ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
第2章
第43話 M.E.前日
稜哉がポーグラントに来て早2ヶ月がたとうとしていた。
気温も1ケタ台が当たり前になり、校舎も宿舎もすっぽりと雪をかぶっている。
あれだけ紅葉していた葉も、今では跡形もなく消え去り、丸はげの木々は両手いっぱいに雪を抱えていた。
あと10日後にはクリスマス休暇――。
たった1つの厄介者を残して。




「もーっ!いい加減に無理!コウモリの生態なんか知って一体なんになるって言うのよ!」

バシンッ。

リリーはThe Batを勢いよく壁に投げつけた。
その振動で掛かっていた絵が床におちる。

「ちょっとリリー、ボクの部屋を壊さないでよね。ちゃんと絵も掛けといてよ」

ロランがあきれてリリーを見た。

ここは例によって305号室の1ルーム。
丸テーブルを稜哉、ロラン、リリー、ジャスティンの4人で教科書やら資料集やらを広げて囲んでいた。

「明日からM.E.だなんて、まだ全然実感ないわ」

ジャスティンが"7つの変色薬品"の表を見ながらため息をつく。

Midterm Examination、通称M.E.は2日間かけて、年3回行われる、来年度のクラス編成にも大きくかかわる、重要な試験なのだ。
もしこの試験で優秀な成績を残せば、来年度はAクラスに上がることができ、また、その逆も然りで……。

「ロランはまた全科目で学年トップだろうなー。あー、いやいや。あたしはきっと最下位だわ」
「リリー、そんなこと言うから、本当にビリになっちゃうんだよ」
「あら、分かっているわよ。でも、コウモリよ、コ・ウ・モ・リ」

ロランはそれ以上は何も言わずに"Reader Mind 20の心得"を表に書き込み始めた。

「そういえば、試験後の生物って実習なんだっけ?」
「そういえば、そんな事言ってたわね。確か……『コウモリと仲良くなる』って」

稜哉にジャスティンが答えた。

「ああ、あれでしょ、オカリナでコウモリと交信するんでしょ」
「コウモリと交信!?」

ロランの言葉に、稜哉は反応した。

「うん。年間表に書いてあった。"コウモリを上手に操れるようになる"って」
「もう、本当にイヤー。気持ち悪ー。」

リリーが嫌そうな顔をした。

「コウモリと仲良くなるためにも、しっかり覚えましょうね」
「分かったわよ」

渋々リリーは生物便覧に目を向けた。
Twitterボタン
Twitterブログパーツ
カテゴリ別オンライン小説ランキング


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。