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軍オタが魔法世界に転生したら、現代兵器で軍隊ハーレムを作っちゃいました!? 作者:明鏡シスイ

7章

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第119話 魔動甲冑

 魔術で光るランプの下、紅甲冑内部に入り操っていた少女と純潔乙女騎士団団長、ルッカが向き合う。

 紅甲冑内部に入り操っていた少女――ノーラは、運動機能性など完全に無視したフリルをふんだんに使ったゴスロリ姿で残忍な笑みを浮かべる。
 彼女の容姿は幼く、髪型は左右の髪の長さとボリュームが異なるツインテール。その可愛い見た目と、それに似合わない冷たい瞳が彼女の特異さを示している。

「そう、あいつら――PEACEMAKER(ピース・メーカー)は街に残るんだ。よかった、逃げられたらいちいち追いかけるのが面倒だもんね」

 彼女は9mm(9ミリ・パラベラム弾)と40mmアッドオン・グレネード等で傷ついた紅甲冑を前に青筋を立てる。

「あいつら、とくにあの黒エルフメイドは絶対に八つ裂きにしてやる! お姉様からお預かりしている『(ロッソ・スカルラット)』に傷をつけてッ。絶対に殺してやるんだから……ッ」

 ギリギリとノーラは、奥歯が砕けそうなほど噛みしめた。
 そんな彼女にルッカが、気後れしながら告げる。

「私としては狼剣(ウルフ・ソード)百合薔薇(リリ・ローズ)が街を去った今、これ以上ことを荒立てるのは辞めて欲しいのだが……」
「……それ本気で言ってるのかにゃ~? それって契約書に違反、違うか、別に書類に残してるわけじゃないから。だったら……そう、約束破り、かなぁ?」

 ノーラは笑みを浮かべながら、冷たい瞳でルッカに向き直る。

「ノーラ達は、魔術師の死体が欲しい。そして、純潔乙女騎士団団長様は軍団(レギオン)強化のために『黒』が開発したこの魔術道具、『魔動甲冑(マジック・アーマー)』が欲しい。さらに、純潔乙女騎士団の評判も『黒』が上げてあげるというおまけつき。……利害が一致したから手を組んだ筈だよね? それを今更、破るのかにゃ~」
「…………」

 ルッカがノーラに出会ったのは約半年以上前のことだ。

 当時――現在もだが純潔乙女騎士団は人材の流出と劣化、団員の減少などに伴い過去最悪の状態に陥っていた。
 そんな状態を改善しようとルッカは、昔から多々手を打っていた。

 退団した実力派OGへ復帰依頼。
 選抜試験の厳格化。
 有力冒険者、魔術師などのスカウト、etc――しかし、OGは子供がいたり体力が落ち、復帰出来る体ではない等と断られた。
 選抜試験は厳格化し過ぎて、一握りの魔術師等しか受からないレベルになってしまった。
 そして当然ではあるが、有力な冒険者・魔術師は落ち目の純潔乙女騎士団など歯牙にもかけない。自分で動いた方が面倒はなく、名誉や金銭も比べられないほど手にはいるからだ。

 ルッカは行き詰まり、頭を抱えてしまう。
 そんな彼女に『黒』に所属するノーラが話しかけてきたのだ。

『ねぇ、団長さん。手軽に魔術師より強くなれる魔術道具があるんだけど、欲しくない?』

 その言葉はルッカにとって、砂漠を3日彷徨ってようやくオアシスを見付けた状態。抗えない誘惑だった。

 後日、ノーラは銀色の魔術道具、『魔動甲冑(マジック・アーマー)』の性能をルッカに見せ付けた。

 甲冑の中身はスライムのようなゼリーで満たされ、外側は特殊な皮が張られ中身が漏れないようになっている。魔石が埋め込まれ、その魔力とスライムのようなゼリーを疑似筋肉として使用し、分厚い鉄板のような甲冑でも軽々と扱うことが出来る。
 お陰で物理防御力も高く、魔術攻撃にも自動的に抵抗陣を作り出す仕様になっている。
 無理な稼働をしなければ、1時間は使用することが可能だ。

 ――なのに昨夜のリュート達の一戦。
 ルッカが甲冑野郎と関わりがない、敵対していると錯覚させるためのアリバイ作りのため、ノーラは甲冑――『(ロッソ・スカルラット)』を着込み会談に突撃した。
 会談を襲うことで、示威行為とルッカのアリバイを作れる一石二鳥の作戦だったのだが……。

 黒エルフメイド、シアやリュート達の予想外の反撃に冷静さを失うほどだった。
 さらに40mmグレネード弾の威力が高く、防ぐために溜め込んでいた魔力の殆どを使い果たしてしまった。そのためあれ以上、戦うことが出来ずノーラは撤退するしかなかったのだ。

 話を戻す。

 ルッカには魔術師としての才能が無い。
 代わりに剣術の才はあった。
 だが、この世界、剣術の才能があっても素人魔術師の足共にも及ばない。
 彼女にとってこの甲冑がどれほど、文字通り喉から手が出るほど欲しいか……!

 ノーラは十分性能を見せ付けた後、『魔動甲冑(マジック・アーマー)』を譲る条件を突き付けてきた。

 彼女は魔術師の死体が欲しい。
 魔術師を狩るのは、この『魔動甲冑(マジック・アーマー)』さえあれば難しくないが……魔術師を殺した後、遺体を保管する場所がない。
 ルッカは、ノーラに中規模都市であるココリ街で安全に身を隠せる隠れ家の提供を求められた。

 さらにノーラは告げる。

『最初は街で『魔術師殺し騒ぎ』が起きるけど、最終的には純潔乙女騎士団が騒ぎを起こした主犯……この場合、適当な死体をノーラ達が用意するから、そいつをルッカが逮捕するの。そして、主犯が使用していた『魔動甲冑(マジック・アーマー)』を正式な手順を踏んで、街の守護者である純潔乙女騎士団が回収。その性能、有効性に気付いたルッカが主導で『魔動甲冑(マジック・アーマー)』を純潔乙女騎士団に導入するの。ね? これなら純潔乙女騎士団の評判も上がるし、自然な形で『魔動甲冑(マジック・アーマー)』を手にすることが出来るでしょ?』

 つまり、ノーラは自作自演を仕掛けようと持ちかけているのだ。

『し、しかし街中で暴れた場合、一般市民に危険が……』
『何言ってるの。そんなの小さい問題だよ。だって、今は純潔乙女騎士団存続の危機だよ。巻き込まれて死ぬ一般人だってきっとあの世で納得するよ。だって、街を守る純潔乙女騎士団が元に戻れば、もっと沢山の人が救えるんだから。尊い犠牲だよ』
 それとも――と、彼女が続ける。
『『純潔乙女騎士団は落ち目』『所詮は女子供の遊び』『金だけ巻き上げて、ぶくぶく太るだけの雌豚共』なんて陰口言われても言いの?』
『そ、それは……』
『他にもあったね。確か『無能集団』『過去の栄光に縋るだけの軍団(レギオン)』『ゴミ集団』なんて。ノーラだったら、そんなこと言われたら恥ずかしくて生きていけないな。もう死んだ方がマシ? って感じだよ』
『くッ!』

 ルッカの脳裏に過ぎる嘲笑。
 そして――彼女は魔王の手先のような黒い少女と手を結んだ。

「――なのに、ルッカは今頃になって裏切るんだ」
「…………」

 俯くルッカを、冷めた瞳でノーラは見つめていたが、気分屋の子猫のように彼女へ背を向ける。

「別にそれならそれでいいけど。PEACEMAKER(ピース・メーカー)への報復は、面倒だけど彼らがココリ街を離れたら追いかけて勝手にやらせてもらえばいいわけだし。でも、その場合、『魔動甲冑(マジック・アーマー)』を譲る話は無しだからね」
「か、金なら言い値で払う! だから……譲って欲しいッ」
「駄目だよ。いくら払われても無理。それに今更、『魔術師殺し騒動を起こした甲冑を、知り合いの商人から買いました』って話が通ると思う? 追求されて、ノーラとルッカが裏で繋がっていたことが露見するのがオチだよ」
「くッ……」

 ノーラは再度、ルッカへと向き直る。

「……また大切な大切な純潔乙女騎士団を、何も知らない無知無能なゴミみたいな人達に馬鹿にされればいいんだよ。あの惨めったらしい日々に戻っちゃえば?」

 ルッカの顔から血の気が引く。
 彼女が誇りに思う純潔乙女騎士団を侮辱する人々。
 その侮蔑に反論出来るほどの力を持たない、自分自身の無力さ。

(ただ悔しさを奥歯で噛みしめ、堪え忍ぶ日々に再び自分は戻るのか……!?)

 気付けば自然と声を上げていた。

「ま、待ってくれ! 今の話は無しだ! 私はノーラに組織『黒』に引き続き協力しよう! だからどうか『魔動甲冑(マジック・アーマー)』は譲ってくれ! 頼む!」

 プライドの高いルッカが、腰から折り曲げ頭を下げる。
 そんな彼女を、ノーラは気付かれないよう『ニヤニヤ』と厭らしい笑みを浮かべて見下す。

 ノーラはねこなで声でルッカの肩に腕を回す。

「頭を上げてよ、ルッカ団長。ちゃんと約束さえ守ってくれれば、望むだけの『魔動甲冑(マジック・アーマー)』を譲るに決まってるでしょ。それが最初の約束なんだから。それにノーラと団長は秘密を共有する友達同士じゃない。友達が困っているのに、協力しないはずがないでしょ?」
「そ、そうか友達か、ありがとうノーラ。礼を言おう」
「……うふふふ、どういたしまして。とりあえず、このままこの場所は借りるね。あのPEACEMAKER(ピース・メーカー)を皆殺しにするために、『黒』に要請してちょっと多めに『魔動甲冑(マジック・アーマー)』を呼び寄せるから、スペースが必要なの」
「分かった、遠慮無く使ってくれ。それと必要な物があったら言ってくれ、精一杯配慮しよう」

 ルッカの申し出に改めてノーラは、天使のような笑みを浮かべた。

「ありがとう団長。……それじゃノーラ達の幸せと栄光のために、これからも仲良くしましょうね」


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