挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
軍オタが魔法世界に転生したら、現代兵器で軍隊ハーレムを作っちゃいました!? 作者:明鏡シスイ

17章

325/482

第316話 黒毒の魔王の暴走

『死ねぇえぇぇ! クソ共がぁぁぁあ!』

 黒毒の魔王、レグロッタリエが無事だった左腕を動かし黒い魔力を鞭のように動かしオレ達へと襲いかかってくる。
 恐らく『黒毒の魔王』の名に恥じぬように、魔力自体が毒を帯びているのだろう。

 しかしオレ達の手にあるのはAK47等、銃器だ。
 黒い魔力の鞭より圧倒的遠距離から攻撃を加えることができる。
 オレがAK47、スノーはPKM、シアは両手にコッファーを握り締め距離を取り、十分余裕を持って回避しながら弾丸を叩き込み続ける。

 念のため魔術師組、ギギさん、タイガ、ウイリアムは離れてもらっている。
 フレンドリーファイアを避けるためだ。
 将来的に銃器を持たない魔術師と一緒に攻撃をする戦術・戦闘の研究をしても良いかもしれない。
 実際に使う機会があるかは分からないが。

『マジック・バンカー・バスター』によって多大なダメージを受けた魔王の身体修復速度が、防御と攻撃に魔力を使用しているせいで先程より遅くなっている。
 さらにオレ達が遠距離から弾丸を叩き込むため、防御をすり抜けた弾丸が修復した体の一部を破壊した。
 結果、再度修復するという手間が増える。

『クソクソクソ! ちょこまか逃げるんじゃねぇぞク――!?』

 魔王は苛立ち怒声を上げるが、途中で台詞が中断された。
 飛行船ノア・セカンドからM2、12.7mm(12.7×99mm NATO弾)が文字通り雨霰と撃ち込まれる。
 魔王は防御を突破され、体を削られながらも反射的に飛行船へ向けて攻撃を加えようとするが、黒い魔力で作られた鞭ではまったく届かない。
 さらに飛行船は魔王を中心軸にグルグルと左側を向け、旋回。その速度は意外と速く、高度もあるため並大抵の攻撃では届かないし、当たらない。

 ほぼ完全に魔王の攻撃範囲から逃れた一方的な掃射である。

『調子に乗るなよ! 俺様は魔王レグロッタリエ! 貴様ら虫けら共はただ俺様に殺されてればいいんだよ!』

 魔王は治癒の魔力を止めて、防御へと回す。
 黒い殻で身体全体を覆い、飛行船ノア・セカンドから降り注ぐM2やオレ達から浴びせられる銃弾を防ぐ。
 さらに内部で攻撃の魔力を練り上げていた。
 魔術師ではないオレでも分かるほど、殻の内部で魔力が集束していくのが分かる。

『クケケケケケケ! 怯えろ! 絶望しろ! オマエ達、虫けら共の攻撃なんぞ、俺様が本気を出せば防ぐのは容易いんだよ! この殻が破れた時が、貴様らの死ぬ瞬間だ!』

 確かに現在、魔王が作り出した黒い殻は、M2の銃弾でさえ弾くほど固い。
 つまり並大抵の攻撃ではあの殻は突破できないということだ。
 旦那様に魔力があれば『マジック・バンカー・バスター』を使う手もある。
 側に居るオレ達も巻き込まれてしまうので、急いで距離を取らなければならない、という条件があるが。『マジック・バンカー・バスター』は強力故に、使い所が意外と難しいのだ。

 だが、こちらには『マジック・バンカー・バスター』には劣るが、こういう時に便利な貫通力、連射性能、破壊力等が高い万能兵器がある。

「スノー! シア! 退避! 集まって抵抗陣を形成してくれ!」
「了解だよ、リュートくん」
「お任せください」

 オレの指示にスノー、シアは意図を察して素早く魔王からさらに距離を取る。
 そしてオレ達は3人集まり、伏せると抵抗陣を二人に展開してもらう。
 準備が終わるとすぐ飛行船ノア・セカンドから光の矢が魔王の展開した黒い殻を破壊。

『ぐがぁぁあ!?』

 内部に引きこもっていた魔王自身の体をさらに削り取る。
 爆発音に紛れて魔王の悲鳴が聞こえた気がした。

 何をしたかというと、飛行船ノア・セカンドに詰みっぱなしの8.8cm対空砲(8.8 Flak)――アハト・アハトから徹甲弾を撃ち込んだのだ。
 クリスが狙いを付けたのか、見事一発で魔王へと着弾。
 黒い殻と魔王本体を破壊し、引き千切る。

 8.8cm対空砲(8.8 Flak)の徹甲弾の威力は高く、1.8km先の85mmの装甲板を貫通することができたという。
グラードラン山破壊までには至らなかったが、今回のような場面にはまさにうってつけの兵器である。
 本当に8.8cm対空砲(8.8 Flak)は素晴らしい万能兵器だぜ!

 黒い殻が破れたことで、オレ達は魔王に火力を集中する。
 飛行船ノア・セカンドからはM2が再び雨霰と降り注ぐ。
 兎に角、相手に休む暇を与えない。
 そのお陰か魔王の回復速度をオレ達の攻撃力が上回る。
 結果、魔王は再生した両手で地面を這いながら、逃げだし始めた。回復に魔力を注いでいるため、以前のように翼をはやして逃げ出す余裕すらない。

『畜生! 畜生! チクショウ! 何が神になれる力だ! 全世界を手に入れられるだ! ちっとも役に立たねぇじゃねぇか! クソが!』

 破壊されたグラードラン山から、魔王がごろごろと転げ落ちる。
 オレ達は手を弛めず、逃がさぬように半包囲しつつ弾丸を叩き込み続ける。

『チクショウ! チクショウ! チクショウ! 騙された! 俺様は騙された! なんで俺様がこんな目に遭わないといけないんだよ! どうして俺だけが! チクショウがあぁぁあ! こんな世界、壊れてしまえ!』

 最終的に魔王レグロッタリエは、すねた子供のように喚き、嘆き出す。
 ……自身が今までしてきたことを棚に上げ、泣き言を漏らし、最後は世界を――他者を呪い出す。
『自分自身はこれっぽっちも悪くない。悪いのは他者だ』という態度を最後まで崩すことはなかった。
 本当に最後まで救いようのない奴だ。

 もし彼に一欠片の良心でもあったら、もしかしたら結果は違ったかもしれない。

 しかし、すでに賽は振られ終着へと辿り着こうとしている。

 オレの放った弾丸が、魔王の頭部にヒット。
 呪いの言葉を吐き続けていた彼の口だけではなく、動き自体が止まってしまう。
 すでにAK47の弾倉は、魔王の頭部に当てたので最後だった。

 その最後の一発が魔王にトドメを刺したのか?

 飛行船ノア・セカンドも魔王が動きを止めたことに気が付き、M2の発砲を中断する。
 旋回の速度を落とし、地上の様子を窺っていた。

「リュートくん……終わったの?」

 スノーの方も弾切れらしく、手にはサイドアームのリボルバーが握られていた。
 オレは彼女の問いかけに答えられず、黙り込んでしまう。
 普通ならこれで終わりだが……そんな気がまったくしないのだ。

 むしろ『嵐の前の静けさ』的な、嫌な空気が漂っている。

 いち早く魔王の異変に気付いたのは、待機してもらっていた魔術師組だ。
 ギギさんが声を荒げて警告してくれる。

「リュート! 気を付けろ! 魔王の魔力が尋常ではないほど増大しているぞ!」

 ギギさんの指摘と同時に、魔王の千切れていた下半身がほぼ瞬時に修復する。
 オレが撃ち込んだ頭部の弾痕もまるで何も無かったように消えてしまう。
 今までの治癒が遊びに思えるほどの回復速度だ。
 魔王はわざと手を抜いていたのか?
 だが、彼の先程まで吐き出していた声音は、心の底から世界を呪うモノだった。
 魔王レグロッタリエは、自分の手足や体を確認する。口元が裂けるように形を作り笑った。

「ギャハ! ハハハハハア! さすが魔法核、魔王の力! あれほどの傷を一瞬で治癒するなんて! あはあっははあ! 俺様を殺せるモノは存在しないってことか!」

 どうやら魔王自身、あの傷が癒えたのは想定外だったらしい。
 彼は狂ったように歓喜の笑い声をあげていたが――その笑い声はすぐに困惑と苦痛の表情に変化する。

「おい、おいおいおいおいおいおい! どういうことだ! どうして魔力の増大が押さえきれないんだよ! 傷はもう治ってるだろうが! ぐがががが! と、止まれれぇぇぇえぇッ! うががががあぁあ!?」

 魔王の背中が裂ける。
 血が吹き出る変わりに黒い肉塊が姿を現す。
 次は両手が裂け、その次は腹が裂ける。どちらからも黒い肉が姿を現し、どんどん増大していく。

「痛い! いたいたいいたちいあたいたいちあたいあ! どめでぐれぇッ! ぐぎゃあぁぁあぁあッ!」
「ウップゥ!?」

 あまりにもグロすぎて、オレは戦闘中にもかかわらず口元を押さえて視線を外してしまう。
 今までそれなりにショッキングな光景を目にしてきたが、これはその中でもダントツで酷い。
 オレ以外の仲間達も似たような表情を浮かべている。

 魔王の悲鳴がぷっつりと切れる。
 覚悟を決め改めて確認すると、どうやら自身の肉塊に飲み込まれ声をあげることができなくなったらしい。
 黒い肉塊は止まらず、どんどん肥大化させていく。

「い、いったい何がどうなってるの? 急に魔王が回復したと思ったらこんな酷いことになるなんて……」

 スノーも口を押さえながら、眉間に皺を寄せる。
 オレはスノーと一緒に肉塊から後退して距離を取る。
 攻撃しようにも現在、手元にあるのはサブアームのUSPぐらいしかない。
 リースから補給をもらわないと。
 オレは距離を取りながら私見を口にした。

「恐らくだけど、レグロッタリエが倒される寸前、無意識にかけていたリミッターを突破して魔法核から魔力を引っ張り自己治癒したんだ。けど、せき止めていた川を解放するように一度リミッターを外したせいで、際限なく魔力が増幅されているんだと思う」

 その結果がアレだ。

 さらに魔王レグロッタリエにとっての不幸は、意識はあるのに魔法核の暴走を止められないことだ。
 意識を保ったまま増殖する自身の肉が産まれる苦痛を味わい続ける。
 想像しただけで身の毛もよだつ最悪の事態だ。
 人の手に余る魔法核に使用した者の末路といえば簡単だが、後始末をしなければならないオレ達からすれば迷惑でしかない。

 このまま放置していれば、そのうち暴走が止まるならまだいい。
 しかし魔法核から無制限に魔力が供給され続け、妖人大陸を覆うほどに肉塊が増殖する可能性がある。
 折角、『マジック・バンカー・バスター~旦那様を添えて』で黒煙結界(ネグロ・ドィーム)を破壊したのに、今度は魔王の肉塊に覆われるなんて嫌すぎる。

「だったら明日、魔力の回復した旦那様にもう一度、『ばんかー・ばすたー』を投げてもらって、この気持ち悪い肉塊を倒してもらえばいいじゃない」
「恐らく無理だ。この肉塊の成長速度は黒煙結界(ネグロ・ドィーム)より速い。リュート達があの杭を作成するのに最低でも10日は必要だろう。その間にこの速度なら帝国を飲み込むほど増殖するぞ。それに――」

 タイガの意見にギギさんが否定の言葉を告げる。
 さらにギギさんが戦闘準備をしながら、オレ達を促す。

「敵は魔王だけではなさそうだぞ」
『ピギャァァァァァアァアァッ!』

 ギギさんの台詞に答えるように、魔王の増殖した肉塊の一部がブチブチと本体から千切れて、異形の姿をさらす。
 魔王の肉を使い魔物を生み出したらしい。

 ドラム缶に触手を付け、中央にギザギザの歯がたような形の魔物だ。今まで見たことのない気持ちの悪い形をしている。

 一匹では終わらない。
 どんどんどんどん――肉塊が増殖する速度に負けない勢いで、魔物が生み出される。
 しかもドラム缶触手だけではない。

 5本足の狼と豚を足したような魔物、巨大なコウモリの羽根を持つがキリンのように首が長い魔物、象のように巨体で全身を針で覆ったような魔物。他にも多種多様な今まで見たことがない魔物が次々生み出される。
 魔王の体から際限なく魔物が生み出される。
 共通点があるとするなら、どれもこれも気持ちが悪い形をしていることだ。

「このまま10日も放置していたら、これらの魔物が大陸中に散らばり村や町、行商人達が襲われて甚大な被害が出るぞ」

 ギギさんの言う通り。
 このままバンカー・バスターが完成するまで待って、攻撃している暇はない。
 被害を最小限に抑えるためには、すでに魔王というより『災いの源』と化したこの怪物を今すぐ倒すしかない。

 こちらが想定した事態とはかけ離れた状況だが、オレは慌てなかった。
 むしろ、この状況に攻撃的な笑みを浮かべる。
 なぜなら『バンカー・バスター』を作り出したことで、事前に準備していた対魔王兵器がお蔵入りしていたからだ。

「ギギさん、奴を倒す兵器の準備をします。なのでタイガ達と一緒に時間稼ぎをお願いしてもいいですか?」
「分かった。準備が整うまでリュート達には指一本触れさせん」

 ギギさんは力強く断言してくれる。
 彼の他にも魔術師S級のタイガ、Aマイナス級のウイリアムがこの場に居る。
 彼らに任せておけば安心だ。

 オレは時間稼ぎをギギさん達に任せて、飛行船ノア・セカンドへ向けて合図を送る。

 リースを呼び出し、オレ達は対魔王用に作っておいた兵器の準備に取り掛かった。


ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!
9月29日、21時更新予定です!

前回、軍オタ全巻の重版報告をさせて頂きました。
なので気分が高揚し、自分のご褒美として、最近気になっていた『カニカマ』の『香り箱』のおにぎりを買いました!
噂では『本物のカニレベル』という話だったので、どれぐらい凄いのか試してみたかったので。

それで、実際に食べてみると――思った以上にカニっぽい。
このカニカマでチャーハンとか作って食べたら美味そうだな。滅多にカニカマなんて食べないけど、ここまで進化したのか……と、ちょっと感慨深くなりました。

また諸々ちょっと重なってしまっているので、次回更新が若干遅れます。
申し訳ありません……。

また、軍オタ1~4巻、引き続き発売中です。
まだの方は是非、よろしくお願いします!
(1~4巻購入特典SSは15年8月20日の活動報告を、2巻なろう特典SSは14年10月18日の活動報告、3巻なろう特典SSは15年4月18日の本編をご参照下さい。)
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ