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なろう特典SS メイヤさんの女子力

こちらは軍オタ3巻なろう特典SSになります。

本編は同時更新で、一つ前になりますのでお気をつけください。

「え? 理想のお嫁さん選手権?」


 獣人大陸にあるココリ街は、港から入った物資を陸地奥の街々へ輸送する中間地点に存在する1つだ。

 そんな都市に新・純潔乙女騎士団の本部がある。


 本部の執務室でオレことリュート・ガンスミスが書類仕事をしていると、下半身が蛇で上半身が人のラミア族、ミューア・ヘッドが新たな書類を手に話を切り出してきたのだ。


 その書類に書かれている内容が先程の台詞――『理想のお嫁さん選手権』という企画だった。


 オレは書類を受け取り、内容とミューアの顔を交互に見詰める。


「……またどうしたんだこれは?」

「商店の人々から相談を受けまして。なんでも最近、『若い男女の結婚率が下がっていてどうにかならないか?』と。調査の結果、結婚率が下がっている理由として、『出会いがない』『普段の仕事が忙しすぎて、相手を知る機会がない』というのが主な理由らしくて。ならばイベントを開き、男女の仲を取り持とうと思ったしだいです」


 PEACEMAKER(ピース・メーカー)が音頭を取り、イベントを開く理由は――他の商店が主導だと禍根が残った場合、以後の対処が難しい。そのため中立のPEACEMAKER(ピース・メーカー)に白羽の矢がたった。


 ミューアが笑顔で続ける。


PEACEMAKER(ピース・メーカー)外交部門担当としても、今回の商店からの願いを受け入れたいと考えています。理由としては街の商店に貸しを作れるのと、イベントを主導することで街の皆様とより親密になれるかと思うのですが。いかがでしょう?」

「…………」


 彼女が口にしていることはとても立派で、商店&PEACEMAKER(ピース・メーカー)側にも利益のある有益なイベントだ。

 しかし、ひっかかりを覚える。

 イベントを開く利点、双方の利益、開催の意義――全てが綺麗に整えられ過ぎているのだ。

 まるで決闘中、敵がわざと隙を見せ誘われている……そんな感覚を覚えた。


 だが、このイベントを却下するのは簡単だが、拒否する理由を作るのが難しい。

 適当なことを告げても有能なミューアなら即座に反論してくるだろう。

 ごり押しで却下することもできるが……下手に藪をつついて蛇どころか――八岐大蛇を出すことはない。


 それにひっかかりは、オレの勘違いという可能性もある。

 あくまで彼女は善意でイベントを開きたがっているだけかもしれない。

 なら無下にするわけにもいかない。

 ……決して自己保身に走ったからではないよ?

 オレは書類の名前欄にサインを書く。


「確かにミューアの言う通り商店達に貸しを作るのも、住人達と関係を深めるのも良いことだ。読んだ限り予算もかからなそうだし。これぐらいの費用なら、バーニーも許可をくれるだろう」

「ありがとうございます、リュートさん。バニちゃんにはすでに報告済みで、許可をとってますから大丈夫です。一応、団長であるリュートさんに、最初にサインを頂こうと思って」


 うわ、根回し済みですか……ますますひっかかりを覚える。

 しかし、オレは何も言わず書類をミューアに返した。

『好奇心猫を殺す』だ。

 ミューアは書類を受け取ると、笑顔で執務室を後にする。


「何も問題が起きなければいいんだが……」


 オレは彼女の背を見送った後、ぽつりと本音を漏らしてしまった。




▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼




 ミューアは執務室を出ると、3つ眼族のバーニー・ブルームフィールドが居る事務室へと向かう。

 その途中、ある人物とすれ違った。


 リュート・ガンスミスの一番弟子であるメイヤ・ドラグーンだ。


 彼女はまるで誰かを待っていたかのように廊下壁に寄り掛かり、腕を組んで佇んでいた。

 メイヤとミューアの視線が交差する。


「「…………」」


 彼女達は会話を交わさない。

 しかし、ミューアがウィンクを一度だけする。

 メイヤが待ち望んだ答えはそれだけで十分だった。


 メイヤは寄り掛かっていた壁から離れると、自身の研究室へと歩き出す。

 その道すがら、彼女は我慢できず笑みをこぼしてしまう。


(無事、『理想のお嫁さん選手権』の許可が下りたようですわね)


 許可が下りた場合、ウィンク1回。

 却下の場合、ウィンクなしという事前に打ち合わせをしていたのだ。


(これでリュート様の前でわたくしの『理想のお嫁さん力』を存分に発揮! 見せ付けることができますわ!)


 実際の『理想のお嫁さん選手権』の発案者は、メイヤ・ドラグーンだったのだ。


 もちろん実際に商店達からは、先程ミューアが告げた相談が持ちかけられているが、現状そこまで深刻ではない。

 メイヤはその話を小耳に挟み利用することを思いついたのだ。


(『理想のお嫁さん選手権』でわたくしが出場し、リュート様の前でブッチギリでトップに立つ。そうすればリュート様は、わたくしの『理想のお嫁さん力』に気が付き、感涙。即、結婚を申し込んでくるはずですわ! 天才! 圧倒的天才発想力! 我ながら自分の天才的頭脳に身震いを覚えてしまいますわ! もちろん、そんなわたくしの天才的才能もリュート様の神大天才的才能の前では塵屑以下の存在でしかありませんけど)


 そして、イベントを開くためミューアに相談を持ちかけた。

 彼女はココリ街にある某高級甘味店、食べ放題券で手を打ってきた。

 食べ放題券は、メイヤがミューアの友達を含めて甘味を驕るという約束書類である。


 こうしてミューアが、イベント書類を製作。

 許可をもらうまえに念を入れて、根回しを済ませた。

 そして無事、リュートから開催の許可をもらう。

 これで正式なイベントになったため、大手を振って開催することができる。


「今度こそ……今度こそ……リュート様のお嫁さんになってみせますわ! ふふふふふふふっふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ……」


 太陽光が差し込まない研究室に続く暗い廊下に、メイヤの低くくぐもった笑い声が静かに響き渡った。




 そして、無事、問題も起きず『理想のお嫁さん選手権』が新・純潔乙女騎士団本部グラウンドで開かれた。




▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼




『さぁ、ついに始まりました『理想のお嫁さん選手権』! 今回のイベントで司会を務めるリースお姉ちゃんの可愛い妹、ルナです!』

『そして、解説は私、PEACEMAKER(ピース・メーカー)外交部門担当のミューア・ヘッド。今回の審査員を務めるのは護衛メイド、シアさんです。シアさんよろしくお願いします』


 グラウンドに待機しているシアが話を振られて、綺麗に一礼する。


 新・純潔乙女騎士団本部グラウンドには、約100人の参加者女性と観客達が集まっている。

 司会のルナ、解説者のミューアはグラウンド端に机を並べ進行をおこなうことになっている。

 2人の声は音を増幅し、周囲に響かせる魔術道具――マイクを使用しているためグラウンドの端に居ても聞こえてくる。


 オレはというと、他観客達と一緒になって観戦――ではなく、混乱が起きないよう警備員のまとめ役、監督役をしていた。


 観客来場者数は予想していたより多く、急遽冒険者斡旋組合(ギルド)にクエストとして依頼。

 冒険者達を警備員として雇い入れることになったほどだ。

 まあ、責任者と言っても警備員側や会場に問題が無いか立っているだけなのだが。


 観客は将来のお嫁さんを見定めるためか若い男性の割合が多いが、一イベントとして楽しく見物しに来た子供からお年寄りまで集まっている。

 娯楽が少ないこの異世界とはいえ、皆暇すぎるだろう……。


 さらに意味が分からないことにスノー、クリス、リース、ココノが今回のイベントに参加していた。

 別に彼女達がオレに三行半を突き付けるため、新しい婿捜しをしている訳ではない。

 参加者が集まらない可能性があったため、水増し要員としてミューアが皆に『参加してしてくれないか?』と頼んだのだ。


 彼女達の他にもPEACEMAKER(ピース・メーカー)側から、メイヤ、バーニー、カレン、他が参加している。

 しかし、こちらの予想以上に参加者が集まったため警備員の手が足りず、冒険者を急遽雇う結果になった。


 ルナが楽しげに声をあげる。


『それでは早速行きましょう! まず一つ目の『理想のお嫁さん選手権』種目は――体力です! でも、なんで理想のお嫁さんに体力が必要なの?』

『理想のお嫁さんに必要な技術として炊事家事、家庭維持など多々ありますが、その資本となる体力がなければいけません。なのでまず最初に体力を測定テストをさせて頂きたいと思います』

『テストは簡単、今から町内を一周して、最初にこの場所へ戻ってきた上位50名が次のテストへ進むことができます! ちなみに不正をしようなどと考えないように。護衛メイドのシアが走る皆を監視するので! むしろ、彼女の目をかいくぐり不正をおこなった人は是非、PEACEMAKER(ピース・メーカー)へ入団してください!』


 ルナの言葉に思わず納得する。

 確かにシアの監視をかいくぐり不正をおこなえる人材なら、是非欲しい。

 オレが彼女の言葉に頷いていると、ルナは元気よくスタートの合図を口にする。


『準備はいい? それじゃよーい……スタート!』


 彼女の言葉に合わせて一斉に、参加者達が走り出す。


 はてさて、最初にゴールするのは誰だろう?

 今回のテストで脱落する2名は容易に想像できるのだが。




 そして、十数分後――トップグループが戻ってくる。

 1位スノー、2位がカレンだった。

 今回、魔術の使用は禁止されているが、やはりこの2人が運動能力は飛び抜けて高い。


 その後、続々とマラソンを終えた女性達が戻ってくる。

 そして最下位は……


「――――――」

「ぜーはーぜーはー、足が痛いよ、体が痛いよぉ~」


 ココノは息をしているのか心配になるほど青い顔で動かず、バーニーは涙目で倒れていた。

 彼女達2人が逆トップ陣、ビリ(ココノ)とビリ2(バーニー)だ。


 ココノは昔に比べて体力がついたからといって、トップ50名に入るのは無理だろう。

 バーニーは魔術師だが、最近は訓練をせずにずっと座って事務仕事をしている。完全に運動不足だ。


 しかも、2人は途中で棄権すればいいのにわざわざ完走したのだ。

 その根性はとても素晴らしいが、


「ココノ、大丈夫か?」

「だ、大丈夫です……少々、意識が遠くなったぐらいで……」

「いや、それ大丈夫じゃないだろう。本当に無理するなよ。でも、完走して偉いな。ココノは根性あるよ」

「えへへへ、ありがとうございます、リュート様」


 倒れていた彼女を日陰の木下に移動させ、持ってきた水を飲ませる。バーニーはまだ体力が残っていたらしく、ふらふらしながら休憩室に1人で向かった。


 現状、オレは警備員の監督、責任者のため現状そこまで忙しくない。

 そのため木陰にココノを移動させて、彼女に膝枕をしてやった。

 ココノは嬉しそうに微笑む。

 オレはそんな彼女の頭を何度も撫でる。


 オレ達がいちゃついている間にも、『理想のお嫁さん選手権』は続く。


『続いての種目は『頭脳』です! って、頭脳って何をするの? 頭開いて見せるとか?』


 何そのグロイの……。

 ミューアが微苦笑で否定する。


『違いますよ。理想のお嫁さんに必要な技能の1つ、それは計算力です。妻として家庭を預かるのならお金の計算が出来なければいけません。なので今から問題を出しますので、分かった人からシアさんに耳打ちしてください。先に正解した20名が次の種目に移れます』


 先程の種目で50名が、20名に絞られるのか……結構、シビアだな。


『周囲に聞こえるよう声に出したり、相談し合うのは禁止です。もしやった場合は失格となるので注意してくださいね』


 ミューアが注意事項を告げ釘を刺す。

 ルナが事前に用意していた問題を告げた。


『それでは問題いきます! 1から100までの数字の合計はいくつになるでしょう!』


 確かこの答えは『5050』だったかな?

 普通に計算すると面倒だけど『1+100=101』『2+99=101』『3+98=101』と足していくと必ず合計が『101』になる。


 それが50個になるので『50×101=5050』となるわけだ。

 この計算のやり方を知らないと、答えるのは結構大変だ。


「はい! 分かりましたわ!」


 メイヤがすぐに手を挙げ、シアの元へと駆け寄る。

 メイヤはシアの耳元に口を寄せ、答えを告げる。


「……正解です」

「よっし! ですわ!」


 さすが天才魔術道具開発者。

 一発&トップバッターで頭脳種目を突破する。

 彼女に遅れて商人の娘さん達が、3人ほど団子で続く。


 2番目の子は不正解。

 3、4番目と順番に答えた子が正解して抜ける。

 これで残る枠は17名だ。


 続いて手を挙げ、シアの元へ向かったのはクリス&リースだ。

 2人とも順番にシアの耳元へ答えを告げる。


「……正解です」


 2人とも無事、正解し抜ける。

 これで残る枠は15名だ。

 これで残っている嫁はスノーのみだが……オレが彼女の様子を窺うと、


「えっと1+2+3+4+5+6+7+8+9+10で55でしょ。そして11+12

――」


 スノーは律儀に1~100までの数字を足しているらしい。

 一方、スノーの近くに居るカレンも……


「100+99で199。98+97で195。そして96+95――」


 スノーと同じで、100側から順番に足していっていた。

 あれでも2人は魔術師学校を卒業したエリート魔術師だ。

 スノーに至っては一握りの天才でしか至れない魔術師Aマイナス級魔術師なのである。本当に彼女達はエリートなんです。


 でもなぜだろう。

 2人を見ていると目からしょっぱい水が流れ出そうになる。


 もちろんスノー&カレンが、この頭脳種目を突破することはなかった。




『さぁ『理想のお嫁さん選手権』の種目も残すところあと2つ! 残る参加者も約100名から、たったの20名まで絞られました。この中から誰が『理想のお嫁さん』という素晴らしき栄光を手にいれるのでしょうか!』


 ルナが興奮した様子で声をあげる。

 この喋りに観客達も盛り上がり、雄叫びのような声をあげた。

 そして声が静まるのを待って、ミューアが次の種目を告げる。


『続いての種目は『掃除力』です。健康的な生活を送るためにも、汚い部屋ではいけません。理想のお嫁さんなら、夫や子供ためにも自宅を綺麗に維持する必要があります。今回の種目ではそんな『掃除力』を競ってもらいます。それでは準備をしますので少々お待ちくださいね』


 ミューアの言葉で、選手達の前にテーブルに載った汚れた壺が1人1つ置かれる。

 机の脇には水が入ったバケツと掃除用具一式が置かれている。

 ルナが元気よく種目の説明をした。


『今から皆さんにはこの汚れた壺を掃除してもらいます! 綺麗になったと思った人から順番に手を挙げてください。護衛メイドのシアが審査してOKなら合格。でも基準に達していなかった場合はやり直しになるから気を付けてね! 先に合格した上位10名が、最終種目に進めるよ!』

『何度でもやり直しして問題ありませんが、その分時間を取られるのでその間に他選手に抜かれる可能性があるから要注意してくださいね』


 ミューアがナイスタイミングで合いの手を入れる。

 確かに速度を重視して、手を抜けば審査に時間を取られて他選手に遅れる可能性がある。

 この種目では速さだけでなく、正確さも要求される奥が深いものになりそうだ。


「……でも、この種目で真っ先に脱落する人物の予想がつくんだが」

「リュートくん気が合うのね。わたしもだよ」

「失礼ながら、わたしも予想がつきます……」


 頭脳種目で脱落したスノーが隣に座って、オレの言葉に反応する。

 呼吸が落ち着いたココノも、体を起こし申し訳なさそうに声をあげる。


『今回の審査を護衛メイドのシアが勤めるけど、彼女の腕前がどの程度なのか示すためデモンストレーションとして壺を掃除してもらいたいと思います!』


 ルナの掛け声で、シアの前に汚れた壺が置かれる。

 確かに審査員である彼女の実力が分からなければ、自分達に下される評価が本当に正しいのかどうか納得し辛いだろう。

 しかし遠目だが他のより汚れている気がする。

 あれが本当に綺麗になるのだろうか?


「……それではやらせて頂きます」


 シアは人目が集まったのを確認すると、壺の掃除にとりかか――終わっていた。

 先程まで汚れていた壺はまるで新品のごとく綺麗になっていた。

 って! どうやってあの一瞬で掃除を終わらせたんだよ!

 見守っていた観客達もあまりの速さに『……おおっぉぉおおっぉっぉおぉッ!』と驚愕の声と万雷のような拍手が贈られた。


 彼女は表情をかえず右手を胸に、左手でスカートを掴み正式な挨拶をする。

 これだけの実力を見せ付けられたら、シアが審査をするのは誰も反対しないだろう。


『それじゃ場も温まったところで早速いくよ! 選手の人達準備はいい!?』


 ルナの声に、観客達の視線がシアから選手20名に向けられる。

 緊張感が当たりを包み込んだ。


『それでは掃除力種目、壺掃除! よーい……スタート!』


 がしゃん!

 ルナの掛け声と同時に彼女の姉であるリースが、掃除用具を取ろうとして机にぶつかり壺を落とす。

 壺は物の見事に割れてしまった。


『はい! リースお姉ちゃん失格!』


 ルナはなぜか嬉しそうに笑顔で指先を向ける。

 オレ達も予想通り過ぎて、驚きもない。


 リースが再度の挑戦を要求するも、シアによって却下される。

 たとえ相手が仕えるべき主でも、審査員として公平性を貫くつもりのようだ。シアは一度決めたら頑固なため、絶対に撤回はしない。

 リースも抗議を諦め、トボトボとこちらへ歩いてくる。


「お疲れ、残念だったな。結構いいところまで残ったのに」

「うぅぅ……最後が壊れやすい壺掃除ではなく、お部屋やお庭、衣類の洗濯などだったら壊すこともなく最終種目まで残れたのですが……」


 なぜだろう。

 リースのドジで部屋なら破壊、庭なら焼失、衣類の洗濯は雑巾以下の布切れになりそうなイメージがあるのは……。

 スノー&ココノも同じイメージだったらしく、彼女達も明後日の方角を向き黙り込む。


「はい! 終わりましたわ! シアさん、審査をお願いしますわ!」


 そうこうしていると一番最初の審査申込者が出た。

 メイヤ・ドラグーン、その人だ。

 シアとは比べられないが、相当早い。なのに遠目からでも分かるほど丁寧に汚れが落とされていた。


 シアが近付き、机を一周。

 汚れがないか壺の中まで覗き込みチェックする。


「……合格です」

「よしッ! ですわ!」


『オォォォォオオォォッォオ!』と観客から驚きの歓声があがる。

 メイヤは先程の頭脳種目でもトップ通過した。

 さらに今回の掃除力種目でも堂々のトップ通過とは驚きだ!


 メイヤに遅れること10分ほど、続々手を挙げシアに審査してもらっていく。

 手が挙がるのに焦り、掃除を終わらせようと急ぎ、完全に終わっていないのに審査を願う子達も多かった。

 結果、再度のやり直しで逆に時間を無駄に消費する。


 その中でクリスは焦らず、丁寧に壺を掃除する。

 自身の納得がいくまで磨いた後、手を挙げた。


「……合格です」

「!」


 クリスが珍しくガッツポーズする。

 自身の胸の前で両手を握り締めたのだ。

 ギリギリ最後の10人目に滑り込む。


 こうして最終種目に挑む10名がグラウンドに残る。




 ルナが興奮気味にマイクへ向けて叫んだ。


『さぁよいよいよ『理想のお嫁さん選手権』最後の種目を迎えたよ! つまり! 今、グラウンドに居る女の子達は、最も理想のお嫁さんに近い子達ということ! ちなみにルナの一押しはもちろんクリスちゃん! ちょー可愛いよ!』


 ルナの声に観客達の注目がクリスに集まる。

 彼女は恥ずかしそうに俯いた。

 私情を入れるな私情を。後、観客の中で『嫁に是非欲しい!』という奴等がちらほら居たがクリスはオレの嫁だ! 絶対にやらんぞ!


『それじゃ最後の種目を発表するよ! では、発表どうぞ!』

『最後の種目は――料理です』


 ルナの振りに、ミューアが重々しく答える。

 さらに彼女は続けた。


『料理は生きるうえで絶対に欠かせない要素。毎日、夫や子供、義理両親などに食べさせたり、不意の来客に台所にある材料で対応しなければならない場合もあります。つまり、料理とは『理想のお嫁さん』に絶対に欠かせない技能ということです』

『なので今度は皆さんに、料理を作ってもらうよ。準備をするんでちょっと待ってね』


 ルナの声に壺&机が片付けられ、今度は10名の前に簡易台所が用意される。

 他にも食材を乗せた台が集められて準備されていく。

 その間に、ミューアが最終種目のルールを説明する。


『最終種目に残った皆様には、あるテーマに乗っ取り1時間以内に料理を作ってもらいます。今回も審査員は護衛メイドのシアさんに勤めてもらいます。シアさんに料理を食べてもらい、最も美味しかった人が優勝となります。シアさん、よろしくお願いします』


 シアが観客、10名の少女達にそれぞれ一礼する。


『でもシアの腕前がどの程度か分からないと、審査に納得できないでしょ? なのでシア、これからちょっと何か作ってみて。ちょうどルナ達も小腹が空いたから、なにか食べたいし』


 シアはルナの無茶振りに一礼すると、食材が置かれた台へと向かう。

 彼女専用に余分に作られた台所へ向かい調理かい――終了!? だから早すぎるだろ!

 シアは涼しい顔で皿に乗せた料理をルナ&ミューアが座る席へと運ぶ。


 シアは一度、マイクを借りて料理の説明をした。


『魚の香草焼きでございます』


 魚をおろし蒸して、最後に香草……葱に近いハーブをのせて熱した油をかける。これにより香草の匂いが魚に移って臭みが消える――と彼女が説明する。

 おかしい。そんな手間暇をかけた気がしないのだが。オレの感覚ではいつの間にか出来ていた気がする。

 しかし誰もそこには突っ込まない。


 ルナ&ミューアが食べて感想を告げる。


『これ美味しい! 魚って生臭いからあんまり好きじゃないけど、これ凄く食べやすいんだけど!』

『しかも余計な調味料を殆ど使ってないから、魚本来、素材の味を楽しめて美味しいですね。匂いも香ばしくて鼻をくすぐります』


 うわぁ、マジで美味そう。

 油で香草を焼いたせいか、グラウンド全体に美味そうな匂いが広がる。

 観客達もごくりと喉を鳴らすのが聞こえてくるようだ。


 ミューアが口をハンカチで拭いてから、営業スマイルで宣伝する。


『他観客の皆様は、小腹がお空きになった各露店が今回はイベントということで出店していますので、是非そちらでご購入ください』


 この宣伝で少なくない人数が露店へと移動する。

 実はこの露店を出すよう進言してきたのもミューアだった。

 彼女は露店から出店料を取っている。


 良い場所ならそれなりの値段を取るらしい。

 そのためああやって、宣伝をしたのだろう。

 ……まさかとは思うが、シアの料理も彼女が美味そうな匂いが広がる物とか指定したんじゃないだろうな?

 ミューアならやりそうだ。


「!?」


 そんなことを考えると、彼女がこちらに向き直り目が合いニッコリと笑顔を浮かべてきた。

 心を読むのは止めて欲しい。いや、マジで。


 ミューアは視線を観客達に戻すと改めてルールの説明をする。


『シアさんの実力も分かったところで、今回の種目のルール説明をします。制限時間は1時間。テーマに沿った品物で、時間内であれば何品でも作って頂いて構いません。あんまり欲を掻いて作り過ぎると、時間が足りなくなりますから気を付けてください。材料&調味料は目の前にあるのものを使用してくださいね』

『それじゃ最終種目、料理のテーマを発表するよ!』


 ルナがマイクを手にしたまま、食材が乗った台へと向かう。

 そこから1つのパプリカに似た食材を手にする。

 そのまま齧り付いた。


 彼女は満足そうに頷き飲みこ――『オェ……ッ!』と飲み込めず吐き出してしまう。

 おい、やんごとなきお姫様なにしてるの?


『リューとんが料理勝負の前はこれをやらないといけないって言ってたけど、これ本当に必要なの?』


 あっ、これオレのせいだ。

 昔、ネタというか冗談で言ったのを覚えていたのか……

 ルナはシアが差し出したコップの水を飲み干す。

 彼女は気を取り直し、元気よくテーマを叫んだ。


『最終種目、料理のテーマは『夕食』だよ! さぁ、料理スタート!』


 ルナの合図で10名の少女達が動き出す。


 少女はお盆を手にまずは食材が乗った台へと向かう。

 それぞれ目的の品物を手に取ると、調理台へと戻り料理を始める。


 席に戻ったルナとミューアが解説を始める。


『最終種目のテーマは夕食だけど、注目する点とかあるの?』

『そうですね。夕食というだけあり味だけではなく、家族の健康も考えてバランスのいい食事に気を付けるか。それとも友人達を招いた夕食会を想定して作るか。夫や子供の好みに合わせて好きな食べ物を作るか。意外と色々な方向性があるので、どの方向に合わせて作ろうとしているのか注目すると面白いと思いますよ』


 ルナの疑問に、ミューアがテンポ良く答える。

 ここに来て2人ともやりとりが随分スムーズになったな。

 観客達も納得し、少女10名の方向性をそれぞれ楽しげに議論しあっている。

 いい雰囲気だ。


『個人的に注目しているのは、クリスちゃんかな。一体どんな料理を作るんだろう。ずっと果物を切ったり、生クリームを作ったりしているけど。最初からデザートを作るつもりなのかな?』


 オレもクリスに注目していた。

 彼女が持ってきた材料は夕食というより、デザート物しかない。

 最初にデザートを作って、後半に夕食系料理を作るつもりなのだろうか?

 夕食をある程度簡単にして、プラスにデザートで豪華さを強調する的な?


『私が個人的に注目しているのはメイヤさんですね。彼女はかの有名な天才魔術道具開発者のメイヤ・ドラグーンですが、体力を競ったマラソン以外全て1位通過。天才は何をやらせても天才なのか? 今回の料理種目でもどんな夕食を作るのかちょっと楽しみにです』


 ミューアは上手くメイヤの知名度を利用し、観客達の期待値を煽る。

 そのメイヤは鬼気迫る勢いで中華鍋に似た鍋を振るい炒飯を作っていた。


「うぉおおぉ、ですわ!」


 さらに同時並行で挽肉をこね、細かく切った野菜を投入、繋ぎも入れる。

 湯を沸かし、卵をとく。

 寝かせていた小麦粉の生地を小さくのばす。

 まるで本物の料理人のように忙しく動き回る。

 というか、メイヤって料理作れたんだ。


 魔術で氷を作り出し、何かを冷やし始める。

 最初の種目では体力を測るため魔術使用を禁じたが、今回は解放されている。

 全ての技能で料理を作るのが嫁だからだとか。


 他少女達も最終種目に残っただけあり手際いい。

 どんどん美味そうな料理が仕上がっていく。


『30分経過。残り時間は後半分だよ!』


 ルナの声に少女達の動きがさらにあわただしくなる。


 さらに時間が経過。

 ルナがカウントダウンを始める。


『10秒前! 9、8、7、6、5、4、3、2、1――終了! はい、そこまで!』


 彼女の掛け声と共に少女達の手が止まる。

 無事、全員が料理を時間内に作り終えたようだ。


 各自のテーブルに料理が並べられる。


『それではシアさん、各自の料理を試食と感想をそれぞれお願いしますね』


 ミューアが席に残り、シアを促す。

 ルナは彼女の声を拾うため、シアの側へとマイクを手にかけ出した。


 まず最初にシアが向かったのはクリスのところだ。


 彼女の夕飯は――『山盛りパンケーキと生クリーム、季節のフルーツ添え』らしい。

 ミニ黒板にドヤ顔でクリスが文字を書き、ルナが読み上げる。

 これに対してシアは試食をせず判定を下した。


『クリス様は失格です』

『ちょっ! なんでクリスちゃんが失格なの! まだ食べてないのに!』

『料理種目のテーマは『夕食』です。クリス様がお作りになった品は夕食ではなく、おやつです。なので失格です』


 確かにあれは夕食というより豪華なおやつだ。

 クリスがショックを受け、ルナが援護するが判定は覆らない。

 シアは一度下した判定はたとえ主でも絶対に覆さない。

 1つ前の壺掃除でリースが証明済みだ。


 決定を覆すことができず、クリスは作った料理を手にオレ達の側へやってくる。


「残念だったな、最後まで残ったのに」

『本当に残念です。パンケーキは夕食としても食べられて、美味しいんですが』


 気持ちは分かるが、男としては山盛りの生クリームを夕飯としては食べたくないかな。

『甘味』だけじゃなくて、他の味も欲しい。


 クリスが作った料理をスノー達と分け合い食べながら、シアの審査を眺める。


 クリスの他、2人終わったところで次はメイヤの番だ。

 ルナがマイクを向け、夕食テーマタイトルを告げてもらう。


『わたくしはの夕食は、『愛するあの人――我が夫(仮)のお好きな竜人大陸伝統料理』ですわ!』


 メイヤが作った料理は餡かけ炒飯、卵スープ、焼き餃子、デザートにフルーツゼリーが並ぶ。

 夕食テーマタイトルは『あいたたた』だが、品物自体は凄く美味そうだ。


 餡かけ炒飯も細く肉を切り、濃いめの味付けがされ炒飯にとろりとかけられている。

 焼き餃子は野菜が細かく入れられており、卵スープも優しい味がして美味い。

 最後にデザートとして甘過ぎない冷たいゼリーがあるのは嬉しい。


 メイヤと結婚する夫の好みに合わせた料理を作ったようだ。

 これが見事、オレの好みと一致するんだよね……不思議だな~。

 メイヤが得意満面の笑顔でこちらを見てくるので、苦笑いを返しておいた。


『……どれも美味しいです。仕事が丁寧でスープ、おかず、メイン、デザートとバランスも取れています。野菜を細かく切り餃子にしたのも良い点です。これなら野菜嫌いな子供でも美味しく食べられます。ただがっつり系が多いので、女性には嫌がられるのが注意点ではありますが』


 シアがポイントを押さえたコメントをマイク越しに告げる。

 彼女は地球の料理番組に出しても人気が出そうだな。


 メイヤが終わると次へと移る。

 こうして最後まで全員が作った料理をシアが批評した。


 一口ずつだが最終種目に残った9名(クリス失格のため)の料理全てを口にする。

 そんな彼女がルナ達が居る席へ移動。

 腕を組み暫し考え込む。

 いつも最善手を即座に導き出すシアにしては珍しく、熟考しているようだ。

 迷ったすえ、ついにシアが動く!


 ルナの耳元に優勝者の名前を告げた。

 ルナは『ふむふむ』と頷く。

 シアが離れると、彼女は元気よくマイクへと叫ぶ。


『ついに『理想のお嫁さん選手権』の優勝者が決まったよ! シアも珍しく悩んでいただけに今回はレベルが凄く高かったみたいだね! それじゃ前置きはこれぐらいにして優勝者の発表をするね! 栄えある『理想のお嫁さん選手権』優勝者は――どるるるるる――』


 ルナは器用に舌でドラムロール的音楽を流す。

 それもどこで覚えたんだ?


 緊張感がピークに達したのを察して、ルナが今まで一番の声をあげる。


『メイヤ・ドラグーンンンンンン!』


 名前を告げられると一瞬の静寂。

 その後、歓声と拍手が津波のように押し寄せる。

 優勝者のメイヤも自身の名前が呼ばれ、喜びを全身であらわす。


 この後、シアから1人ずつの寸評を簡単に入れられ、他少女達も負けはしたが本当に僅かな差でしかなかったことを彼女は強調した。

 観客達も残った少女達に惜しみない拍手を送る。


 こうして『理想のお嫁さん選手権』は、メイヤの優勝で幕を閉じた。




▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼






「リュート様! みてくださいまし! わたくし、優勝しましたわ!」


 メイヤは全ての勝負に打ち勝ち、ルナから手渡された『理想のお嫁さん選手権』のタスキをかけて、リュートの元へと駆ける。

 リュートもメイヤを笑顔で出迎えてくれた。


「メイヤ、おめでとう! まさか優勝するとは思わなかったよ」

「これも全てリュート様が応援してくださったからですわ! リュート様の応援する声がわたくしの耳に確かに聞こえました! 『オレの愛しい一番弟子にして正妻のメイヤ! オマエなら絶対に優勝できる! だから頑張れ!』と。あの熱い応援がなければわたくしは、一種目のマラソンで敗退してましたわ」

「声に出して応援した記憶がないん――」

「だからこそ! この優勝は全てリュート様あってこそ! つまり、この『理想のお嫁さん選手権』の優勝者はリュート様と言っても過言ではありませんわ!」

「それだとオレがお嫁さん側になるから違うだろう……。まぁとりあえず、優勝おめでとう。それじゃオレは片付けの監督があるから。また後でな」

「ありがとうございます! ……あの、それだけですか?」


 リュートは再度祝いの言葉を告げると、自身の仕事に戻ろうとする。

 メイヤはそんな彼を慌てて引き止めた。


「? ああ、まだオレの監督仕事が残っているからな」

「そうですが、そうではなく! もっと他に伝える言葉などありませんか? 多分残っていると思うのですが」

「他に伝えること?」


 リュートは足を止め、腕を組み考える。


「ああ、そうだ! ひとつ言い忘れてことがあった」

「もうリュート様のあわてんぼうさん☆ でもそんなところも素敵ですわ!」

「この後の打ち上げ会場はミューアが押さえているから、片付けが終わったら一旦彼女の側に集合な」

「……えっ?」

「それじゃ悪い。本気で片付けの監督をしないといけないから」


 そして、リュートはメイヤを残し、片付けの監督役をするために皆の元へと向かう。

 メイヤは1人『理想のお嫁さん選手権優勝者』のタスキを肩にかけ、呆然としていた。


「……えっ?」


 そして祭は終わりを告げる。




▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼







 さて――オレことリュートから、『理想のお嫁さん選手権優勝者』の後日談を簡単に報告したいと思う。


 片付けを終えた後、ミューアが確保した打ち上げ会場に皆で雪崩れ込んだ。

 彼女が予約した打ち上げ会場は、ココリ街にある某高級甘味店だった。しかも、食べ放題、飲み放題だと言う。


 なんでもメイヤが自腹で今回の打ち上げ会場を確保したらしい。

 なぜか理由までは分からないが、『理想のお嫁さん選手権』がよっぽど楽しみだったのか?


 その優勝者であるメイヤは、まるで燃え尽きた真っ白な灰のように椅子に座って机に体を投げ出していた。

 よっぽど昼間のイベントが堪えたのだろう。

 メイヤも基本的に運動系ではなく、体を動かさない研究職だからな。

 今日は色々疲れたんだろう。そっとしておいてやろう。


 また『理想のお嫁さん選手権』を通して、奮闘する少女達を目の前にした男性陣が、今度は頑張ってアプローチを始めたらしい。

 特に最後まで残った8人の少女達(クリス&メイヤは除く)に、男性陣がデートの誘いが集まっているとか。


 8人以外にも、彼女達の頑張る姿を前に胸をときめかせた男性達が、目当ての女の子に交際を申し込んでいるらしい。

 ミューア曰く、商店の人々も喜んでくれているとか。早くも第二回の開催を開こうという声が出ているとか。

 とりあえず、どうやらイベントは特別な問題も起きず、皆に喜ばれたようで何よりだ。


 唯一、問題があるとしたら――なぜかシアに最も多く交際申し込みが集まっている。

 商店でも大店のところからお見合いの席を是非設けて欲しい、ウチの息子の嫁として是非嫁いで欲しい、との問い合わせがPEACEMAKER(ピース・メーカー)本部へと多数押し寄せている。


 本人は『自分は若様、奥様方に仕えるメイドです。自身の結婚に興味はありません』と一蹴。

 申し込まれる見合い話を断り続けている。


 そりゃあの体力、知力、掃除力、料理力を見せ付けられたら『是非』という声が挙がるのは当然だろう。

 もし次があるなら、もう少し自重するよう釘を刺しておこう。


 さらに問題があるとしたら、メイヤが選手権以降、元気がないぐらいだ。

 よっぽど疲れたのだろうな。

 近日中に連休などを作りゆっくりと休ませてやろう。


 とりあえず個人的には大きな問題が起きず終わってくれてほっとしている。


 二回目を開く際も大きな事故、怪我、問題がないことを祈っている。




 こちらは軍オタ3巻発売『なろう読者向け特典SS』になります。


 とりあえず……書きすぎた……。

 特典SSだから『短めのやつをさくっと書くか』とか思っていたら、いつもアップするシナリオ文章の約2倍もある話を書いてしまった。

 なにやってんだろうオレは……。

 いや、楽しく書けたけどね!


 いつもは活動報告にアップするのですが、なにぶん文章量が多いため本編にアップさせて頂きます。なろうシステム的に文章量が多すぎると、活動方向ではアップできないので。


 さてさて、兎に角、今回の話は『理想のお嫁さん選手権』です。

 ぱっと頭に思い浮かんだネタで、『リュートの嫁(候補を含む)で一番嫁力が高いのは誰だろう?』と思ってプロットも作らず書いてみました。

 結果はご覧の通りです。


 書いてて思ったのは『意外とメイヤの嫁力って高いんだ』ってことでした。

 なのになんでいつまで経ってもリュートと結婚できないんでしょうねー(棒)。


 そんな感じで3巻小説もメイヤ、軍オタ3巻発売『なろう読者向け特典SS』もメイヤ、軍オタ3巻購入者特典もメイヤ――とメイヤ尽くしでした。


 途中で書いててメイヤゲシュタルトが起きそうになりました。

 書きすぎて混乱してきて『メイヤの口調ってこれであっていたっけ?』と疑心暗鬼になりました。

 そのたびに手元にある軍オタ3巻やネット版を読んで口調などを確認しました。作者なのに……。


 と、そんな感じでメイヤでいっぱいの3巻&特典SSでした。


 引き続き軍オタ1、2巻も発売中なのでまだ読んでいない方は是非よろしくお願いします。

 硯様の4コマなどもお薦めです。


 今回の3巻は特に面白く、あんなの絶対笑ってしまいますわ(笑)


 なので是非ご購入頂きチェックしてくださると嬉しいです。


 それではこんな感じで。

 また通常の更新に戻ります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 外見も能力もハイスペックなのにその変態性溢れるエキセントリックな言動でそれら全てを爆破粉砕してしまう残念な女メイヤ……ある意味、伝説級の逸材かもしれないな
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