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軍オタが魔法世界に転生したら、現代兵器で軍隊ハーレムを作っちゃいました!? 作者:明鏡シスイ

23章

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連続更新SS ルナ・エノール・メメア第3王女の発明品

軍オタ8巻発売(20日発売)を記念して、連続更新第一弾です! 18、19、20日は特別SSをアップ、本編は21日にアップする予定です。
「ふっふっふっ……やっぱりルナちゃんは、天才だよぉ」

 新・純潔乙女騎士団本部、グラウンド隅には大型兵器を開発・研究をしている第2研究所がある。
 その研究所主と化し一部私物を持ち込んでいる妖精種族ハイエルフ族、ルナ・エノール・メメア第3王女が、マッドサイエンティストのような薄笑いを漏らしていた。

 大型兵器開発・研究をしているルナは、一日の殆どを第2研究所で過ごしている。
 そのためか研究所の隅には、彼女の私物がやや多めに積み上げられていた。

 ルナは自画自賛しながら、目の前にある自身が開発した『モノ』を前に顎に指を当て考え込む。

「さて、まず最初に誰に見せてあげようかな……クリスちゃん、ココノンは使う人だから当然として、改善点のチェックもしてもらいたいからリューとんも確定かな」

 悪戯っぽい笑みを浮かべつつ、彼女は早速、声をかけるべき相手の所へと向かったのだった。



 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼



 昼休み、オレことリュート・ガンスミスが食事を終えると、ルナが新・純潔乙女騎士団本部食堂へと顔を出す。
 オレ、クリス、ココノを前に『見せたいモノがあるの!』とテンション高目に声をかけてきて、場所を移動させられた。

 向かった場所はグラウンド端にある大型兵器を開発・研究している第2研究所だ。

「それでルナ、リュートさん達に見せたいモノってなんですか? 危ない物じゃないでしょうね」

 ルナの姉であるリース・ガンスミス、護衛メイドのシアは、呼ばれてもいないのに同行していた。
 ルナはあからさまに不満気な表情をする。

「なんで呼んでないのにお姉ちゃんとシアが居るのぉ」
「居るに決まってるでしょ。ルナが変なことをしないか確認するのは、保護者としての当然の勤めです」
「自分は姫様の護衛メイドなので」

 リースは保護者として、シアは護衛メイドとして居るのだと宣言した。
 ルナは最初こそ不満げな様子だったが、すぐに気持ちを切り替える。

「まぁ、別にいいけど。折角だからお姉ちゃんにも見せてあげるよ。ルナの大発明品を」
『大発明品ですか?』
「なんだか凄そうです」

 クリス&ココノは、姉妹のやりとりに比べてのんびりとした感想を漏らす。
 しかし『大発明品』ときたか。
 ルナとはメイヤも交えて大型兵器の開発&研究はしていたが、彼女が独自に何かを作り出すのはこれが初めてのことだ。

 いったい、ルナがどんな物を作ったのか個人的にも興味がある。

 皆で第2研究所の扉を潜り中へと入った。
 研究所は機密情報秘匿のため窓が無い。
 そのため魔術光を付けないと中は暗く、見辛いのだ。
 魔術光をつけると、研究所内部が隅々まで照らされた。

 ハンヴィー(擬き)、8.8cm対空砲(8.8 Flak)、レシプロ機(擬き)、他にも各種砲弾や燃料気化爆弾(FAEB)、珍しい物だと山を破壊する時に使用したバンカーバスターの複製品が置いてある。

 バンカーバスターは、今後旦那様無しでも使用できないか研究中の兵器だ。
 それら兵器の間を縫って、研究所の隅へと移動する。
 奥にはルナの私物がわんさかある。
 昨日、見たときより増えている気がするのだが……。

「もうルナったら! こんなに物を出しっぱなしにして。ちゃんと片づけないと駄目じゃない」
「出しっぱなしにしてないし。これで整理されてるんだよ。これは研究に必要な配置なんだから。どこになにがあるか全部覚えてるしね!」

 姉であるリースの叱責に、ルナは物を片づけない子供のような言い訳をする。
 曰く『自分的に分かりやすく物を配置しているだけ』云々。
 オレも前世、子供の頃に似たような言い訳をして親に怒られたな……。

 しかしリースは兵器の研究・開発がどういうモノか知らないため、『こういう配置だ』と言われたら『そういうものなの?』と微妙に納得する。
 騙され易すぎだろう……。
 丸め込んだ実姉を放置して、ルナは布が被せられた『大発明品』とやらの前へと移動する。

 彼女は布を掴むと、勢いよく外す。

「これがルナの大発明品、補助オートバイだよ! 名付け『ルナちゃんスペシャルオートバイ』!」

 ルナは姉と比べてほぼ板状態の胸を反らし、得意気な顔で自身が独自開発した『補助オートバイ』をお披露目する。

『補助オートバイ』は、ココノが使っているバイクの側面に流線型の一人が座れる座席が収まった箱と車輪一つが付けられた代物だった。
 つまり、前世地球で言うところの『サイドカー』である。

 オートバイは二輪で動く乗り物だ。
 そのオートバイの横に人が乗れる箱と側面にタイヤを付けた乗り物を、『サイドカー』と呼ぶ。

 どうやらルナは、サイドカーを知らずに、独自のアイデアで作り出したらしい。

 バイクは体の弱いココノが、一人で気軽に移動しやすいように作り出した乗り物だ。
 故に真っ先に所有者であるココノが反応する。

「これってわたしが使っているバイクの横に箱が付いてますが、もしかしてここに人を乗せられるのですか?」
「そうだよ! ココノンとクリスちゃんが二人でバイクに乗っているのを見て思いついたんだよ。こっちの方が後ろに乗って撃つより、安定してるし乗ってて楽でしょ?」
『確かに、こっちならちゃんと一人で座れて移動は楽そうです。それに後ろに座って撃つより安定しそうですね』
「でしょ、でしょ!」

 ルナは主に使用する二人に褒められ、心底嬉しいのかテンション高めに声をあげた。
 微笑ましい光景である。

 ……しかしサイドカーか。

 胸中でつい考え込んでしまう。
 オレの反応に気付かず、ルナは上機嫌でさらに『ルナちゃんスペシャルオートバイ』の利点を説明し始める。

「人だけじゃないよ! 例えば補助箱に銃器や弾薬、食料や魔石――とにかく荷物を置くこともできるし、バイクは二輪だからすぐに倒れるけど『ルナちゃんスペシャルオートバイ』なら、補助箱が付いているから三輪になって安定して、誰でも簡単に乗ることができるの。後、補助箱は魔術液体金属に限界ギリギリまで魔力を注いで作っているから、凄く丈夫で盾代わりにもなるんだよ!」

『おおぉ!』とクリス&ココノが感嘆の声をあげて手を叩く。
 ますますルナは得意気な表情で胸を反らす。

「それから、これなら後ろにも人を乗せれば最大三人で移動できるでしょ?」
「……確かにそれは素晴らしい利点ですね!」
『三人も乗せられるなんて凄いよ!』

 二人はルナの心情を察したのか、笑顔で同意した。
 一方、実姉はというと……。

「三人ですか? でもハンヴィーならもっと人を乗せられますよね? あまり注目するほどの利点ではないように感じるのですが」
「はい、リース、ちょっとお口を閉じようね」
「姫様、そろそろ食後のお茶の時間かと。外に準備させますので、そちらへ移動願いします」
「え? 私は別に食後に毎回お茶を飲む習慣は持っていないのだけど」

 シアは空気を読み、主であるリースの背中を押しながら第2研究所の外へと連れ出す。
 やや世間知らずなところがあるのは、リースの魅力の一つだと思う。そうオレが考えてしまうのは惚れた弱みか、恋は盲目なのか。

 一方、リースの疑問はルナ達には届いていなかったらしく、仲良く『いつ、三人で補助バイクに乗って出かける?』と話し合っていた。
 なんとも和む光景である。

 オレは背が近い少女達が話しているのを眺めていると、ルナから質問が飛んできた。

「リューとん、『ルナちゃんスペシャルオートバイ』に三人で乗って街の外に出たいんだけど今から行ってもいい?」
「今からか? サイドカ……じゃなくて、補助バイクの試運転は済んでいるのか?」
「うっ、えっと……まだ、かな?」

 ルナの三人で出かけたい気持ちは分からなくはないが、さすがに止める。

「だったら試運転をして問題が無いかチェックしてからだな。安全が確認されていないのに乗って、街の外で怪我したら洒落にならないからな。確認が終わったら、三人の休みを調整して一日気兼ねなく走る方がいいと思うぞ?」
「うぅ……分かったよ。リューとんが言うならそうする」

 一緒に出かける二人の夫で、研究・開発の上司であるオレの一言にルナも納得し、素直に応じる。
 試運転無しで出かけてクリス&ココノに怪我をさせては不味いと思っただけかもしれないが。

 善は急げということで、ルナは第2研究所から補助バイクを押しだし試運転を開始する。
 リースを遠ざけるため臨時開催されたお茶会をしながら、オレ達は試運転の様子を昼休みいっぱい使って眺めることになった。



 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼



 補助バイク――『ルナちゃんスペシャルオートバイ』の微調整を三日ほどおこなった。
 三人の休みを整え、街の外へ出かけられるようになるのにさらに数日を要した。
 出かける当日は快晴で、ツーリング、あらためて野外での『ルナちゃんスペシャルオートバイ』の試運転にはちょうどいい陽気である。

 ルナはバイクを運転するココノの腰に捕まりながら見送るオレ、リース、シアへと顔を向けた。

「それじゃ行ってくるね! お姉ちゃんは、お土産とかは無いから期待しないでね」
「期待なんてしてません! ルナ、とにかくクリスさんやココノさんの言うことをちゃんと聞いて、危ないことをして迷惑なんてかけないように」
「リースお姉ちゃんはルナのこと心配しすぎだよ。ルナがそんなことする訳ないじゃん」
「どの口が言うのですか……」

 ルナはケラケラと笑い、リースが妹の態度に頭を抱える。
 クリスはバイク側面の箱部分に座っている。
 彼女の手にはSVD(ドラグノフ狙撃銃)が握られ、足下には弾薬、膝にはお昼ご飯のバスケット。箱側面にはパンツァーファウスト、後部には対戦車地雷が外れないようセットされている。

 ドラゴンや他高レベルモンスターがこの近辺に出るとは思わないが、一応の用心だ。

「クリス、ココノも気を付けて。何かあったら無理せず戻ってくるんだぞ」
『はい、ありがとうございます、リュートお兄ちゃん!』
「クリスちゃん、ルナちゃんの安全はお任せください!」

 嫁二人は元気よく返事をする。
 二人とも今日の遠出を楽しみにしていたようだ。

 話を終えると『ルナちゃんスペシャルオートバイ』が街道を走り出す。
 遠ざかる三人の背中を見送ると、リースが心配そうに呟く。

「はぁ、三人で遠出したいがためにバイクまで改造して……クリスさん達にご迷惑をかけないといいんですが……」
「あれ? ルナが『ルナちゃんスペシャルオートバイ』を作った理由に気付いていたのか」
「はい、シアから教えて頂きました」

 ルナが『ルナちゃんスペシャルオートバイ』――サイドカーを作った理由は、バイクに乗るクリスとココノが羨ましかったのだろう。
 一人で乗っても面白くない。
 クリス、ココノの片方でもだ。

 だから、彼女は3人で乗れるサイドカーを思いつき製作したのだろう。

「でも、リュートさんは補助バイク――サイドカーに反対でしたよね?」
「え? どうして?」
「初めてサイドカーを見た時、ここに困ったような皺が寄ってましたから」

「反対っていうより、デメリットが多いから指摘しようかどうか悩んだんだよ。でもよく分かったね」
「リュートさんの奥さんですから」

 妹の心情はすぐに察しなかったが、オレの胸中は手に取るように分かったらしい。
 さすがオレの奥さんだ。
 思わず微苦笑してしまう。
 リースも微笑みを漏らす。

「それで、サイドカーのデメリットとはなんですか?」

 一通り笑い合うと、リースが尋ねてくる。

「デメリットはリースも指摘した通り、人員の輸送、荷物量、安定性、防御能力も結局はハンヴィーの方が上なんだよね。それにバイクをサイドカーにすると、最大の利点である悪路への対応能力を奪うから作ろうとは考えていなかったんだよ」
「なるほど……確かにデメリットが多いですね」

 オレの説明にリースが納得し何度も頷く。
 現に前世、21世紀の地球の軍隊でサイドカーを採用しているところは確かなかった筈である。
 とはいえあんなに嬉しそうに発明品を自慢するルナの妨害などできなかった。
 何より彼女の心情を考えると、口を挟むのははばかれた。

「とりあえず大切な嫁の義妹のためにも、戻ったら予備のオートバイでも製作するか。状況に応じて使い分けるようにすれば問題はないだろう」
「ふふふ、ありがとうございます、リュートさん。私はいい旦那様を持ちました」

 口うるさく注意することが多いが、リースはルナを可愛がっている。
 そんな妹のためオレが動こうとしているのが嬉しいようで、彼女は幸せそうに笑いながら手を握り締めてくる。
 オレも笑顔を零しながら、リースの小さく温かな手を握り返す。

 後ろで静かに見守っている護衛メイドのシアは、無表情だが『往来の前でいちゃつくのはいかがなものでしょう』という雰囲気を醸しだし、さらには通り過ぎる人々が砂糖を吐きそうな顔をしていたが気にしない。

 オレは愛しい嫁のためにも、休日返上で新規バイク製作へと取り掛かるため、リースと手を繋ぎながら新・純潔乙女騎士団本部、第2研究所へと向かったのだった。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!
8月19日、21時更新予定です!

軍オタ8巻&コミックス2巻発売まで、後2日!
今日から連続更新を開催します! なのでどうぞ皆様、お付き合い頂ければ幸いです。

また軍オタ8巻&コミックス2巻の献本を頂いたので、帯付きの表紙を撮影したものを活動報告にアップしました。
各店舗特典や購入者特典SS、なろう特典SSなどの詳細も書いてありますのでこちらも是非チェックしてください!

(1~5巻購入特典SSは15年8月20日の活動報告を、2巻なろう特典SSは14年10月18日の活動報告、3巻なろう特典SSは15年4月18日の本編をご参照下さい。)

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