は正しくライフルを解き放つべし。我は我を殺めんとする敵よりも正しくその身を射貫くべし。我は敵を撃つべし、敵が我を討つその前に《My rifle, without me, is useless. Without my rifle, I am useless. I must fire my rifle true. I must shoot straighter than my enemy who is trying to kill me. I must shoot him before he shoots me. I will……》」

「我がライフルと我は知る、この戦争にて大切なものは、我々が放った弾丸、我々が起こした爆発音、我々によって作られた煙、その何れでも無いことを。我々は理解する――それは数発の命中であるということを《My rifle and myself know that what counts in this war is not the rounds we fire, the noise of our burst, nor the smoke we make. We know that it is the hits that count. We will hit……》」

「我がライフルは我と同じく人である。それは我が命そのもの、そして我が兄弟。我は、その弱さ、その強さ、その部品、その付属品、その照準器、そして銃身――それら全てを知るであろう。我は我自身をそうするように、ライフルを清潔にし万全に保ち、我らは互いにその一部となる《My rifle is human, even as I, because it is my life. Thus, I will learn it as a brother. I will learn its weaknesses, its strength, its parts, its accessories, its sights and its barrel. I will keep my rifle clean and ready. We will become part of each other. We will》」

「神の前に、我は我が信仰を誓う。我がライフルそして我は我が家の守護者なり。我々は敵を打ち倒す者、我が命の救済者なり《Before God, I swear this creed. My rifle and I are the defenders of my family. We are the masters of our enemy. We are the saviors of my life》」

「そう、勝利は我々のもの。そして我々の勝利の後、敵なき世界が訪れるであろう《So be it, until victory is ours and there is no enemy》」

 イジメを受け、声を出すことが出来なくなったクリスだったが、最近は少しずつオレ達の前だけでは喋れるようになった。

 オレ達は無理強いせず、ゆっくりとリハビリさせるため彼女を急かさず、ミニ黒板も取り上げていなかった。

 その彼女が今、綺麗な声音でオレ達に『Rifleman’s Creed《ライフルマンの誓い》』を聞かせてくれる。

『オォオォォォォォッォオオォオッォッォオォオ!!!』

 ツインドラゴンはクリスの妖精のような声を掻き消すように雄叫びを上げる。
 そして目に傷を負っている首から炎のブレスを吐き出す!

 そのブレスに向けて――スノー&シアが両手を向け、声高に叫んだ!

「「我が呼び声にこたえよ氷雪の竜。氷河の世界を我の前に創り出せ! 永久凍土!」」

 氷、氷の複合魔術。
 スノー&シアが協力して、魔術を行使する。
 シアが氷系が不得意だったため、中級レベルに抑えている。だが、2人がかりのためなんとかドラゴンのブレスを防ぐことが出来た。
 もし2つの首同時だったら防ぐことは出来なかっただろう。

 しかしブレスと氷系魔術の正面衝突で大量の水蒸気が発生。
 ツインドラゴンの姿を隠してしまう。

「すぅー」

 だが、クリスは構わず息を吸い。

「はぁー」

 吐く。
 オフ・ハンドの立射で水蒸気へ向けてM700Pの銃口を向ける。
 刹那――水蒸気を嫌いツインドラゴンが翼をはためかせる。その1動作で、水蒸気が吹き飛ばされる。だが、相手の動きも停止してしまう。

 闇夜に霜の降る如く――クリスの指が引鉄(トリガー)が絞られる。

 ダンッ!

 初速約838m/秒、音速の約2倍以上の弾丸が、ブレスを吐いていないツインドラゴンの眼孔へと吸い込まれるように着弾する。

『オォオォォォォォッォオオォオッォッォオォオ!!!』

 内部爆発!
 目に傷を負っていないツインドラゴンの頭部1つが内部から爆殺され目、鼻、口から大量の血液を流す。
 痛みに耐えきれず、ドラゴンは地上に落下し激しく大地に体を打ち付ける。

 クリスがボルトを前後して、空薬莢を輩出する。

 すぐさまスノーが追加の魔術を行う。

「集え氷精、舞い踊り禍津物を地に沈めよ! 氷停結界(ひょうていけっかい)!」

 水、氷の複合魔術による拘束。
 地に落ちたツインドラゴンの腕、翼、尻尾、足、首を氷りの塊がまとわり付き拘束していく。
 これでスノーはかなりの魔力を消費する。
 額から汗を浮かべ、肩で息をするほどだ。

 だが、敵はすでに1度ブレスを吐いている。
 連続使用は不可。
 さらに氷の拘束で動きを止めている。

 オレ達の勝利は確定だ!

「く、クリスちゃん、あ、あとは宜しく!」

 汗びっしょりで息切れするスノーの掛け声にクリスが力強く頷く。
 クリスは再び、狙いを定め引鉄(トリガー)を絞る。

『オォオォォォォォッォオオォオッォッォオォオ!!!』
「「「!?」」」

 予想外――ツインドラゴンが連続でブレスを吐き出す。

「奥様方! 危ない!」

 シアはブレスを避けるため疲労したスノーと射撃に集中していたクリスを抱えて、肉体強化術で補助した体で崖を飛び降りる。

 弾丸はブレスに巻き込まれ弾道がぶれ、見当違いの場所に着弾。
 爆発する。

『オォオォォォォォッォオオォオッォッォオォオ!!!』

 ツインドラゴンが四肢に力を込め、拘束から抜け出そうとする。
 ドラゴンの動きを止めている氷塊に罅が走り、残り数秒も持たないだろう。

「やらせるかよ!」

 オレは拘束から抜け出される前に、ツインドラゴンに止めを刺すため茂みから飛び出す。
 肉体強化術で身体を補助!
 全魔力を費やし、1秒でも速くドラゴンに迫ろうとする。

 オレは手にしていたナイフを振り翳し、躍りかかる。

「もらった!」
『オォオォォォォォッォオオォオッォッォオォオ!!!』

 1歩遅く、ツインドラゴンが氷塊から抜け出し、目を狙って振り上げたナイフを額で弾く。
 オレは衝撃に耐えきれず、ナイフを手放してしまう。

 クルクルと保険に作っておいた最後の切り札が空を舞う。

(ちくしょう! 最後の最後で失敗するなんて!)

 ナイフを手放したことを悔やんでいると、オレを飛び越すように影が通り過ぎる。
 シアだ!

 彼女は空中で弾かれたナイフをキャッチ!
 そのままツインドラゴンの眼孔へナイフを突き立てる。

 だが、ただナイフを目に刺しても大したダメージにはならない。
 ナイフだけに刃は短いし、毒を塗っている訳でもない。
 だが、本番はここからだ!

「シア! そのままナイフのスイッチを入れろ!」
「了解、若様!」

 事前に保険として皆にも教えていたナイフの扱い方を思い出し、シアがスイッチを入れる。
『パシュッ!』とややマヌケな吹き抜け音が響き、ナイフの柄に溜め込まれた魔力で作られたガスが噴射され、頭部内部をズタズタに引き裂く。
 ツインドラゴンは頭部を内側から破壊されて、血液を噴き出し完全に絶命してしまう。

 オレ達はドラゴンが完全に沈黙したことを認識すると、全員その場にへたり込む。
 魔力の使い過ぎと疲労でへとへとだ。

 なんとか立ち上がり、皆、シアの側に歩み寄る。

「ありがとうシア。オレのミスをフォローしてくれて。本当に助かったよ」
「本当だよ。最後、リュートくんがナイフを弾かれた時、冷や汗かいちゃったよ」
『私もです』
「褒められることは何もしてないよ。若様達の奴隷として当然のことをしたまでだし。それにしてもツインドラゴンを一撃で仕留めるなんて、これ凄いナイフだよ」

 彼女がドラゴンの頭部から引き抜いたナイフをしげしげと見つめる。

 シアが手にしているのはオレが残り少ない魔術液体金属で作った『wasp knife』――直訳すると『スズメバチナイフ』と呼ばれる物だ。

 スズメバチの一刺しのように、ナイフの手持ち部分にセットしてあるガス(今回は魔術で代用した高圧ガス)がスイッチを入れると刃から勢いよく噴射する。結果、内部の臓器などは、高圧ガスの勢いによって粉々に粉砕されてしまうという極悪なナイフだ。

 昔、スイカに刺した『wasp knife』のスイッチを入れたら、内部から吹き飛ぶ動画を観たことがある。

 元々、水中でサメと戦う時のために作られたナイフだ。現在は熊と戦うハンターや航空パイロットにしか売買を許可されていない。

 念のために保険として作っておいて本当に良かった。

 シアがナイフを気に入ったのか、しきりに褒める。

「ボクはいくつもナイフを使ってきたけど、これは本当に良いナイフだよ」
「そんなに気に入ったなら、シアにそのナイフをあげるよ」
「いいの、若様?」
「もちろん! なんて言ったって、今回一番活躍したのはシアなんだから」

 実際、一番活躍したのはクリスだが、オレ的にはシアにMVPを上げたい。
 魔石のアイデアもシアの発言から思いついたし、さらにはスノー&クリスをブレスから救い、最後にはオレのミスまでフォローしてくれた。

 彼女はオレの言葉を聞くと、初めて柔らかく微笑みを浮かべる。

「ありがとうございます、若様。このナイフは大切に使わせて頂きますね」

 こうして無事、オレ達はツインドラゴンの危機を脱することが出来た。
 そしてオレ達は結果を知りたくてヤキモキしているだろう、ゴムゴ達の元へと戻った。


ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!
明日、1月20日、21時更新予定です。

ツインドラゴンを倒す考察を色々書いていただき、個人的には大変嬉しかったです。皆さんの予想は当たったでしょうか?
今後も軍オタを宜しくお願いします。
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