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軍オタが魔法世界に転生したら、現代兵器で軍隊ハーレムを作っちゃいました!? 作者:明鏡シスイ

12章

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第233話 洞窟での戦い

「ふんぬぅッ!」

 旦那様の一撃で、一つの建物が崩壊する。
 しかし、オレはすでにそこから退避しているため、怪我一つ負っていない。

 舞い上がる埃を掻き分け、オレは次の予定地へと向かった。

「はははっはあは! リュート、逃げているばかりでは我輩には勝てんぞ!」

 背後から聞こえてくる笑い声。

(埃が舞い上がっているのによくそんな大声で笑ったりできるな……)とオレは明後日な方向の疑問を抱く。

 別に旦那様の言うように、ただ逃げているだけではない。
ある狙いのため、旦那様を洞窟内に広がる建物群へと引き摺り込んだのだ。

 その一つが行動の制限だ。

 旦那様の身長は2メートル半以上ある。
 背丈だけではなく、手足も長い。
 そのため建物の内部だとどうしても動きが制限されてしまう。

 お陰で一対一にも関わらず、未だになんとか生き残ることが出来ている。

 そしてもう一つの目的は、建物群内ならトラップを多数しかけることが出来るからだ。

 相手は『爆発反応装甲』のような魔力装甲で守られ、主砲のような攻撃力があり、見た目以上にフットワークの軽い機動力を持つ。
 さらに、傷を負ってもすぐに膨大な魔力ですぐに治るオート治癒までついている。

 そんなチート生物の怪物を相手に、馬鹿正直に広い場所で戦っていたら絶対に勝てない。

 戦車相手に、平野で正面から戦うようなものだ。
 漫画やアニメ、映画などなら主人公や仲間達が力と勇気を合わせて勝つだろう。
 しかし現実的に、その状況で勝つのは難しい。

 なら勝利を掴む状況を作ってやればいいのだ。

 それが建物群がある市街戦だ。

 現代の戦争でも遮蔽物の多い市街戦でRPGに戦車がやられることは多々ある。
 また昨日、オレ達は旦那様に気付かれないように様々なブービートラップ&武器を随所に設置しておいたのだ。

 オレは住宅の一つに扉を開けて転がり込む。
 入り口側に置いておいた手榴弾を手に取ると、ピンを抜く。
 ピンを抜いた手榴弾の安全レバーをドアノブ部分に挟んで固定。
 もっとも簡単なブービートラップが完成する。

 オレはすぐさま部屋を窓から抜け出す。
 立てかけておいたパンツァーファウスト60型を手に、発射準備をする。
 準備をしていると、窓から爆発音、破片、衝撃波などが吹き抜ける。

 旦那様が扉を不用心に開けたため、ドアノブに固定していた手榴弾の安全レバーが外れて爆発したのだ。

 オレは煙が収まるのを待たずに、窓から扉へ向けてパンツァーファウストを発射!
 弾頭が高速で、煙の先に居る筈の旦那様へと向かう。
 オレはすぐさま頭を引っ込めて、地面に倒れるように俯せになる。

 手榴弾以上の爆発が起き、窓という窓から種撃波が吹き出す。
 この程度で倒せるなら、3日前に倒せている。
 そのためオレは旦那様の傷の有無も確認せず、すぐにその場を移動した。

(大分、意識を足下からそらすことができたな)

 オレは作戦通り、次の予定地へと移動する。

 旦那様に効果がないと分かっていながらパンツァーファウストやブービートラップなどを仕掛けていたのには理由がある。

 最後の最後で勝負を決めるため、足下から注意をそらそうとしていたのだ。

 そのため先程からずっと上半身を中心に狙いをつけ、攻撃をしかけていた。

 オレが旦那様と1対1で戦っているのも、昔の模擬戦を懐かしんでいるからではない。

 多数で攻めたら、旦那様は上下左右全ての空間に注意を払うのは確実。そうなったら最後の攻撃が決まる確率が低くなってしまう。
 だから、旦那様の注意を自分だけに注がせるため、あえて1対1を挑んだのだ。

 そしてオレは旦那様を倒す攻撃をしかけるため、建物群でももっとも大きい屋敷へと入り込んだ。

 あらかじめ準備していた場所、床下に潜り込み待機する。

 アメリカ海兵隊が、テロリストと戦う際――相手は場所を選ばず戦いを挑んでくる。
 しかもその戦う距離がかなり近い場合がある。

 このような戦闘は『近接戦闘(Close Combat)』と呼ばれ、イラク市内でおこなわれた戦闘では、テロリストは予想外の場所から攻撃をしかけてくる等、わずか数メートルの距離で戦うことも多かったらしい。

 オレも今回はテロリストに倣い、意外な場所から旦那様を攻め落とそうと考えた。

 狙いはもっとも魔力の壁が薄いだろうと思われる足の裏だ。
 これならいくら旦那様でも傷を負わせることができるだろう。
 そのため下半身を狙わず、上半身ばかり集中的に攻撃を加えて意識をそらしたのだ。

(来た!)

 旦那様が玄関から入る扉の音が聞こえてくる。

 旦那様は無警戒に一定の速度で奥へと進む。

 オレは昨日、練習した通り意識をとぎすませ足音に耳を傾ける。

(ここだ!)

 タイミングを合わせて発砲!

 SAIGA12Kから銀毒を塗りたくったスラッグ弾が飛び出す。

 スラッグ弾は狙い通り床下を破り、旦那様の足裏へと迫る!

「なっ!?」

 しかし、旦那様は当たる刹那、ギリギリで素早くバックステップ。
 スラッグ弾は天井へと深くめりこみ終わった。

 旦那様はオレを見下ろしながら、

「はっはははははあ! 駄目だぞリュート! そんな分かりやすい手を使っては! 確かにリュート達の想像通り足の裏の魔力は薄いが、我輩の防御を破れないと知った相手がよくやる手だからな! 対処のしかたなど飽きるほどやってきたぞ!」
「そんな!? 聞いてませんよ!」

 旦那様が笑い声を上げながら、右腕を振りかぶる。
 オレは咄嗟に肉体強化術で身体を補助。
 無理矢理、床下から退避する。

 ギリギリのところで、旦那様の右打ち下ろしを回避。
 しかし、旦那様はすでに左拳を固めて待ち構えていた。
 チェスや将棋のように理詰めで追い詰められていく。

 オレはSAIGA12Kを楯にして抵抗陣を形成しながら、後方へ自らバックステップ!

「ふんぬっ!」
「ぐぅッ!?」

 しかし、旦那様の左ストレートはその程度では防ぎきれず、オレは蹴られたボールのように窓といわず壁を突き破り中庭まで吹き飛んでしまう。

「げほ! ごほ! ぐうぅッ!」

 オレは中庭の後方まで転がり、地面に向けて口内に溜まった血を吐き出す。

 この中庭は洞窟内にある建物群には珍しく、中庭は柔らかい土で植物が綺麗に植えられていた。

 旦那様の一撃は強烈だったが、地面が柔らかかったのと、自ら大きく後方へ飛びSAIGA12Kを楯にしたお陰で全身は痛むが動くのに支障はない。

 オレの身代わりとしてSAIGA12Kは粉々に砕けてしまったが……。

 旦那様が崩れた壁から姿を現す。

「最後の作戦は失敗し、リュートの持つ魔術道具も壊した。どうやらこの勝負、我輩の勝ちのようだな」
「まだです! オレはまだ負けていません!」

 オレは口元を拭い立ち上がると、拳を握り構える。
 素手になっても旦那様を倒すという気概を見せた。

 これにたいして旦那様は、さりげない動作で周囲を警戒する。

「ご安心してください。この勝負はあくまでオレと旦那様の1対1。伏兵を潜ませるなんて卑怯なマネはしません」

「そうかそうか。疑うようなマネをしてすまない! ではリュートを倒し、この勝負の終わらせよう!」
「くぅ……ッ」

 オレはゆっくりと歩き距離を縮めてくる旦那様に対して、ジリジリと後退する。
 だが、その動きはすぐに壁にぶつかり阻まれてしまった。

 身体強化術で体を補助。
 覚悟を決めて、拳を硬く握り締める。
 そんなオレに旦那様は話しかけてきた。

「リュートはよくやったぞ。我輩をここまで楽しませてくれた人物は久しぶりだ! だから我輩を倒し、連れて帰れないことを気にする必要はない。我輩は自分の意志でここに残っているのだからな!」

 旦那様は歩みを止めず慰めの台詞を言う。

「それにリュート達が彼女のことを知る必要はない。この世界には『知る必要がない』ということはえてしてあるものだからな。リュート達……クリスには何も知らずただ幸せになって欲しいのだ。親の我が儘だと思ってくれればいい」
「いえ、旦那様は必ず魔人大陸へ連れて帰ります」

 オレは断言する。

「それがクリスの……オレの嫁が願う幸せだからです!」
「……そうか。では、我輩を倒してみるがいい! 息子よ!」
「はなからそのつもりですよ!」

 オレは膝を沈め、地を蹴り矢のように旦那様へと迫る。

 旦那様も大きく踏み込み、右拳を振り上げた。

「――ぐがぁッ!?」

 だが、旦那様のその最後の一歩が勝敗を分ける。

「トラップ……だとッッ!?」

 旦那様の踏み込んだ左足に無数の(ダーツ)が突き刺さっていた。
 もちろん、(ダーツ)には銀毒がタップリと塗ってある。

「……ッ!」

 銀毒に犯された旦那様の魔力壁が歪む。

 オレはそのまま右拳を旦那様の腹部へ叩き込んだ。

「ぐうぅ!」

 歪んだ魔力壁は『爆発反応装甲』のような防御力を誇っていたのが嘘みたいにあっさりと突き破られ、右拳が分厚い腹筋に突き刺さる。
 相変わらず分厚い鉄板に、頑丈で柔軟なゴムタイヤを幾重にも巻いたような感触だが、旦那様の表情からダメージを与えた感触を得る。

 オレは返す刀で旦那様の顎を打ち抜く。

 もちろん銀毒に犯されようと手加減はしない。
 相手が旦那様だからだ。

 しかしさすがに顎を打ち抜かれたのは効いたのか、その場に膝をついてしまう。

 旦那様は口端から赤い血を流し、愉快そうに笑う。

「まさか最後の最後で罠がしかけられていたとはな! すっかりリュートの演技に騙されたぞ!」
「こっちは最後の罠が本当に決まるかドキドキものでしたよ。できるならもう二度とやりたくありません」
「ははははははあ! 全然そうは見えなかったぞ! しかし、最後どうやって我輩の足に矢を突き刺したのだ? 人が隠れている気配も、魔術的な罠もなかったはずだが?」

 旦那様の疑問にオレは素直に答えた。

 オレが最後にしかけた罠はベトナム戦争時代、良くしかけられたブービートラップの一種だ。

 丸い筒を切り、中に弾薬(カートリッジ)を入れて地面に埋める。
 相手がその弾薬(カートリッジ)を上から踏むと弾丸が発射されるという仕組みだ。

 他に似た罠として、砲弾に圧力式(踏んだり、その上に乗ったら爆発する罠)の信管を付けて地面に埋めて簡易地雷にすることができる。この地雷は砲弾が登場した初期頃にはすでに登場していたらしい。

 今回は12ゲージの(ダーツ)に銀毒を塗ったポイズンフレシェット弾を、魔術液体金属の筒にセットし地面に埋めた。

 ポイズンフレシェット弾は実在する武器である。

 この罠を思いつけたのも、ギギさんの『銀のナイフなら近接で戦えば傷を与えやすい』というアドバイスがあったからだ。
 だからオレは(ダーツ)に銀毒を塗ったポイズンフレシェット弾のブービートラップ化を思いつくことが出来たのだ。
 ちなみに12ゲージには約20本の(ダーツ)が入る。

 オレがこの建物群で一番大きな建物を選んだのも、床下などに隠れ易いためではない。
 他の建物とは違って中庭の地面が柔らかい地面だったからだ。
 ここならポイズンフレシェット弾の罠を仕掛けることができる。

 また旦那様が他襲撃者から、『足裏の魔力が薄い』と見抜かれ奇襲を受けていたことは予想できた。だから、旦那様の意識をそらすため、オレの切り札が床下に潜み銀毒を塗ったスラッグ弾だと勘違いさせた。

 後はオレ自身が、ポイズンフレシェット弾を踏まないよう自ら後方へと飛ぶ。
 また旦那様に万策が尽きたと思わせるため、わざとSAIGA12Kを楯にして壊させたりした。
 SAIGA12Kは勿体なかったが、お陰で旦那様の油断を誘うことが出来たのだから諦めよう。

 一通りの説明を聞くと、旦那様が左足を庇いながら感心したように頷く。

「まさかそこまで考えていたとは……我輩の完敗だな」
「それじゃ!」
「ああ、負けたからには約束通り、リュート達に従おう。銀毒に犯されたヴァンパイアは動くこともままならぬからな。毒をもられた時点で我輩に勝利はない」

 旦那様の言葉通り、圧倒的魔力でオートで治癒するはずなのに、足裏の傷はいっこうに癒えない。
 銀毒に犯されているため、うまく魔力が動かないのだろう。

「ありがとうございます! ならすぐに皆を呼んで反銀薬アンチシルバードラッグを用意しますね」
「うむ、頼む。だがその間にリュートに話しておきたいことがある」

 旦那様は真剣な表情で告げてくる。

「守護者である我輩は負けた。だから、リュート達には彼女と会う権利がある。しかし、彼女が語るこの世界の真実を知ってもどうか心を強く保って――ッ!?」
「旦那様!?」

 突然、旦那様の背中から血が噴き出す。

 まるで鋭利な刃物に切られたようにだ。

 そして、先程まで何もなかった空間から女性、少女達が姿をあらわす。

 手を旦那様の血で濡らしている、尖った耳に緑の瞳、顔立ちがどこかリースに似ているハイエルフの女性。

 その背後に他、少女達が並ぶ。

 さらにその中で異彩を放っている1人の女性が居た。

 黒いドレスに手袋、背中に流れる黒髪。
 顔まで黒のレースで隠しているため、まるで闇が人型をしているようにも見える。

 彼女は蕩けるほど甘い声音で話しかけてきた。

「ようやく、お会いできましたわ。リュート様……私の愛しい人」



 こうして、オレは初めて『黒』のトップと顔をあわせた。


ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!
明明後日、12月11日、21時更新予定です!

ちょうど昼間に気まぐれで買った『カット よっち○ん』を開いたら、『30円カットよ○ちゃんあたり』とクジが当たりました! 今まで生きてきて初めて当たりましたよ。まぁ、滅多に買わないってこともあるけど。
ちなみに『カット よっち○ん』を勢いに任せて、大量にほおばったら盛大にむせました。久しぶりに食べたから、酢のあたりの強さを忘れていたよ……。
また『カット よっち○ん』当たったのはいいけど、買ったコンビニで交換してくれるのかなこれ……。

また、軍オタ1巻、引き続き発売中です。
まだの方は是非、よろしくお願いします!
(なろう特典SS、購入特典SSは10月18日の活動報告をご参照下さい)
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