目覚めたときは、もう11時だった。
始めた頃はたしか、9時ちょっとすぎだったはずだ。
目眩と吐き気は収まったものの、まだ体の節々がギシギシと痛んだ。
「よかった。やっと目が覚めた……」
隣では、ジャスティンがロランと安堵している。
「僕は……生きて帰れた?」
か細い声で尋ねる稜哉に、ジャスティンは静かにうなずく。
安心したからか、穏やかに笑っていた。
「あいつは?あの……男は?」
その言葉に、表情が少し曇る。
「稜哉君の中に……封印したわ」
稜哉は耳を疑った。
「ぼ、僕の中に?」
(それじゃあ一体なんのために僕はあんな苦しい思いを?僕から引き離すことが目的だったんじゃないのか?)
「稜哉君に憑いていたのは死霊じゃなかったのよ」
ジャスティンはほうっと疲れたようにため息をつく。
「死霊じゃなかったって?じゃあ、一体――」
「実体のある、たぶん生霊だと思うの」
「生、霊?」
「生きている人の意思か、魂なんかのことよ。無理やり引き離そうとしたら稜哉君の命も危なかった。だから封印するしか……」
不意に、ジャスティンが咳き込んだ。
「大丈夫?まだジャスティンだって回復していないんだから、ムリしないで」
ロランが優しく背中をさする。
「あっ、痛いっ」
突然、片手で背中を押さえた。
「どうしたの?」
稜哉も心配になって声をかける。
「背中が……。でも大丈夫」
ジャスティンは深呼吸を何度かした後、やっと落ち着きを戻したようだった。
稜哉の心には、さっきまで怒りの気持ちが湧き起こっていたのに、今は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
自分を助けようとして、友達が傷ついてしまった――。
「……ジャスティン、ごめん」
ジャスティンはふっと笑った。
「どうして稜哉君が謝るの?」
「だって、僕のために……僕のせいで傷ついて……」
「それは違うわ。これは稜哉君とは関係ない。それより、私こそごめんなさい。もっとしっかりしていたら、こんなに時間もかからなかったし、稜哉君の負担も少なかったのに……」
「うっ」と小さくもらして、また背中をおさえた。
「背中、怪我したの?」
「紋章が……」
「紋章?」
ロランも心配そうに覗き込む。
ジャスティンは大きく息を吐いた。
「私は大丈夫だから。それより、稜哉君、もうすぐで補講でしょ。しっかり休んで体力蓄えておかなくちゃ」
その言葉に、ふと現実に引き戻されまた少し憂鬱になる稜哉であった――。
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