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軍オタが魔法世界に転生したら、現代兵器で軍隊ハーレムを作っちゃいました!? 作者:明鏡シスイ

6章

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第107話 サブマシンガンって何?

 軍団(レギオン)――PEACEMAKER(ピース・メーカー)、初のクエストは純潔乙女騎士団、特別顧問ガルマからの依頼だ。

 純潔乙女騎士団は獣人大陸にある街の治安維持に携わっているらしい。
 その街で魔術師が狙われる事件が多発している。
 恐らく腕の立つ殺し屋――『魔術師殺し』の仕業だ。

 現在の純潔乙女騎士団に複数の魔術師を狩る『魔術師殺し』を相手にする力はない。
 そのため『PEACEMAKER(ピース・メーカー)』を名指しで指名してきた。

 エル先生を言葉巧みに誑かそうとするガルマは気にくわないが、PEACEMAKER(ピース・メーカー)の理念は、『困っている人、救いを求める人を助ける』だ。
 いくら嫌っている相手でも、助力を請われて無下にする訳にはいかないのだ!

 さて、オレ達が竜人大陸に戻ってきて半年以上経っている。
 まさかこんな短期間に再び、飛行船で大陸を移動するとは考えていなかった。

 しかしやるからには準備を万全に、クエストをきっちりとこなしたい。
 そのための用意に取り掛かる。

 オレはメイヤと2人、メイヤ邸の工房に集まっていた。
 今回、飛行船の準備はシアが取り仕切ってくれている。

 メイヤは胸の前で自身の手のひらを握り締め尋ねてきた。

「リュート様、今回のクエストで作っておきたい武装とはどんな物でしょうか?」
「今回は今までと違って街で起きている事件だろ? だから、AK47やスナイパーライフルだと色々都合が悪いから、それに合った銃器を作り出そうと思うんだ」
「街に合った銃器ですか?」
「ああ、作る銃器は――MP5サブマシンガンだ」

 ここでまず『サブマシンガン』――日本語で『短機関銃』について説明したい。

短機関銃(サブマシンガン)』とはいったいどんな物なのか?

 転生前の世界、地球で初めて短機関銃(サブマシンガン)が登場したのは――第一次世界大戦の塹壕戦からだ。

 第一次世界大戦時、機関銃(マシンガン)が登場。
 機関銃(マシンガン)一丁とたった数人の兵士だけで何百、千の敵を殺害、足止め出来るようになった。

 機関銃(マシンガン)を備え付けた敵陣地を従来の歩兵の攻撃――数百メートルから1000メートルも離れて横隊に広がってボルトアクションライフルで射撃するのでは攻め落とせなくなってしまったのだ。
 そこで夜襲をかけたり、壕を掘って接近したりと機関銃(マシンガン)の使用できない乱戦、接近戦に持ち込んで戦うことが多くなった。

 そうなると従来のボルトアクション式の歩兵銃では、撃つ度にボルトを前後させている間に敵兵に襲いかかられてしまう。
 さらに狭い塹壕内では、長い銃は取り回し辛い。

 そこでドイツ軍はそれらの戦訓を元に、自動拳銃に木製ストックをつけて速射性と命中率をあげた。さらにこれを発展させ『短い小銃の形で拳銃弾をばらまけるコンパクトな銃』を開発。
 そして誕生したのが『短機関銃(サブマシンガン)』という新しいコンセプトの銃だ。

 短機関銃(サブマシンガン)の元祖になる銃は、ドイツの『ベルグマンMP18』になる。
 またドイツでは短機関銃(サブマシンガン)を『マシーネンピストーレ』、イギリスでは『マシンカービン』と呼ぶ。
 短機関銃(サブマシンガン)と呼ぶのはアメリカだ。

 しかし第二次世界大戦終戦後、速射性は非常に有効だが拳銃弾を使用する短機関銃(サブマシンガン)では、威力の低さと射程、命中率にかける。
 そこでドイツが速射性を備え、短機関銃(サブマシンガン)より威力と命中率が高く、弾数もあり、1発1発狙えるセミオートマチックも、掃射も出来るフルオートマチックも備えたシュトゥルムゲベーア――突撃銃(アサルトライフル)の元祖を作り出す。

 突撃銃(アサルトライフル)の登場で、短機関銃(サブマシンガン)の軍事的価値は無くなってしまった。

 だが戦後、1960~70年代の犯罪の過激化により、短機関銃(サブマシンガン)は再び注目を集める。

 なぜ短機関銃(サブマシンガン)が再び注目を集めたかというと……過激犯罪に対抗するには拳銃では頼りない。突撃銃(アサルトライフル)等では威力が高すぎるため、想定外の被害が出る可能性がある。

 つまり銃は大きく分けて3つに分類される。

 狙撃銃(スナイパーライフル)は、遠距離用。
 突撃銃(アサルトライフル)は、中距離用。
 短機関銃(サブマシンガン)は、近距離用。

 それぞれに役割が有り、場面によって使い分けられているのだ。

 オレのここまでの説明に、メイヤはメモを取りながら何度も頷く。

「なるほど確かに今回のクエストは街での戦闘が予想されますわ。だからリュート様は短機関銃(サブマシンガン)をお作りになろうとしているのですね」
「もちろん時間がないから、前回みたいに飛行船内部で移動しながら製作することになると思うけどね」

 そのため、すでにシアには魔術液体金属を飛行船に積むよう指示を出していた。

 さて、前世の世界には多種多様な短機関銃(サブマシンガン)が存在する。
 なのになぜオレはドイツの『H&K(ヘッケラー&コッホ)MP5』を作ろうとしているのか?

 先程も説明したように短機関銃(サブマシンガン)は、塹壕戦などの戦訓から生まれた『弾丸バラ撒き器』だ。いかに速く、弾丸を多くバラ撒くか、という目的で作られた銃器だ。

 そのため『命中精度』は度外視されて作られている。
 むしろ当時、短機関銃(サブマシンガン)に求められていたことは、弾丸をバラ撒き、簡単な構造で、大量に生産しやすい銃であることだった。

 そんな短機関銃(サブマシンガン)の常識を打ち破ったのが、ドイツのH&Kが開発したMP5だ。

 MP5は他の短機関銃(サブマシンガン)とは比べものにならないほど高い命中精度を誇っている。

 凶悪化する犯罪者に対して狭い室内でも取り回しが効くコンパクトさ、多くの弾丸を弾倉に装填でき、火力が強く、さらに命中精度も高いとくればこれほど対テロ部隊用として理想的な短機関銃(サブマシンガン)はない。

 そのためドイツだけではなく、日本をはじめ世界各国の法執行機関で装備されるようになった。恐らく世界で一番有名な短機関銃(サブマシンガン)だろう。

 性能の良さ以外に、MP5の名を一躍広めた事件がある。

 1977年、10月。
 ソマリアのモガディシオ空港でルフトハンザ航空機が4人のパレスチナ人テロリストにハイジャックされた。世界が注目するなかMP5を装備した国境警備隊(GSG―9)の隊員達がわずか5分で機内を制圧。
 人質90人を全員無事に解放したのだ。
 その時、使用されたMP5のスペックは以下の通りになる。

 口径:9mm(9ミリ・パラベラム弾)
 全長:約70cm
 重量:約3kg
 装弾数:30発

 この事件を切っ掛けにMP5の名前が全世界に知れ渡った。

 では、MP5はなぜ他の短機関銃(サブマシンガン)より命中精度が高いのか?

 通常の短機関銃(サブマシンガン)は、オープンボルト・ファイアリングと呼ばれる機構で作られている。

 普通の銃は遊底(ボルト)が前進し、薬室(チェンバー)に実包が装填された状態が発射準備完了。
 引鉄(トリガー)を絞ると撃鉄(ハンマー)が落ちて、撃針(ファイアリング・ピン)雷管(プライマー)を叩いて発射する。

 しかし大抵の短機関銃(サブマシンガン)は、遊底(ボルト)撃針(ファイアリング・ピン)が付いている。その遊底(ボルト)の後ろにバネを設置し圧縮、前に出ないように引鉄(トリガー)によって固定する。

 引鉄(トリガー)を絞ると、固定したバネが解放され遊底(ボルト)を前へ押し出す。遊底(ボルト)の前に付いている撃針(ファイアリング・ピン)雷管(プライマー)を叩き発射薬(パウダー)を破裂させ、弾丸を飛ばす。
 その際、発生したガス圧で、再びバネが圧縮され空薬莢も次弾に押し出され外へ排出される。

 このように単純な構造のメリットは安く、大量に製造することが出来る点だ。

 だが、H&Kが開発したMP5という短機関銃(サブマシンガン)は、小銃のように撃鉄(ハンマー)撃針(ファイアリング・ピン)もあって、遊底(ボルト)が閉じた状態から引鉄(トリガー)を絞って発射するクローズボルト・ファイアリングにより、他のとは比べものにならないほどの命中精度を誇った。

 さらに注目すべき点は、発射時の反動がマイルドになるよう『ローラー・ロッキング』という作動方式を採用していることだ。

『ローラー・ロッキング』とは、薬室(チェンバー)に栓(蓋)をする遊底(ボルト)左右に金属玉(ローラー)を組み込んでいる。弾丸を発射し、発生したガス圧で遊底(ボルト)は後方へ押し下げられる。
 その際、金属玉(ローラー)をくぼみから押し出すのに通常より強い力が必要になるため後方への衝撃が和らげられ、クローズボルト・ファイアリングと合わせてさらに命中率を上げるのだ。

 こうして命中精度とフルオート時の安定性の革新的な向上に成功したMP5は軍や警察の特殊部隊などに採用され、『特殊部隊用サブマシンガンのスタンダード』と言われるまでになった。

 もしネタに走れるのなら、アメリカのSMGが開発した『クリス・スーパーV』など、嫁の名前関連で作りたかったが、相手は魔術師を狙って狩る実力者。嫁達の安全のためにも、巫山戯ていい訳がない。

 MP5は多数のモデルが存在し、そのバリエーションは100種類を越えていると言われている。

 今回、オレ達が製作するのは2種類。

「2種類? 違う種類の短機関銃(サブマシンガン)をそれぞれ作るということですか?」
「そうだ。同じ短機関銃(サブマシンガン)、『MP5』という括りの中で目的がまったく違う2種類の短機関銃(サブマシンガン)を作るんだ」

 困惑していたメイヤを納得させる。
 一度咳払いをして、話を続けた。

「とりあえず最初に作る1種類目は、『MP5K』だ」
「『MP5K』ですか。それは一体、どんな短機関銃(サブマシンガン)ですの?」

 メイヤは興味深そうに身を乗り出す。

 なぜオレが『MP5K』を選んだかと言うと、テロ対策部隊向けに設計された『MP5K』はスーツの下にも隠せるほど小型・軽量で究極の近接戦闘武器とも言われているからだ。

 スペックは以下の通り。

 口径:9mm(9ミリ・パラベラム弾)
 全長:約32cm
 重量:約1.8kg
 装弾数:15/30発(15発、30発の弾倉有り)

 さらにセミオートマチック射撃、2発バースト、3発バースト、フルオートマチック射撃に切り替えられる。
 小さくて火力が強い(毎分900発)ので別名、『部屋箒』と呼ばれFBI人質救出チーム他、多数のテロ対策部隊に重宝されている。

 もう1種類作るMP5は後で説明するつもりだ。

「と、言うわけでまず最初に『MP5K』を製作していこうと思う。毎度のことながら、色々迷惑をかけると思うけど力を貸して欲しい」
「何を仰いますか! 迷惑だなんて一度も思ったことなどありませんわ! むしろ、リュート様に与えられるのはどんなことでも歓喜! 祝福! ご褒美ですわ! わたくしのことはボロボロになるまで行使してください。それこそがわたくしの喜びなのですから!」
「……ありがとう、メイヤ。君の熱い思いは確かに受け取ったよ」
「そ、そんなわたくしの熱い『想い』を受け取っただなんて。ぷへぇへぇへぇ……想いだけではなく、ふひゅ、わたくしの全てを受け取ってくださいまし!」

 メイヤの何時も通りの熱い言葉に押され、意を酌んだ台詞を言ったつもりだったが、また別のスイッチを入れたようだ。
 彼女は目を爛々と輝かせ、荒い息を吐き出す。
 オレはメイヤの視線から逃れるように話を打ち切った。

「さ、さて! 早速作業に入ろうか! 出発まで時間もないしな!」

 こうしてオレ達は『MP5K』の作業に取り掛かる。
 もちろんその作業には『9mm(9ミリ・パラベラム弾)』制作も含まれている。

 作業は飛行船が目的地の獣人大陸、純潔乙女騎士団がある街に到着するまでかかった。



                         <第6章 終>

次回

第7章  少年期 魔術師殺しvs魔術師殺し編―開幕―


ここまで読んでくださってありがとうございます!
感想、誤字脱字、ご意見なんでも大歓迎です!
明後日、3月5日、21時更新予定です!

昨日の後書きで意外とお酒関係の話題が出て驚きました。やっぱり色々あるんですね~。自分は周囲に恵まれているお陰か、アルハラは受けたことがありません。それだけでありがたい話です。

話変わりまして――実は本気で3月~4月中ばは忙しくて毎日更新が難しく、隔日更新に切り替えたいと思います。恐らくですが4月半ば過ぎになればまた毎日更新に戻れるとは思うんですけれども……。
申し訳ありませんが頑張って切り抜けますので、気長にお待ち頂ければと思います。
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