挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
軍オタが魔法世界に転生したら、現代兵器で軍隊ハーレムを作っちゃいました!? 作者:明鏡シスイ

22章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

375/482

第357話 決断

「――ッぅ!?」

 オレが起き上がったのは自室のベッド――ではなく、医務室のベッドだった。

「なんで……オレは医務室のベッドにいるんだ?」

 疑問に思い考え込むとすぐに思い出す。
 メイヤへ贈る結婚腕輪を製作しようとしたら、地震が起き、その後、魂の一部を無理矢理むしり取られるような激痛に襲われたのだ。
 その激痛に耐えきれず、意識を失ったらしい。

「でもなんで医務室なんだ? 普通は寝室のベッドに寝かせるんじゃ……」
「団長!? お目覚めになったんですね!」

 様子を見に来たらしい団員の一人が嬉しそうに声をあげる。
 オレはベッドか上半身を起こし、軽く腕を上げた。

「おはよう……で、いいのか? すまないが倒れた後の話を聞かせてくれ」
「了解致しました」

 団員が説明をしてくれる。

 あの地震があった後、すぐにオレと同じように倒れる者達が続出した。
 PEACEMAKER(ピース・メーカー)や新・純潔乙女騎士団のメンバーだけではない。
 ココリ街の住人達もバタバタと倒れた。

 オレが倒れて、すでに3日ほどたっているらしい。
 現在は倒れてから3日後の昼過ぎ。

 倒れた者の共通はすぐに分かった。
『魔力』の有無だ。

 少しでも魔術を行使できる者は倒れ気絶し、無い者は体調が悪くなることもなく普通に生活をしている。
 オレが医務室で寝かされているのも、スノー達も倒れてしまったせいだ。
 広いベッドは看病するのに向いていない。
 中央に寝かせた人物の世話が大変だ。

 そのため唯一の男性であるオレを医務室のベッドへと寝かせたらしい。
 団員は謝罪を口にしたが、オレはすぐさま止めた。
 彼女達の判断に問題はない。
 むしろ良い判断といえる。
 オレ自身が同じ状況に陥ったら、彼女たち同様に判断をくだしていただろう。

 ちなみにスノー達の様子を尋ねると、倒れた時は苦しげだったが、以後は穏やかに眠っているらしい。
 そのあたりも、倒れた者達が共通しているところだとか。

「後……かなりよくない情報がありまして……」
「その表情からすると本気で悪い情報なんだろうな……」

 オレは覚悟を決めて耳を傾ける。
 団員曰く――倒れたが目を覚ました者達がすでにいる。
 彼、彼女達曰く、魔術が使えなくなっているらしい。

 その報告にオレ自身驚き、魔術を使ってみる。
 魔術師ではないが、肉体強化術などで一部肉体を補助するぐらいはできる。
 しかし、使おうとするがまったく補助されない。

「えぇッ!? う、嘘だろ!」

 オレはさらに何度も繰り返すが結果は変わらなかった。
 孤児院時代、魔力の操作練習をした時のことを思い出し、動かそうとするが――動かすどころか、魔力を感じることすらできない。
 どうやら本当に魔力が消失したらしい。

「本当に使えないなんて……ちなみに目を覚ました魔力持ち達が、再び魔術を使えるようになったっていう報告はないか?」
「いいえ、ありません。殆ど者達が最近、目覚めたばかりなので、そういった報告はありません」
「だとしたら、2、3日経てば魔力が元通りになる可能性もあるか……」

 しかし自分で口にしておいて何だが――このままでは2、3日どころか、10年経っても『魔力が戻らない』と本能的が告げる。
 三日前――あの魂の一部を無理矢理引きはがされるような痛み。意識を失うほどの激痛。
 そうそう簡単に魔力が戻るとは到底思えなかった。

「……とりあえず、魔力関係は分かった。オレが倒れる寸前に地震――地面が揺れたがそっちの情報はあるか?」
「はい、もちろんです。地面が揺れたのにも驚きましたが、魔力持ちの方が全員倒れた方がインパクトありましたよ。一部の住人達は『再び魔王が蘇った!』という騒ぎになったほどです」

 団員は微苦笑を浮かべる。
 確かに地震&魔力持ちの昏倒はインパクトがでかい。
『魔王復活か!?』と驚いても仕方がないだろう。

 さらに団員が報告を告げる。
 地震に関しての被害は、幸いそれほどでもなかった。
 揺れ自体が短時間だったのと、意外とこの異世界の住宅がしっかり建てられているため倒壊などの被害はなかったらしい。
 一部、地震に驚き転倒や上から落ちてきた食器などで軽傷を負うなどの報告があった。

 むしろ魔力持ちの昏倒被害の方が大きい。

 魔術師なら周知されているため、倒れているだろうと予想が付く。
 しかし、魔術師以下の魔力しか持たない者は、普段魔術を使っていなければ自身すら忘れている。本人が知らない、忘れていることを第三者が知っている可能性は極わずかだ。
 家族と一緒に暮らしているならいいが、一人暮らしの場合、出勤してこない同僚が不審に思い自宅を訪ねる。床に倒れているところを発見されたなんてのもあるとか。
 運が悪いとお風呂に入っている最中に激痛に襲われ、意識を失い水死した報告もあるらしい。

 だがこれはまだマシな方だと団員が告げる。

「現在、もっとも被害や死亡ケースが多いのは冒険者の方々です」

 魔力持ちなら誰しもが昏倒する。
 冒険者なら魔力持ちが圧倒的に多く、少量でもいざという時の切り札にしているぐらいだ。オレやクリスなどがまさにその典型だ。
 なのに魔物との戦闘中に激痛に昏倒したら――結果は火を見るより明らかである。
 この被害の大きさに冒険者斡旋組合(ギルド)も頭を抱えているとか。

 話を聞いて『ゾッ』とする。
 オレは事務仕事をしていたから、まだいいが――彼、彼女らのように魔物との戦闘中にあの激痛に襲われ魔力を失っていたらと想像するだけで恐怖を覚える。

 冒険者斡旋組合(ギルド)は各支部と情報交換をしている最中で、冒険者の被害数を調査しているとか。
 面倒なのがダンジョンに潜っている冒険者や軍団(レギオン)メンバー達。
 ダンジョンの浅い階層ならまだ救援に迎えるが、深い場合辿り着ける者が限られている。
 そのため生存は絶望視されている。

 今回の魔力持ち昏倒で、下手をしたら万に届く人々が亡くなっている可能性があるらしい。
 魔王との戦闘以上の被害だ。

 ふと、脳裏に田中孝治(たなかこうじ)――ランスとこの異世界で初めて顔を合わせて話した内容を思い出す。



『けど、折角手に入れた魔法核(まほうかく)だけど、この程度じゃまだまだ元の世界に戻る力はない。……だから、堀田くんが前世で僕を見捨てたことをもし未だに悔やんでいるなら、魔法核を『神核(しんかく)』に変える手伝いをしてもらいたいんだ』
『……オレに何をさせるつもりだ?』
『大丈夫、君には危険なことはさせないよ。だって、僕たちは友達じゃないか』
『『君には』ってことは、他誰かをまた犠牲にするつもりか?』
『正確の数字は分からないけど、最低1万人、最大で2、3万人ぐらい死ぬんじゃないかな? 多少の増減はあるだろうけど』



 魔法核を『神核(しんかく)』化させる方法は、ララがランスを殺害したためもう分からない。
 しかし、異世界の人々が魔力を失い、大勢が亡くなっている。
 これではまるでランスが生きていて――実際にどんな方法かは分からないが魔法核を『神核(しんかく)』化させたような状況だ。

 オレは、自分達が取り返しの付かないほどの遅れを喫している気がしてならなかった。



 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼



 魔力が使えないからと言って、ぼんやりとしている訳にはいかない。

 団員達と協力して検証をおこなった。

 検証の結果、魔石などに溜められている魔力は問題なく使用することができた。
 ただしその魔力を使っての武器製造はできなかった。
 一度、火や風、水などの属性を得た魔石の魔力では魔術液体金属が固まらなかったのだ。
 そのため魔力が回復するまで、銃弾や新規武器製造などができない状況に陥る。

 スノー達が目を覚ましたのは、オレが目覚めて7日経ってからだ。
 やはりスノー達も魔力を失っていた。
 ただしリースの『無限収納』は問題なく使用することができた。
 どうも『精霊の加護』は、魔力を必要としないらしい。
 ちなみにラヤラ&ホワイトは、未だに目を覚まさずベッドに眠っている。
 魔術師S級になると、魔力を奪われた反動が大きいのだろう。



「リュートさん、ちょっといいかしら?」

 執務室で、魔力消失後、PEACEMAKER(ピース・メーカー)メンバー達は混乱していたココリ街の沈静に右往左往していた。
 オレはその際に出た問題点や陳情書などに目を通し処理をしなければならなかった。
 そんな作業中、ラミア族、ミューア・ヘッドが神妙な顔で執務室に顔を出す。

 彼女は魔力消失から目を覚ますとすぐに、情報把握のため動いた。
 情報を把握し終えた彼女が、今日ようやく報告に顔を出す。

「……その表情から察するに、あんまりいい報告じゃないみたいだな」
「さすが団長様ですね。わたくし程度の胸中などお見通しなんですね」

 ミューアは空元気で『団長様』と普段使わない言葉でちゃかしながら、書類を提出してくる。
 受け取った書類に目を通す。

「……これは酷いな」
「ええ、正直、どう対処していいか悩むほどです」

 ミューアが珍しく愚痴る。
 書類に書かれている状況がそれほど悪いのだ。

 魔力所持者昏倒事件後――普段、魔術を傘に着せて横暴を働いていた魔術師達が反発を受け、一部では恨みを買いすぎて殺害されているケースまであった。

 さらに質が悪いのは、一部貴族が普段の行いで恨みを買いすぎ、現在魔力を失い魔術師ではなくなった為、命を狙われているらしい。
 酷いところでは本人だけではなく妻子、愛人まで殺害されている。
 まだ無事な貴族達からは、PEACEMAKER(ピース・メーカー)に警護依頼が来ていた。

「こいつらは普段、魔術を使えるからと何をしていたんだよ……。恨み買いすぎだろう」
「他にもPEACEMAKER(ピース・メーカー)に治安維持に来て欲しい、一部暴走している領民との交渉、現在の魔力を失った冒険者では対処できない魔物討伐依頼などが来ています。ですがこの後、魔力が回復すればいいのですが……もし今後、戻らない場合、下手な浪費はいざ本当の緊急の際、対処できない可能性が出てきます。それを踏まえてリュートさん、如何致しますか?」

 ミューアが問う。
 オレは決断を迫られた。


ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!
明日3月19日、21時更新予定です!

最近の気温は『ヤバイくらい寒い!』ですね。
おかげで久しぶりに風邪を引きました。いつもの風邪なら風邪菌がお腹に来て痛くなるのですが、今回は全身に回ってダウン。
布団から抜け出せない状態になりました。
こんな状態になるのは小学校時代レベルですわ。本当に今年の風邪はヤバイ!
と、いうわけで皆様も体調管理にお気を付けてください!

また、軍オタ1~6巻、コミックス1巻も、引き続き発売中です。
まだの方は是非、よろしくお願いします!
(1~6巻購入特典SS、コミックス1巻購入特典SSは15年2月20日の活動報告をご参照下さい)
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ