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軍オタが魔法世界に転生したら、現代兵器で軍隊ハーレムを作っちゃいました!? 作者:明鏡シスイ

17章

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第303話 アームス、再び

 レグロッタリエが帝国の近くにある山――グラードラン山を魔力で強引に魔王城化してしまう。
 結果、周辺に黒く濁った魔力が垂れ流れ魔物と交わり、強化&凶暴化させている。

 今回の魔王討伐に参加しない――正確にはさせてもらえなかった冒険者斡旋組合(ギルド)の依頼により、残った冒険者達は強化&凶暴化した魔物退治をさせられていた。
 放置すれば近隣の村を襲うし、集まっている人種族兵士達は準備に忙しいのと出発前に損害を出したくないためやりたがらない。
 強化されているため倒すのは大変だが、その分素材価値が上がっているため報酬は悪くないとか。
 また魔王討伐軍的には、魔王と戦う前、他魔物に横やりを入れられないよう冒険者達に露払いをさせる狙いもあるようだ。
 その支援に帝国が国内にある冒険者斡旋組合(ギルド)支部をせっついているとかなんとか噂話がまことしやかに囁かれている。

 オレ達、PEACEMAKER(ピース・メーカー)も魔王討伐に参加させてもらえないため、魔物討伐に参加していた。
 放置して近隣の村などが襲われたらたまったものではない。

 オレ達はM998A1ハンヴィー(擬き)に乗り込み、ほぼ毎日魔物討伐へと出かけていた。
 帝国城内に留まると、ユミリア皇女につきまとわれる――という理由もあるが。
 現在はあのお茶会以来、メイヤが盾となってくれているため強引な面会や誘いは激減した。
 一度、ユミリア皇女が無理矢理、オレをお茶会に連れ出そうとした。
 しかしメイヤが間に入り、『ユミリア様、そのお茶会是非わたくしも参加させてください。とっておきのお菓子とお茶を持ち、リュート様と伺わせて頂きますわ』と発言。

 この言葉にユミリア皇女は唇の端をひくつかせて引き下がる。
 メイヤは言外に『これ以上リュート様にちょっかいを出し邪魔をするなら、今度こそ叩きつぶしますわよ?』と言ったのだ。
 彼女がその気になれば、オレの前でユミリア皇女に恥を掻かせるなど造作もない。実際、前回のお茶会で証明している。
 故にユミリア皇女は突然用事を思い出してお茶会を中止し、オレの前から引き下がったのだ。
 この時ほどメイヤを格好いいと思ったことはない。
 もしオレが女子なら、『胸キュン』してチョロイン化していただろう。

 話を戻す。
 今日も強化&凶暴化した魔物を討伐するためM998A1ハンヴィー(擬き)に乗り込む。
 約1時間近く走った場所にある森近く。
 そこには開墾しながら田畑を広げる村がある。

 オレ達はそこで森や平野から出てくる魔物達を狩りまくる。

『オオオオォッォッォォォッォォォッ!!!』

 狐のような三角耳、鋭い牙、すばしっこそうなやせ細った体躯。そして尻尾が竹箒のように広がり、そこだけ毛のボリュームがある魔物。
 初心者冒険者の登竜門的魔物であるガルガルだ。

 しかし魔王の黒い魔力に汚染され、色は黒く、尻尾は三つ又に分かれ、牙が長く伸びている。
 明らかに強化されていた。
 ガルガル改? ガルガル2、もしくはガルガルパワーアップバージョン?
 呼び名が分からないが、3匹の強化されたガルガルがオレ達に向かって突撃してくる。

 ダン! ダン! ダン!

 クリスのSVD(ドラグノフ狙撃銃)が3発放たれる。
 弾丸は寸分違わずガルガルの頭部にヒット。
 10秒かからず倒してしまう。

 どれだけ強化されようと所詮ガルガル。
 クリスの敵ではないか。
 リースが手慣れた様子で、動揺もせず『無限収納』に倒したガルガルをしまう。

 本来、ガルガルは討伐証明に尻尾だけを切り取る。残りは埋めるか、焼くか、魔術水薬をかけなければならない。その死体を食べて他の魔物が繁殖させない措置だ。
 しかし今回のガルガルは魔王の魔力の影響で、全身の毛皮が強化されているため防具に使用可能らしい。
 冒険者斡旋組合(ギルド)は、尻尾だけではなく全部を持ち帰るよう推奨しているのだ。

「しかしよろしかったのですか、若様」
「何が?」

 シアがコッファーを手に話しかけてきた。
 もちろん護衛メイドだけあり周辺の警戒は怠らない。
 現在オレ達は村近くの草原と森の境界付近に居る。森沿いを歩きながら、向かってくる魔物を退治しているのだ。

「ハンヴィーを魔王連合や他軍団に見せるように移動したことです。わざわざ手の内をさらすのはどうかと……」

 帝国からこの場に移動する際、ハンヴィーを使用した。
 その時、冒険者や他人種族の兵士達が、『なんだあれは?』と驚きの目で見つめてきた。
 あまり冒険者が自分の手の内をさらすのは好まれない。
 状況によっては、その手の内が自身の命を救う鍵になる場合があるからだ。またハンヴィーの性能は馬車とは比べ物にならないため、面倒な人物達から『是非、購入したい!』と話を持ち込まれこじれる可能性がある。シアはその点を気にして問いかけてきたのだろう。

 オレは自分の考えを彼女に聞かせる。

「念のためだよ。今回の魔王戦で緊急事態が起きたら、馬車より圧倒的に速いハンヴィーを使いたいからさ。今は魔王の影響で魔物が変質しているだろう? 見慣れないハンヴィーが高速で迫ってきたら新手の魔物だと思って攻撃される可能性がある。そういうのを避けるために今のうちに認知を広めておこうと思っていたんだ」

 もし邪魔されて助かる命が助からなかった場合、目も当てられない。
 昔ならいざ知らず大抵の面倒は現状、解決するのは容易いということもある。
 シアは頭を下げてきた。

「失礼しました。若様のお考えに気づかず」
「こっちこそちゃんと説明しなくてごめんな」
「リュートくん、アレって……」

 スノーの声に視線を向ける。
 帝国方面から、武装した集団が駆けてくる。
 最初、角馬に乗った騎士かと思ったが、どうも違う。
 文字通り人馬一体となったケンタウロス族達だ。彼らもこちらに気がつき、速度を落として近づいてくる。

 先頭を進むのはカレンの兄、ケンタウロス族魔術師Bプラス級、アームス・ビショップだ。
 彼は細工が施された細い槍を手に、上半身を金属甲冑で隙無く包んでいた。顔だけは視界確保のためか、兜などを一切かぶっていない。
 後ろに控える同じケンタウロス族の若者達も武装こそ違うが似たような格好をしている。

「こんなところでお会いできるとは奇遇ですね。リュート殿」
「ですね。でもまさかアームスさんがまだ帝国に残っているのは驚きですよ。てっきりもう帰国なさったのかと」

 アームス達は家業の武器や防具を製造・販売している。
 今回帝国には注文を受けた武器&防具を届けに来ていたのだ。
 すでに荷物の引き渡しを終えているため、てっきり魔人大陸に戻ったものと思っていたのだ。

「仕事は終わったのですが、魔王が本当に誕生したと言うことで折角だから、義勇軍に参加しようと若い奴らと盛り上がったのですが断られてしまって。ただ帰るのも面白くないので、これから販売する新武器の性能チェックも兼ねて、魔王に強化された魔物退治に挑んでいたんですよ」

 家族に『魔王配下の魔物達と戦った』と土産話作りの意味もあるらしい。

「リュート殿達も魔物退治ですか? てっきり魔王討伐軍の重要な役職を与えられているとばかり思っていましたが」
「実はウチも魔王討伐軍には入れてもらえず弾かれたんですよ。だから、せめて近隣住民のため魔物退治に勤しんでいたんです」

 正確にはオレとココノ以外お断りと言われ、こちらから蹴ったわけだが。
 アームスはオレの返答に呆れた表情を浮かべる。

「今現在最強の軍団(レギオン)PEACEMAKER(ピース・メーカー)の協力を断るとは……。これは魔王討伐軍の敗北は決定的ですね」
「いやいや、正直、自分達が参戦したからといって確実に魔王に勝てる保証はありませんよ」

 謙遜ではなく事実だ。
 いくつか対魔王兵器を準備はしているが、確実に倒せる保証はない。
 しかし、アームスは意見を変えなかった。

「確かに保証はありませんが確率はあがります。ですが、今の魔王討伐軍は功名心が先立って他国兵士達との連携が取れていません。人数だけはそろっていますが、それだけで勝てるほど魔王は甘くないでしょう」

 アームス達義勇兵が断られた理由も『他種族だと連携が取れないため今回は見送らせて頂く』と言われたかららしい。
 人種族同士ながら、そこまで体格や食事、移動速度、もろもろに差はほとんど無い。
 確かに人種族で統一すれば雑事が楽になるということはある。
 だが実際は体のいい拒絶理由でしかない。

 アームスは見識が深く、広い視野を持ち、武勇にも優れ、家柄もいい。下半身は馬だが、顔立ちは整っており、髪を伸ばしているが手入れも十分されているため不潔感はなく、性格もいたって真面目。
 これほどの逸材はなかなかいないと思う。

 唯一、欠点があるとするなら――

「魔王討伐に名乗りを上げるほどの女傑と出会えると思い楽しみにしていたのですが、参加を断られるとは本当に無念です。今回こそ自分を頭から爪先まで支配してくれる剛の女性と出会えるチャンスだと思っていたのですが……ッ」

 アームスは心の底から悔しそうに歯噛みする。
 ……この性癖さえなければ本当に優秀な人材なのだが。
 後ろで彼の部下らしき人物達が『またかよ……』という呆れた表情を浮かべる。

 どうもケンタウロス内部でも彼の性癖は特殊な部類に入るようだ。

 彼は冷静さを取り戻し、話を戻す。

「失礼、少々興奮してしまいました。ゆえに今回の魔王討伐はほぼ失敗すると思います。リュート殿達も下手に巻き添えを食う前に帝国から去った方がいいかと。自分達も明日には魔人大陸へ戻るつもりですし」
「ご心配して頂きありがとうございます。ですが魔王とは少なくない縁があるのと、彼らを放っておくわけにはいきませんから」
「確かPEACEMAKER(ピース・メーカー)の理念は……なるほど、リュート殿達は本当に素晴らしい人達ですね。妹がリュート殿達の下に勤めていることを誇りに思います」

 この人は本当に性癖さえ絡まなければ誠実ないい人だよな。
 マジで機会があったら……あの人をアームスさんに紹介してもいいかも。
 アームスさんならあの人の魔王オーラに耐えられるかもしれない……!

 ちなみにここで『あの人』の名前を口にしてはいけない。
 口にしたらこの場に現れそうだからだ。
 前世、某海外魔法小説に出てくる『あの人』のようにだ。

「突然で申し訳ないのですが、魔人大陸に戻るなら一つお願いがあるのですが」
「なんでしょう。リュート殿達には妹がお世話になっているのでなんでも仰ってください」
「ありがとうございます。実はある人に伝言をお願いしたいのです」
「伝言ですか?」

 オレはアームスさんが魔人大陸に戻る前に、もう一度会えたらある人物に伝言を頼むつもりだった。
 これも対魔王戦の保険の一つだ。

 アームスさんは一通り伝言を聞くと心良く了承してくれる。

「分かりました。必ずお伝えします」
「ありがとうございます! よろしくお願いします!」

 こうしてオレ達は挨拶を交わし、その場で別れる。
 そして再びオレ達、PEACEMAKER(ピース・メーカー)で魔物狩りを始めた。


ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!
8月3日、21時更新予定です!

次回アップ日に軍オタ4巻の表紙アップ許可を頂きました!
なので次のアップ日は活動報告をご確認ください!
4巻表紙も素晴らしい出来なので、是非是非お見逃しなく!

また、軍オタ1~3巻、引き続き発売中です。
まだの方は是非、よろしくお願いします!
(1~3巻購入特典SSは15年4月18日の活動報告を、2巻なろう特典SSは14年10月18日の活動報告、3巻なろう特典SSは15年4月18日の本編をご参照下さい。)
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