「稜クン宛に手紙だよ」
ロランの声で稜哉は目が覚めた。
閉められたカーテンの隙間から、昼間の太陽の光がうっすらと入ってくる。
「今……何時?」
「10時だよ」
稜哉はそれを聞いて、もそもそと起き上がった。
「今日って学校は……?」
「休みだよ。19日まではテスト採点期間だもの」
「そっか。で、手紙って?」
ロランは手に抱えていたバスケットから、3通くらいを取り出した。
「生物の授業についての手紙に、休暇中の心得、あと……はい」
稜哉は受け取ったうちの1通を手に取った。
「ジェーンおばさんだ」
『稜へ
毎日楽しく過ごしていますか?
20日からクリスマス休暇が始まるでしょう?
休暇中は1度、家に戻ってきますか?それとも学校で過ごします?
もし学校に残るなら宿舎の予約を続けなければいけないから知らせてね。
でも、1度帰ってきてくれると嬉しいわ。
それと、休暇中にオカリナを買いに行かないといけないでしょう?
ジョンたちと一緒に買いに行くから、日時を近いうちにまた知らせますよ。 』
「休暇、かぁ」
実際は休暇といっても20日間の休みで、そこまで長いものではなかった。
「稜クンは休暇中は1度帰るの?それとも、ここに残る?」
稜哉はすぐには答えなかった。
(帰りたいと言えば帰りたい。でも……)
チラッとロランを見た。
目が合った。
「ボクのことは気にしないで。リリーやジャスティンはきっと今年も残るからさ」
ロランはニッコリと笑った。
「ジョンたちにも聞いてみてから決めるよ」
稜哉は手に持っている手紙に視線を移すと、ほかの2通のうちの1通を開封した。
『7年生の生徒の皆さん 生物科からのご案内
クリスマス休暇も、もうすぐですね。
ここで、生物科からのお知らせです。
休暇明けの授業から、いよいよ、実習に入ります。
そこで休暇中に用意してもらいたいものがあります。
生徒の皆さんは必ず1人1つずつ、オカリナを用意してください。
材質は何でもかまいません。
ただ、自分とぴったり合うものを購入することをオススメします。
値段はいろいろなものがあるので、生物科からは特に指定はしません。
ただ購入前に必ず、
「コウモリに対して使用します」
と店員に伝えてください。
休暇明けの初回授業までに用意をお願いします。
なお、授業での貸し出しは一切できません。
それでは良い休暇を過ごされますよう。 』
稜哉は思わず読み返した。
「ねえ、オカリナなんて、どこで売ってるわけ?」
インターネットしか無いじゃん、と言いかけて口をつぐんだ。
(そうだ、ここにはインターネットは無いんだった)
隠れ里に、インターネットは無い。
携帯電話どころか、電話すらない。
あるのは切手を貼らずに送れる、ポストオンシステムだけ。
「ボクが知っているのは」
ロランの目が稜哉の目と合った。
稜哉はロランの言おうとしていることが分かったような気がした。
「校舎の裏側にある、ポーグラント百貨店」
「……しかないと思うんだよね。確か2階にオカリーナっていうオカリナ専門店があったような気がするんだ」
(ここって、ポーグラント百貨店くらいしか店は無いのか?)
稜哉がそんなことを思ったときだった。
ピーンコーン。
春休みの宿題がまったく終わっていないことに昨晩気づきあたふたの作者です。
ということで今日から宿題と格闘開始!
なので次回更新日は……。
3月31日(水)ということでo(●´ω`●)o
それでは。
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