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軍オタが魔法世界に転生したら、現代兵器で軍隊ハーレムを作っちゃいました!? 作者:明鏡シスイ

10章

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第170話 作戦会議

 スノーの両親がオレ達の住むイグルーに顔を出したのは、問題が発生したためだ。
 その問題とは――領主の息子アムが実弟を連れて城を飛び出したらしい。
 なんでも、父であるトルオ・ノルテ・ボーデン・スミスが錯乱し、アム達を幽閉しようとしたとか。

 この報告を届けたのは、アム&実弟を村に誘導中のメンバーの1人だ。

 アム達本隊組は、実弟が魔術師でもない一般の人種族のため体力的に移動速度が遅い。休憩を多めに取り、村へ向かっているらしい。
 移動速度が遅すぎるため、白狼族の1人が先行して情報を伝えに来たのだ。

 詳細は明日、夕方にアムが村に着いたら本人から聞く。
 スノーの両親は、その時の会議に出席して欲しいとオレに伝えに来た。

 そしたら、娘が昼間から夫とライトなプレイをしていたと……。
 本当、すみません、ごめんなさい……。

 そして、翌日の夕方。
 アムと実弟、側近達が白狼族の村へと辿り着く。
 夕食を終え、日が落ちた夜。
 オレ達は白狼族の会議に出席した。



 白狼族の代表者は、長老的人物3人。
 スノー父を含めて成人男性3人の計6人。
 さらに、領主の息子であるアム、そしてアムの実弟の2人が加わる。

 オレ達はPEACEMAKER(ピース・メーカー)メンバー全員、6人が参加。

 現在、大きなイグルーには14人が膝をつき合わせている。

 シアが慣れた手つきで、皆に謎ジャム入り香茶(かおりちゃ)を音もなく配る。
 まだ村へ滞在して2日目なのに、その動きに迷いがない。まるで何年も務めているような態度だ。

 香茶(かおりちゃ)をシアが配り終わったところで、まずは自己紹介から入る。

 白狼族側の自己紹介が終わると、アム達が名乗りを上げる。

「スミス家長子、魔術師Bプラス級アム・ノルテ・ボーデン・スミス。以後お見知りおきを」
「同じく、スミス家次男、オール・ノルテ・ボーデン・スミスです。兄様がいつもお世話になっています。また自分が足手まといになったせいで、到着が遅れてしまい申し訳ありませんでした」

 オールは挨拶の後、申し訳なさそうに頭を下げる。
 美少年――場合によっては男装した美少女にも見えるオールに謝罪されて、それ以上批難出来る人物はいない。
 到着が遅れた話はここでお終いだ。

 会議にはアムだけではなく、実弟のオールにも参加してもらった。
 城内で起きた出来事をなるべく詳細に聞いて、把握するためだ。

 そして、オレ達もオールに対して自己紹介する。
 スノーが挨拶をすると、なぜかアムが自慢げにオールへ聞かせる。

「どうだ、オール。美しい女性だろ? 彼女が将来、義理の姉になるんだぞ」

 誰が将来の義姉だ。
 実弟のオールは自信溢れる兄の言葉に、苦笑いだけを浮かべた。

 そして、話は城内の件に移る。
 どうしてアム達が、城を飛び出し逃げてきたのか……。

「ふっふーん! それではぼくがどうやって華麗に父上の魔の手から、弟や部下を連れて抜け出したのか聞かせてしんぜよう!」

 アムはまるで英雄譚の語り部のように喋り出す。
 何度もオールがフォローを入れて、謁見の間で起きた詳しい出来事を把握する。

「……まさか本当に領主が、実の息子を幽閉しようとするとは。あの街ももう長くないのかもしれないな」

 スノーの父、クーラが感想を呟く。
 他の白狼族代表者達も似たような感想だと、表情で物語っていた。

 アムも珍しく、真剣な顔で頷く。

「悲しいことだが、現在の父上はぼくの目から見てもおかしい。まるで魔王にでも取り付かれているかのようだ。父上をこれ以上放置することは、貴族としても息子としても――また民の平穏のためにも、許すことは出来ない」

 彼ははっきりと断言した。

「父上には領主の座から降りてもらおう。たとえ、力づくでもだ」

 イグルー内部を沈黙が埋める。
 他者の心臓音すら聞き取れそうな静寂だった。

「……でも力づくって、どうやって領主に近づいて取り押さえるつもりだ? 第一それで民衆は納得するのか?」

 オレの質問にオールが答える。

「民衆に関しては……父様の政策に不満を持つ人々は少なくありませんから、領主の座から降りることに納得する者は多いと思います」

 トルオのとる政策で、一番不満を覚えられているものは流刑地建設についてだ。
 流刑地を建設し、大量に犯罪人を受け入れる――やりたいことは分からないではないが、あまりにも強引に進めすぎている。彼は他大陸の貴族や王国に認められようと無理をしすぎている。
 さらにトルオは他大陸に顔を売るため、新たに流刑地を建設する手続きをしている。税なども上がり、また自分達が長年住む北大陸を『田舎だから』と流刑地扱いされ、不満を覚えない民はいない。
 ましてやトップが率先して進めているため、トルオが民衆を馬鹿にしていると捉えることも出来る。

「それに兄様は次期領主。少々早すぎる気はありますが、領主に就任して文句を言い出す方はいないと思います。問題があるとしたら、やはりどうやって父様を取り押さえ、領主の座を奪うか、ということになると思います」

 現状、こちらの戦力はオレ達と白狼族の男性とアム。
 トルオ側は、一般兵やオレ達を襲った精鋭の秘密兵士隊、金で雇う冒険者斡旋組合(ギルド)の冒険者達。さらにはこうなった以上、金にあかせて人数を増やしまくるだろう。
 力押しならともかく、トルオをスムーズに退任させるのはそう簡単ではない。


「安心したまえ諸君。ぼくに素晴らしい作戦がある!」

 アムは自信満々に前髪を弾き、前歯を光らせる。
 白狼族長老の1人が尋ねる。

「アム様、その作戦とはいったい……」
「うむ、教えてしんぜよう。父上はぼく達の襲撃を警戒している。だから、それを逆手にとるのさ! まず白狼族の男性達が正面から城を襲撃。なるべく騒ぎを起こす。そして、目を引いている間に、リュート達、PEACEMAKER(ピース・メーカー)がぼくと共に城へと侵入し、父上に引導を渡すのさ! そして父上を捕らえた後は、ぼくが城の外へ出て停戦を呼びかける。どうだい素晴らしい作戦だろ?」
「つまり、陽動作戦ですな」

 白狼族の長老達が頷く。
 悪くない作戦とでも思っているのだろう。
 オレは慌てて会話に入る。

「ちょっと待ってくれ! アムの作戦はいくらなんでも危険過ぎる、少数で大人数が守る城を攻めるなんて! 第一、白狼族の男性が暴れて人目を引くなんて、例え成功しても民衆との間に禍根が残るぞ!」
「安心したまえ、偶然とはいえこのぼく! 『光と輝きの輪舞曲(ロンド)の魔術師』、アム・ノルテ・ボーデン・スミスを誘拐したのだ。ミスター・リュートはもっと自分に自信を持ちたまえ」
「自信と過信はまったくの別物だ。それに馬車の襲撃と城攻めを同一に扱っては困る。前にも話したが、僕達だって城からの要人誘拐なんて経験ないんだぞ」
「なら代案はあるのかい?」
「それは……」

 オレは言い淀む。
 さすがにすぐには代案など出てこない。

 スノーの父、クーラが語りかけてくる。

「リュート殿の気持ちは痛いほど分かる。しかし自分達も危険は承知の覚悟だ。たとえ民衆との間に禍根が残ろうとも、それは現状より大分マシなのだ。白狼族としては表面上でも商売的取引が出来ればそれでいいんだ。だから、頼む。どうかリュート殿、PEACEMAKER(ピース・メーカー)のご助力を。どうか頼む」

 クーラは最後に深々と頭を下げてきた。
 相手はスノーの父親。
 オレに良い感情を持っていないとはいえ、無下に出来る相手ではない。

「リュートくん……」

 心配そうな声音でスノーがこちらを見てくる。
 オレは唇を噛みしめ、

「……少し時間を下さい。仲間内で一度相談したいので」

 と答える。

 白狼族達は無言で頷き同意する。
 これで時間が少しだけ稼げた。

 こうして会議は一旦終了する。


ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!
明後日、7月9日、21時更新予定です!

感想ありがとうございます!
今日は七夕です! 1年に1度、織姫と彦星が再会する日ですね!
彼女なんて1年に1度どころか……アレメカラミズガトマラナイゾ。
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