「不死身!?」
驚いた稜哉は思った言葉が口をついで出てしまった。
食い入るようにして続きを読む。
『不死身になるなんてことは本当に可能なのだろうか?
ハワード助教授はこう語る。
「人間の生き血、それも14歳~23歳の若者の生き血を体内に取り込むことで、死なない肉体、つまり、不死身の体になるわけです。
そうやって死なない体を持つバンパイアをDirty Vampire(汚れたバンパイア)と呼びます」
なるほど。
しかしなぜ"汚れた"なのだろう。
「それはこの人間に対する吸血行為自体が汚れた行為で絶対にやってはいけない、禁じられた行為なんです。」
ハワード助教授は続ける。
「まず、吸血された人間もバンパイアになってしまうんです。
そして、人間として生きていた記憶は吸血時に消され、何事もなかったかのようにバンパイアとして暮らし始めるのです。
何の罪も無い若者の未来をめちゃめちゃにする行為なんです。
また不死身の肉体といっても、手入れが必要で、その手入れ方法も本当に恐ろしい方法なんです」
一体、どんな方法なのか――。
「自身の体を美しく保つために、毎日最低1度、人間の血で入浴する必要があります。
そしてその血液も若ければ若いほど良い。
やはり14歳~23歳の血液が最良なんです。
ただし、このために血を抜かれた人間は間違いなく死んでしまうでしょう。
取られる血の量が相当の量ですから。
こういう理由のため、人間に対する吸血行為は隠れ里の条約で禁止されています」
――なるほど。
Dirty Vampireといわれる由縁が分かった。
しかし、もし伯爵がDirty Vampireなら、なぜそこまでして生きようとするのだろう。
また暗殺されたとされる死体は、一体誰だったのか。
伯爵については謎が残った。』
ここで、ゴッド・グリーン・レストレンジ伯爵についての記事は終わっていた。
読み終えた稜哉は、頭の中を整理していた。
(Dirty Vampire?永遠の肉体?)
「どう思う?この記事」
オリバーが聞いた。
「どう思うって聞かれてもなぁ……。これって遺伝とかしないのかなぁ。ほら、もし伯爵がDirty Vampireなら、僕らもそうかもしれないじゃん?」
稜哉は曖昧に答えた。
自分の言葉に全く確信はなかった。
少なくとも稜哉は健康診断で「あなたはDirty Vampireですね」とか、「どこかおかしいですよ」と言われたことはない。
遺伝する可能性はほとんどないように思えた。
そして自分がDirty Vampireでないなら、オリバーやジョンもDirty Vampireではないことになる。
いくら自分がレストレンジ家の直系でないとはいえ、少なからず血は繋がっているのだから。
ジョンは椅子から立ち上がった。
「まあ、この記事自体がヤラセかもしれないな。それに」
彼の目が一瞬、力強く輝く。
「俺はDirty Vampireなんかじゃないからな」
そういうと、稜哉に向かって涼しげに笑いかけた。
「稜、俺らはそろそろ帰るわ。紅葉7色ティー、美味かったってあの娘によろしく伝えてくれな。この記事は気にするな。どうせヤラセだろうさ。なんつったってABLだし。ほら、オリバー、行くぞ」
オリバーはカップに残っていたものを飲み干すと、慌ててジョンの後に続いた。
「ママには休暇のこと伝えとく。じゃな。ありがと」
別れ際、オリバーは稜哉にそう言った。
「うん。またね」
エレベーターに消えていく2人の背中を見送った稜哉は1人、椅子に座って記事のことを思い返した。
(一体、どういうことなんだろう)
いくら考えても答えの見えない迷路に迷い込んだ稜哉は、いつの間にか、眠っていた。
ロランが帰ってきたことにも気づかずに――。
次回更新日は4月4日(日)ですww
(*´ω`)ノ<この日はパイレーツ・オブ・カリビアンですね★
あ、次の話で第2章はおしまい……かな?
(現予定。でも変わるかもです)
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