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軍オタが魔法世界に転生したら、現代兵器で軍隊ハーレムを作っちゃいました!? 作者:明鏡シスイ

エピローグ

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第431話 結婚式パレードの準備と……

 魔術師S級、獣王武神(じゅうおうぶしん)、タイガ・フウーが『邪神』ことアルさんの封印方法探しに旅立つ。

 結婚式準備も慌ただしくなり、気付けば1ヶ月後に迫っていた。

 今日は結婚式準備の一つとして、ココリ街外の外壁視察に来ている。
 なぜココリ街の外。しかも外壁周りを視察に来たかというと……目の前に難民キャンプのようにテントが建てられていた。

 通り道である街道を避けたスペースに、大量のテントが建てられている。
 オレは目の前の現実が受け止めきれず、目頭を押さえた。

「どうしてこうなった……」
「あら、当然の帰結かと。魔王を倒した勇者、世界を救った英雄達が結婚式をおこなうと知ったら見てみたいのが人情ではありませんか」

 オレの独り言に、下半身が蛇で上半身が人のラミア族、ミューア・ヘッドが返答する。

 今回、外壁周りのテントスペースはミューアの発案だ。
 オレ達の結婚式はすぐに人から人へと広がった。

 PEACEMAKER(ピース・メーカー)の外交を束ねるミューアと付き合いがある者達は彼女を通して、結婚式出席の願いを出してきた。
 彼らは権力、財力を持つ富裕層のためすぐココリ街の宿屋が押さえる。宿屋から結婚式パレードを見物するのだ。
 結果、大小の宿屋が全て押さえられる。

 軍団(レギオン)大々祭(だいだいさい)前に、『魔王を倒した勇者』として大勢の人々が街へと集まった。その経験もあり、宿屋への受け入れ態勢はすぐに整う。

 だが、この程度では終わらなかった。

 次は富裕層ではない一般的な人々が噂を聞きつけ集まって来ているらしい。
 その数、数万人!
 これは諜報部隊のトップであるミューアによる報告である。

 つまり結婚式前に、数万人の人々が確実にココリ街へと集まるということだ。

 全員を街に入れるのは物理的に不可能である。
 ならばと外壁周りにキャンプを張り寝床の準備をおこなっていた。

「見る限り、テントは準備されているようだけど他は終わっているのか?」
「いいえ、まだまだです。飲料水確保、煮炊き用の竈、排泄物処理施設、寝泊まりするテントもまだ数が足りないので拡張する予定ですね」

 唯一、食料や消耗品はココリ街が中継都市のため、事前に増量依頼しておけば時間はかかるが増えた荷物は届き備蓄することができている。
 しかし他はまだまだ足りない。
 オレは気付いた点について質問をする。

「まだ足りないのか……それだけ人が集まっても物理的に街へ入れないから、結婚式を見ることは不可能だろう。どうするつもりだ?」
「はい、なので私からクリスちゃん達に提案して、結婚式後、街の外へ出てもらい外壁を一周していただこうと」

 街だけではなく、後日、ココリ街外壁を一周して皆に見てもらうらしい。
 ミューア曰く『大勢の方に祝われてクリスちゃんは幸せ者ですね。幼馴染みとして嬉しい限りです』と言い出す。
 この態度だと彼女の意見は通ってしまったようだ。

 どんどん規模が大きくなっていくのを実感し、今度は頭痛から額を押さえた。

 気持ちを建て直し、質問を続ける。

「これだけの規模を作るのに人手は足りているのか?」
「はい、問題ありません。冒険者斡旋組合(ギルド)へクエストとして出し、ココリ街周辺の街からも冒険者が集まっていますので」

 クエスト達成金額は仕事として見るなら普通の額なのだが、大人気で人手はむしろ過剰気味だとか。
 なぜかというと――世界を救った軍団、PEACEMAKER(ピース・メーカー)依頼のクエストということで、箔を付けるために皆、争って受注しているのだとか。

 再度、額を押さえそうになる。

「人手は足りているのですが……一番の問題は警備ですね」

 建設作業自体は冒険者を雇えば問題無いが、人々が集まった後の警備を任せる訳にはいかない。
 警備を任せられるほど信頼して雇っている訳ではないからだ。
 彼らに警備を任せてPEACEMAKER(ピース・メーカー)の名前を笠に着て犯罪などされたら、目も当てられない。

 だが街中、外壁周辺共に警備無しという訳にもいかないのが現実だ。

 特に外壁周辺の場合、魔物に襲われる可能性がある。
 周辺は定期的に魔物狩りをされているので可能性は低いが、あくまで低いだけだ。

「とはいえ数万人規模の人々を警備できるほど人材の余裕はないぞ?」

 新・純潔乙女騎士団団員達は、結婚式パレードに参加するため行進練習の真っ最中である。
 しかも地味な軍服ではなく、お洒落&可愛い甲冑を突貫工事で作っているのだ。

 なぜそんなことになっているかというと――メイヤが地味な軍服で結婚式パレードへ参加させるのを躊躇っていたからだ。

 なのでついオレはゲームや漫画、アニメに登場しそうな全身鎧ではなくミニスカート甲冑服を提案してしまったのだ。
 そのデザインをメイヤや団員達が気に入り、メイヤの私財を投入し製作している。

 今更、皆が気に入っているミニスカート甲冑服を着ず、いつもの戦闘服姿で警備をして欲しいと頼むのは難しい。

 ミューア自身、そのことを知っているため、微笑みを浮かべ頷く。

「もちろん存じています。なので団長には始原(01)の団員達を警備に使う許可を頂きたいのです」

 始原(01)とは、魔王からこの世界を救った5種族勇者達が冒険者斡旋組合(ギルド)を設立。軍団(レギオン)というシステムが決まり、初めて出来たのが始原(01)だ。
 もちろん始原(01)軍団(レギオン)ランキングは、最高位の『神鉄(オリハルコン)』である。

 以前、色々あって始原(01)団長である魔術師S級、『万軍(ばんぐん)』のアルトリウス・アーガーと敵対。
 PEACEMAKER(ピース・メーカー)始原(01)を倒した。

 その際、アルトリウス・アーガーが変死。
 以後、始原(01)の運営は暫定団長の竜人種族、魔術師Aマイナス級、テン・ロンとミューアに任せていた。

 始原(01)は、現在でも軍団(レギオン)ランキングは最高位の『神鉄(オリハルコン)』である。
 始原(01)入団希望者は未だに多く、警備を担当する頭数は問題無いだろう。

 しかし、懸念はある。

始原(01)に結婚式パレードの警備を任せても大丈夫なのか? 彼らのトップを倒し、組織を半壊状態にしたのはPEACEMAKER(ピース・メーカー)なんだぞ?」

 当然の疑問にミューアは満面の笑顔で答える。

「大丈夫です。暫定団長のテン・ロンさんや他団員さん達とはちゃんと『お話』していますから。結婚式パレードの邪魔やPEACEMAKER(ピース・メーカー)の名誉を地に貶めるようなマネは決してしませんわ。私が保証します」

 彼女の態度から、始原(01)という軍団そのものがミューアに逆らえない状態になっているようだ。

 ミューアさんは彼らと一体どんな『お話』をしたんだろうか……。

 と、とりあえず彼女の言葉が本当なら警備は始原(01)に一任しても問題無いだろう。
 許可を出すと、ミューアが笑顔で一礼する。

 そして彼女は顔を上げると次の報告へと移る。
 ミューアが距離を詰めてくる。
 思わず体を強ばらせてしまった。
 彼女はオレの態度をどこか面白そうに眺め口元を隠しながら、声量を落とし報告する。

「次はララさんの件です。赤ん坊が産まれる時期が近いそうです。恐らくこのまま順調にいけば結婚式パレードが終わった直後か、数日後ぐらいかと」

 ミューアが近付き、声量を落とした理由を理解した。
 世界から魔力を奪い、滅ぼしかけたランスの血を引く赤ん坊の話題。
 他者に知られていいことなど何一つ無い。

 一応、周囲を確認する。
 見晴らしの良い野外でオレ達の声を聞いたり、口元を読もうとしている輩は見あたらない。
 とはいえ現在も外壁周辺で作業している者達は多数居る。
 聞かれる可能性は0ではないため、注意するべきだろう。

 オレも彼女に習って口元を隠しつつ、声量を落とす。

「そうか、もうすぐ産まれるのか……。だが、どうしてミューアはそんな極秘情報を知っているんだ?」

 ララは現在ハイエルフ王国エノールの地下深い牢屋に入れられている。
 彼女の現状を知る者は極わずかなはずだ。

 ミューアが優秀なのは理解しているが、どうして見てきたように報告できるんだ?
 彼女の情報収集能力に頼もしさと畏怖を込めた視線をつい向けてしまう。

 ミューアは楽しげな微笑みを浮かべてネタ晴らしをしてくる。

「難しいことではありませんよ。今回はあちら側から積極的に現状の報告をしてきただけですから」
「エノールが? それって……」
「あちらはララさんと産まれてくる赤ん坊についての選択を完全にPEACEMAKER(ピース・メーカー)へ委ねたのです」

 台詞の意図を悟り、ミューアが答える。

 ララのお腹にランスの赤ん坊が居ると分かった後、どうするかでハイエルフ王国エノールは上から下まで揉めに揉めた。
 話し合いの途中で、ララ派閥が無理矢理母子を連れ出そうとして失敗。
 一時はララ処刑派が有利になってしまう。

 嫁であるリースの願われ、ララ&赤ん坊の後ろ盾にPEACEMAKER(ピース・メーカー)が直々についたことで死刑派を押さえることに成功した。

 ハイエルフ側はどうもこれ幸いに、面倒なララ&赤ん坊の扱いを全てPEACEMAKER(ピース・メーカー)に押しつけるつもりらしい。

 誰だって面倒事には関わりたくないし、責任は取りたくない。産まれてくる赤ん坊を殺す決断を積極的にしたくないだろう。
 天神化したランスに勝利し、ララを捕虜にしたPEACEMAKER(ピース・メーカー)がララ&赤ん坊の後ろ盾に付いたのを切っ掛けに、それら判断や責任を全てこちらに押しつけたのだ。

 ミューア経由で赤ん坊がそろそろ産まれる情報を伝えてきたのも、言外に念押しして責任の所在をはっきりさせたいからなのだろう。

 嫁であるリースの頼みとはいえ、重い選択を預けられたものだ。

 ミューアはオレの目を覗き込みながら問う。

「ララさんと赤ん坊の扱いはいかがしますか? お二人とも存在し無かったことにしますか? それともどちらか一人だけ無かったことにしますか? もしくは産まれた直後、すぐに母親から引き離しますか? 幸い、団長は理想的な孤児院に宛があるので預ける先に迷う必要はありませんね」

「…………」

 彼女の問いにオレは沈黙してしまう。
 ミューアは答えをじっと待つ。
 彼女はオレがどんな答えを出すのか、深淵を覗くような目で見続けてくる。

「……とりあえず現状維持だ。今はとにかく母子の安全を最優先で、無事に産まれた後、彼女達の扱いは考えるよ」
「分かりました。では、エノールにララさん達の安全を第一に考え、赤ん坊が無事に産まれる準備をするように伝えておきますね。多少の資金は使っても?」

 赤ん坊が無事に産まれるための準備をするのも無料(タダ)じゃない。
 清潔な部屋、各種器具や設備、出産を手伝う産婆など。

 後ろ盾についたのだから、口だけではなく態度で示そうというのだ。

 多少どころか制限無しで出していいと返答した。

 ミューアは今日、一番の笑顔を零す。

「了解致しました。PEACEMAKER(ピース・メーカー)外交・情報担当のミューア・ヘッドの名に懸けて最上の出産の設備、人材準備を致します」

 話は終わったと、彼女は一礼し本部へと戻って行く。
 早速、行動に移すつもりらしい。

 オレは暫し、その場に留まりララと赤ん坊の将来について考え込んでしまった。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!
1月26日、21時更新予定です!

軍オタも残り5話! ――最後は流の関係上連続更新になると思うので実質は残り3回になるのかな?

とか言って、明鏡シスイのことだから数話増えそうですが……。

その時は笑顔で流してくれると嬉しいです(笑)

(1~5巻購入特典SSは15年8月20日の活動報告を、2巻なろう特典SSは14年10月18日の活動報告、3巻なろう特典SSは15年4月18日の本編をご参照下さい。)
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