「具体的にどんな夢なの」
「例えば……」
稜哉はさっき見た夢を思い出そうとした。
「ここに来る途中、列車の中でみたのは……自分がどこかの部屋にいたんだ。本棚の影に隠れてた。部屋には僕のほかに男が1人と若い女がいて、それで……」
「それで?」
「女は死んでた」
2人の間に少しの沈黙が流れた。
そのうち、我に返ったようにロランが言った。
「それだけ?」
「それだけといえば、まあそれだけ」
「……わかんないなぁ」
ロランは首をかしげると、紅茶を1口飲んだ。
「分からないって、何が?」
「いや、どうしてそんなにその夢を気にするのかなって。だってそれ、よくあるただの悪夢でしょ。そんなに気にすることじゃないと思うけどなぁ」
「でもさぁっ」
稜哉の声がつい尖る。
「悪夢は悪夢でも人が死んでるんだ。そんな夢、そう頻繁に見ないでしょ、普通。それに絵のことだってあるし、妙にリアルだし」
「絵?絵って何?」
稜哉はあの肖像画が伯爵だったかを言おうか悩んだ。
仮に今、唐突に言っても……。
そんな思いがよぎり、稜哉は思わず濁した。
「と、とにかくさ、変なんだ。前の時だって、今日のと同じ男がヤバそうな占いやっている夢とか、ロランの」
"家族を殺したのは俺だ、とか"と言いそうになって稜哉ははっと口をつぐむ。
それを本人の前で口にするのは、あまりにもむごすぎると思った。
「なんかさ、ほら」
稜哉は急いで他の言葉を探した。
「変な夢、見ないようにする方法とかって、ないの?」
ロランに言いそうになったことが気づかれやしないかと、内心びくびくしていたが、気づかなかったらしい。
彼はまた紅茶を飲むとほぅっとため息をついた。
「方法ねぇー」
しばらく宙をぼんやりと見ていたが、はっと思いついたように彼は目を輝かせた。
「そういうのはとり憑きの専門家に頼んだほうがいいね」
そう言うと、1人納得したように
「うん、そうしよう。それがいい」
とつぶやいて部屋から出て行こうとした。
稜哉も慌てて立ち上がると、後を追う。
「ちょっと、どこ行くの?」
「決まってるじゃん、とり憑き系のプロを呼ぶんだよ」
「とり憑き系のプロ?」
ロランはニィッと笑った。
「稜クンは待ってて。3分後に戻るからさ」
パタンと目の前で玄関のドアが閉まった。
次回は来週更新予定。
まだお話が書けてないのでなんともいえないですが、火曜日辺りにUPしたいと思ってます。
とり憑き専門家はまさかのあのコが__?
お楽しみに
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