挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
軍オタが魔法世界に転生したら、現代兵器で軍隊ハーレムを作っちゃいました!? 作者:明鏡シスイ

1章

2/479

第1話 異世界に輪廻転生

 ゆっくりと水面に顔を出すように、、堀田葉太(ほったようた)は意識を取り戻しまぶたを開く。

(……ここは病院か?)

 覚えている最後の記憶は、元イジメ主犯格の1人に、包丁で滅多刺しにされた――というものだ。
 病院に運ばれ、運良く一命を取り留めたのだと思ったが、どうもそんな感じではない。
 ふかふかの真っ白なシーツの上に寝かせられているが、なぜか自分の隣に赤ん坊が眠っているのだ。

(赤ん坊と一緒に眠ると、傷の治りが早いとかっていう最新治療でも実地している病院なのか?)

 仮に100歩、いや、1万歩譲ってそういう治療があるとしてもだ。
 なぜ、隣で眠る赤ん坊の耳が犬耳なんだ。

 最初は作り物かと疑ったが、銀色の毛並みやぴくぴくと動く様子、目の前にある存在感が本物だと訴える。
 もしかしたら突然変異や人体改造などによって生み出された子供なのかもしれない。
 そんなことを考えていると1人の女性が覗きこんでくる。

「―――、―――、――――」

 日本語ではない。聞き覚えのない言語で話しかけてくる。
 だが、注目すべきは言語だけではない。
 彼女の容姿だ。

 歳は20代前半ほど。背丈は女性にしては高く、巨乳に分類できるほど胸もある。
 やや垂れ目だが、お陰で誰もが安堵するような穏和な表情の美女だ。

 何より目を引くのは彼女の髪が薄いピンク色で、頭からウサギのような耳が生えているのだ。
 彼女は嬉しそうに笑顔を浮かべ、ウサギ耳をパタパタと動かす。
 決して作り物には出せない、生の反応だ。
 彼女は腕を伸ばし、オレを抱きかかえる。

(嘘だろ! オレは一般的な成人男性としては少し小柄だが、女性が楽に抱きかかえられるほど軽くないぞ!?)

 だが、彼女は苦もなく抱きかかえ、あやすように体を揺すったりもする。
『ウサギ耳の人外だから、気軽にかかえられるのかもしれない』と疑ったりもしたが、すぐに正解を知ることができた。

(な、なんじゃこりゃぁぁぁぁあッ!)

 ウサギ耳の女性に抱えられる自分の姿が、うっすらと窓ガラスに映る――そこには女性に抱えられる黒髪の赤ん坊が映っていた。

「おぎゃぁぁ、おぎゃぁ!」

 口を動かし、声を出す。
 そこに映っているのは間違いなく、自分自身だった。



▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼



 気持ちを落ち着かせるために幾ばくかの日数が経過した。
 色々、驚くべき事態が続いている。
 落ち着けオレ、クールになれ……まず現状をひとつずつ確認しよう。

 元イジメッ子に刺されて目を覚ますと、自分は赤ん坊になっていた。
 大きな木のベッドに赤ん坊と一緒に寝かされている。
 隣に寝ている赤ん坊の髪は銀色で、耳がアニメやマンガに出てくる獣キャラクターのような犬耳をしていた。
 よく部屋に様子を見に来る女性の耳も、人のものではない。ウサギ耳だ。
 獣耳の人しかいないわけではなく、彼女の他に海外にいそうな胴回りが太いおばちゃん達が入ってきて、赤ん坊のおしめを替えたり、ミルクを飲ませたりしている。
 おばちゃん同士で会話をしているが英語でも、ロシア語でも、中国語でもない。

「――――――、―――」
「――、――」

 ウサギ耳女性が部屋に入ってくると、おばちゃん達と友好的な態度で会話を始める。
 彼女は隣の犬耳赤ん坊を抱き上げた。
 頭に手を置く。
 その手が仄かに光り出す。

「――! ――、―――」

 女性は嬉しそうに喋り、相好を崩した。
 次はオレの番。
 同じように抱き上げられ、手のひらを頭に乗せられる。

「――――……」

 オレの時は同情するように、哀れみの表情を向けられる。
 理由が分からず、オレ自身どう反応していいか戸惑ってしまった。

「――、――――」
「――――! ――――」

 ウサギ耳女性とおばちゃん達は会話をしながら部屋を出て行く。
 とにかく、自身が置かれている現状をもっと詳しく把握するためにも彼女達の話している言語を理解する必要がある。
 だから、オレはひたすら彼女達の言葉に耳を傾け続けた。



▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼



 意識を取り戻してから、約1年後。
 文字を書いたり、読めたりはできないが彼女達が何を話しているのか理解できるようになってきた。
 赤ん坊になったお陰で脳みそが柔らかくなったからだろうか。
 渇いたスポンジが水を吸うように、聞いているだけで言葉を覚えていく。

 彼女達の言葉から、現在の状況を整理すると――今、オレがいる場所はアルジオ領ホードという小さな町の孤児院で育てられている。
 町の総人口も千人に満たない。
 本当に小さな町だ。

 アルジオ領、ホード――どれも聞き覚えがない地名だ。
 外国に行けばあるのかもしれないが……。
 いくら海外でも犬耳やウサギ耳などをしている人は絶対にいない。

 どうやら自分はあの時、やはり殺されたようだ。
 そして地球とは別の異世界に、前世の記憶を所持したまま輪廻転生――生まれ変わってしまった。
 でなければ現状の説明がつかない。

 ウサギ耳女性は『エル』という名前らしい。この孤児院の立ち上げた張本人だ。
 おばちゃん達からは『エル先生』と呼ばれ、慕われている。
 どうやらこの世界には、ウサギ耳だからといって差別する風習はないようだ。

 そんな彼女達の話を統合すると約2年前、自分は生まれてすぐ孤児院の前に籠に入れられて捨てられていた。
 丁度同じ日、隣に寝ている犬耳の赤ん坊も一緒に捨てられていたらしい。

(2年前ってことは今、オレは2歳になるのか……)

 籠には『リュート』と刺繍された絹のハンカチが入れられていた。
 この『リュート』が自分の名前らしい。

 オレは諦観に近い感情に襲われる。
 知り合いがイジメられているのに目を反らし、自分が助かるための生け贄として捧げた。
 結果、田中を自殺に追い込む片棒を担いだ。
 その罪が廻り廻って、イジメ主犯格に殺され、生まれ変わったら両親に捨てられ孤児になったのだ。

 絵に描いたような因果応報。

 ……だからこそ、オレは決意する。

(この世界、この人生では強くなろう。勇気を持ち、七難八苦があろうとも逃げ出さず、助けを求める人がいれば絶対に力を貸そう。人助けをしよう。それが田中を見捨てて殺されたオレの罪滅ぼしだ……)

 こうしてオレ、堀田葉太あらため――リュートは自身の生き方を決意した。
ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!
次回投稿は11月24日(明日)予定。暫くは毎日更新の予定です。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ